2017年 02月 11日
久しぶりに乾燥した車道(ラスコー洞窟壁画と「芸術と科学」)
2月にはいってからは真冬日も少なくなり、2日3日と7日を除くと今日も含めて最高気温はプラスになっています。とはいえ、プラスの1℃か2℃くらいにしかなりませんのでなかなか「暖かい」というまでの気温にはなりません。それでもこういう気温が続き雪もほとんど降らないという日が4日も続くと車道の路面が乾燥してきました。
懐かしい春の路面です(笑)。もちろんその両脇の歩道はまだまだこんなです。
昨日は久しぶりに脳を刺激してもらいましたが、今日になっても頭の中で「科学と芸術」という言葉がぐるぐる回っています。私がこの「科学と芸術のあいだ」というシンポジウムのタイトルを知った時に一番最初に思い浮かんだのが実はこちらでした。Wikipediaから写真をお借りしましたが、「ラスコー洞窟の壁画」です。
ちょうど良いタイミングで上野の国立科学博物館で特別展「世界遺産ラスコー展」が開かれているようですが、今から15,000年から20,000前の後期旧石器時代のホモ・サピエンス(クロマニョン人)によってフランスのラスコー洞窟の中にウマ・ヤギ・ヒツジ・バイソン・シカ・カモシカなどが種がはっきりとわかるくらい精密に色彩付きで描かれたものが、1940年に発見されています。
描かれたこれらの動物は当時のヒトにとっては食料として重要な獲物だったと考えられますが、それらが非常によく観察され洞窟の壁に描かれていることがわかります。現代人の我々が見るとこれらの絵はまさに「芸術」として認識されますが、当時のヒトにとっては狩りの対象動物を把握し、彼らがどんな姿をしどんな生活をしているか、彼らが出現する時期や場所、さらにはどこに槍を打ち込むとうまく仕留めることができるかなどということを仲間や子どもたちに伝達するための「生活のための科学」だったのではないかと想像されます。
芸術の始まりとも科学(生物学・農学・獣医学など)の始まりとも考えることのできるこの洞窟壁画の時代には科学と芸術は同じものだったということです。
つまり、現代だからこそある「科学と芸術のあいだ」の「すき間」はその後の人間によってつくられてきたにすぎないものですから、すき間を補うことはそれほど難しいことではないと、特に生物学関係者の目から見るとそう思えるのです。
同じように原始ホモ・サピエンスの壁画に科学の起源があるのならば、その後に生まれてきたあらゆる科学の起源もここに求めることは可能となり、「すべての科学は芸術に通じる」ということになるのかもしれません。
昨晩の早稲田の岩崎先生のお話を聞いていても感じたことですが、俗に基礎科学と呼ばれる分野を動かしている動機は「おもしろい」「たのしい」「興味深い」などといったヒトの感情に基づくものが多いので、そういうところから出発している学問が多いいわゆる「総合大学」というところに「芸術学部」を作ったり、いろいろな学部の中に芸術関係学科や講座を作ったりということはそんなに難しくないことでしょうし、科学の発展という意味からも意義深いことだとも思います。
というようなことを考えながら昨晩は帰ってきました。
その途中、理学部から地下鉄方向に向かうところにあった「サンクス」が「ファミマ」になっていたことに感動して撮った写真を最後に載せておきます。
北大は広いのでしばらく見ないでいると、いろんなところが少しずつ変わっていってますね。
5年もすると浦島太郎になってしまうかもしれません。
by STOCHINAI
| 2017-02-11 22:29
| 札幌・北海道
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