5号館を出て

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つくばにて

 秋晴れのさわやかな千歳を飛び立って、着いた羽田は雲の下でした。

 モノレール、山手線を乗り継いで秋葉原から、新路線つくばエクスプレスの初乗りです。つくばに着いたのは、午後7時15分。千歳を飛び立ったのが3時半ですから4時間弱です。

 近いような遠いような所用時間ですが、こちらも意外と涼しく、気候的にはそれほどの違いは感じられませんでした。

 さて、つくjばはやはりつくばでした。

 なんというのでしょうか。広い道を車はビュンビュンと飛ばして走っていますし、その脇の歩道を歩いている人は少ないし、高速道路のサービスエリアが巨大になって街になったような感じと言えば良いのでしょうか。

 いつ来ても、何かが欠けていると感じられます。

 人間がなんとなく集まってきて、生活が積み重なり、いつとはなしにできあがってしまった街とは異なり、陰がないのがその理由かもしれないと思いました。

 その陰の部分というものは、子どもにとっては親の目を盗んで学校に行き帰りに道草を食う場所であり、中高生の不良にとっては意味もなく朝までたむろする物陰であり、大人にとっては社会生活から一時的に隠遁する隠れ家になってくれる貴重な場所です。

 この人工的に作られた街で、人々が息を抜く場所を見つけられずに次々に折れてしまったという話を聞くにつけても、人にはたとえ一瞬でも擬似的にでも「不良」になる瞬間を持つことが必要なのだとしみじみと感じてしまいました。

 どこの街でも鉄道の駅周辺はそうした陰の繁華街を形成しているものです。つくばエクスプレスの駅は地下にあるので、陰になるガード下がないのは残念ですが、聞くところによると駅周辺をなんとなくぶらついている人が増えてきているとのこと。

 この街もようやく、ほんものの都市に脱皮できる可能性が見えてきたのかもしれません。
Commented by bunga3 at 2005-10-06 17:27
つくば駅は、地下にあるんですか!
学園都市だという認識が強いので、普通の人が生活をしている
姿が浮かんできません。
なるほど、実際の街もそういう感じなんですね。
はじめて、つくばについての街の様子を聞くことができました。
Commented by stochinai at 2005-10-06 20:20
 ホテルから学会の開かれている国際会議場まで歩いていても、普通の人が生活をしている姿を見ることはほとんどありません。
 ビルの建築現場のまわりにある一戸建て住宅に、高層マンション建築反対ののぼりがたくさんたっているのが印象に残っていますが、そこでも人の姿があまり見られないんですよ。
 住民が蒸発してしまった街というセリフも浮かびます。
Commented by つくば出身者 at 2005-10-07 12:11
筑波大学出身者です。おっしゃることは非常によく分かりますが、追越宿舎の南、松見公園の東にある、食いだおれというエリアに行ってみてください。歌舞伎町ビルとか、ニュー銀座などといった東京への望郷の念を込めた悲しくちっぽけな飲食街があります。そこでは思う存分、陰影を体験できることでしょう。外国人と筑波大の女子学生がバイトするキャバクラやスナックも多数ありますから、話のネタにぜひ、どうぞ!
Commented by stochinai at 2005-10-08 00:55
 残念ながら、そこを訪問する機会はなさそうですが、つくばを知るという意味でとても有意義な情報をありがとうございました。確かに、そういうのを作るのが人間ですよね。そうしたものがないので上のような感想をもっていましたが、少し見方が変わったと思います。
 つくばの大学や研究所の関係者の方々は、ほんとうに知らないのかもしれませんが、一時訪問者の私には決してそのような「恥部」については教えてくれることがありませんでした。
by stochinai | 2005-10-05 23:59 | つぶやき | Comments(4)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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