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つくば学会2日目

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 学会2日目の午後には、たいてい総会と学会賞受賞者講演それに懇親会があります。

 学会の総会というのは、昔は定足数に達することが難しかったことも多く、それでも何事もなく過ぎることが多かったように記憶していますが、社団法人化した今は定足数に達して総会が成立することが学会存立の大前提ということで、学会前には委任状を必死にかき集めますし、会場にいる人は、総会に参加することを強く進められます。その努力が実って、今日も無事に総会は成立しました。

 成立した総会で審議されることは、どうでも良いようなことばかりなのですが、法律を守るということはこういうことなのだと確認することが、この総会の最大の意義なのかもしれません。

 今回の学会賞受賞者は3人。脊椎動物の頭、顎、エラの進化の研究をしてきたKuさん、ショウジョウバエの生殖細胞がどうやってできるのかを研究しているKoさん、そして両生類の分類学者のMさん。みなさん、長年にわたっておもしろく素晴らしい研究を続けてきた方々です。ほんとうに、おめでとうございます。

 受賞の方々には受賞式の後に講演をしていただくのですが、夜に懇親会があるため講演時間はどうしても制約されることになります。例年、受賞者は2名のことが多く、その場合にはひとり45分から1時間の講演時間が取れるのですが、今回は一人30分ということで時間が短すぎて、かなり気の毒な講演会になってしまいました。学会賞の受賞ということになると、誰でも自分の研究人生を振り返ることになるものだと思いますが、それに研究の概要を話すということになるとやはり30分ではとても無理なのに、みなさんできる限り時間を守ろうとしてくれていました。ほんとうにお疲れさまでした。

 その後には、いよいよ懇親会です。動物学会の懇親会は若い人がたくさん参加するということが恒例になっており、あっという間に食べ物がなくなり追加で焼きそばやスパゲッティが出てくるというのがほぼ間違いなく予想される結末です。今回も、最初に会場に人が入った時点では、自由に歩くことができないくらいに人が溢れる満杯状態でしたので、不安が心をよぎったのですが、いざ始まってみるとなかなか食べ物がなくなりきらないのです。それどころか、例年の会では早々になるなるはずの模擬屋台の生寿司などもあまり気味という、驚きの展開でした。

 若い人たちの顔を見てみると、物足りない顔をしている人はおらず、間違いなく全員が満足するまで食べ飲みしたにもかかわらず、ちょっともったいないと思うくらいの食事が残ってしまいました。これは、動物学会の懇親会としては歴史に残るものになったような気がします。

 会場では、札幌の近くのR学園大学で教員をしている大学の後輩が、自分が指導している大学院生の3人を連れてきて、このブログを読んでくれていると紹介してくれました。近くに住んでいる読者の方々とつくばにまで来てようやく出会えるというのも不思議ですが、これからもよろしくお願いします。

 それから懇親会での収穫がもうひとつ。S都大学になった大学のFさんに「大変でしょう」とあまりにもありきたりで一般的な挨拶をしたら、もうそういう言われ方にはうんざりという感じで「悪いことばかりではないんです。動き出した大学の体制の中で、私たちにも大学を変えるためにできることがありそうだという希望もないわけではなく、がんばろうというエネルギーを出せる面もあるんです」というような、とても力強いコメントを聞くことができました。最近聞くことが少なくなった大学内部からのポジティブな意見で、なんだかこっちまで元気を分けてもらった気がします。Coccoさん、ありがとうございました。

 懇親会の後には、両生類の研究者をまとめ長年にわたって研究集会を主催してきてくれたY大学のO先生が突然大学を辞めることになったということもあり、恒例の懇親会を兼ねた送別会がありました。Oさんが挨拶でおっしゃっていたように、時は移り人は変わります。

 学会大会というのは一年に一回しかないことで、この世界に起こっていることを日常から離れて客観的に見ることができ、はっきりと見える大切な機会になっているということを改めて感じ、やっぱり来年も参加することにしようと、気持ちを新たにしているところです。

 来年は島根大学だそうです。
by stochinai | 2005-10-07 22:59 | つぶやき | Comments(0)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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