5号館を出て

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カエルの放散進化は恐竜の絶滅とリンクしているらしい

 今日も一日曇り時々雨という天気でしたが、花は蜜や花粉を出しているようで、ハチは大忙しでした。

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 シャクナゲの花はマルハナバチ(セイヨウオオマルハナバチ?)に大人気です。

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 天気がすぐれないので、私の屋外作業は最小限となり、写真も少なくなりました。というわけでもないのですが、おもしろいニュースをご紹介します。あちこちで出ているのですが、これはBBCの科学ニュースです。


 両生類は恐竜などの爬虫類よりも先に地球上に現れていますが、現存のカエルやサンショウウオなどはごく最近になって進化してきたことは以前から知られていました。

 遺伝子を比較することで現存のカエルのほとんどのものが、いずれもごく最近(6600万年前以降)になって急速に進化してきたらしいことが示されました。

 上の記事の元ネタとなっているのがこちらのPNASの最新論文です。


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 この論文の中にあるカエルの系統図を引用します。

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 大きな図なのでわかりにくいかもしれませんが、左側に系統樹、右側にカエルの絵が書いてあります。系統樹の中の右よりのあたりに赤い点線がありますが、これが6600万年前のいわゆる中生代白亜紀と新生代古第三紀の境目にあたるK-Pg境界と言われるもので、現存のカエルのほとんどがこのポイントの後に分岐して出現してきていることが示されています。

 ご存知の方はご存知だと思うのですが、この6600万年前(6500万年~6700万年前)というのは恐竜が絶滅する原因となった巨大隕石が地球に衝突するという大事件が起こった時です。その時にできた巨大なクレーターは今でもユカタン半島に残っています(そのイメージ図がこちらで、これはBBCの記事からの引用です)。

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 両生類は恐竜よりもはるかに古くから地球にいたのですが、恐竜の時代には我々哺乳類の祖先と同様、両生類もあまり繁栄することはできなかったようです。それが恐竜がいなくなったことが直接原因かどうかわかりませんが、恐竜がいなくなる原因となった地球環境の大きな変化と恐竜という捕食者がいなくなったことこととが相まってカエルやサンショウウオそして我々の祖先の哺乳類そして恐竜の子孫の鳥類が繁栄する今の地球になってきたということのようです。

 最近の論文は一般の方向けに短い「論文の意義」を載せているものも出てきていますが、この論文にもありましたので引用しておきます。このくらいの英文なら高校生でも十分に理解できると思いますので、あえて解説しないでおきます。

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 論文にここまで解説されていると、科学コミュニケーターの出番はなくなるのではないかという気もしますが、BBCやScienceDailyの記事のレベルにまでしようとするとやはり科学ライターの存在は必要となります。

 そしてBBCのニュースにも載っていたアカメアマガエルの写真(下図)のような、話の本筋には関係がないけれども記事を人の目をひくデザインに仕上げるのもまたそういう人たちの仕事です。

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 科学者と市民をつなげる人の層はまだまだ厚くても、いろいろなレベルでその媒介をする余地のある領域だと思います。

 がんばりましょう。








by STOCHINAI | 2017-07-04 22:21 | 生物学 | Comments(0)

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