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カズオ・イシグロとステイシー・ケント

 カズオ・イシグロはノーベル賞をとるちょっと前から「わたしを離さないで」などで日本では知る人ぞ知る存在になってきていました。私も彼についてはその程度しか知らなかったのですが、ちょっとびっくりする偶然が重なったというお話をします。

 まずはこちらを聞いてください。



 歌っているのはステイシー・ケント(Stacey Kent)という歌手で、私はずいぶん前から好きなボーカルのひとりです。この歌はアイス・ホテルという曲ですが、この歌の歌詞を書いているのがカズオ・イシグロだということを最近知りました。

 この二人の付き合いはずいぶん前からあったらしく、ステイシーのご主人でありサックス奏者のジム・トムリンソンが作曲、カズオ・イシグロが作詞した曲が2007年以来かなりの数になるそうです。

 その2007年に最初に一緒に作った曲が4曲『Breakfast on the Morning Tram』というアルバムにはいっていて、最初の一曲が上の Ice Hotel です。他に Never Let Me Go (わたしを離さないで)という曲や So Romantic が合作のものだそうです。

 二人の出会いも劇的なもので、ある日アメリカからイギリスに渡ったStaceyがラジオ番組を聞いていたら好きな小説家だったカズオ・イシグロがStacey Kent の歌が好きだと言っているのを聞いてショックを受けたというのが2002年で、すぐに彼女はカズオ・イシグロにお礼のメールを書いたそうですが、それから一緒に仕事をすることになるまでのことがこちらに書かれています。Independentの2013年の記事です。

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 英米でもノーベル賞をとってから初めて「カズオ・イシグロって誰だ?」ということになった人が多いようで、そういう記事はたくさん見つかりますが、Stacey Kent のファンにとってはカズオ・イシグロとのコラボレーションは以前から有名だったようで、作詞家としての彼も高く評価されていたようです。

 こちらはフランスのショー番組に3人が出て語りや演奏をやっているものがあります、字幕がフランス語ということで英語を聞くしかないのですが、なんとなくでも楽しめると思います。



 と、ステイシー・ケントもカズオ・イシグロもある程度知っていた私ですが、その二人がつながっていることを知ったのは、カズオ・イシグロがノーベル賞をとってからで、これはやっぱりびっくりしましたが、なんとなくすごくうれしい話でもありました。

 でも、両方を知っている人は少ないので、この話をする機会がいままでありませんでしたので、今日ここで吐き出させていただいてスッキリした気分になりました(笑)。

 そして、ノーベル賞が発表された直後にステイシー・ケントの新しいアルバム『アイ・ノウ・アイ・ドリーム』が発表になるというグッド・タイミングになりました。収録曲のうち、「バレット・トレイン(新幹線)」と「チェンジング・ライツ」がカズオ・イシグロの作詞になるナンバーです。

カズオ・イシグロとステイシー・ケント_c0025115_22425483.jpg
 ステイシーも狂喜乱舞というところだったようです。

 世界広しといえどもノーベル文学賞をとった作家にたくさんの歌詞をかいてもらっているジャズ・シンガーなんていないでしょうからね。








by STOCHINAI | 2018-01-18 22:56 | 趣味 | Comments(0)

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