2005年 10月 19日
コミュニケーションの手段は一つではない
絶好調のとっさ日記けけみさんが、本日ふたつ目のエントリーを書いています。ブログでつながるサイエンスコミュニケーションの輪というタイトルはまさに私が北大CoSTEPの演習で読み解こうとしているテーマそのものです。
しかし、その私がブログ・ワールドに参加したのは今年になってからのことですから、経験も浅くブログの世界に詳しいわけでもありません。ただ毎日ブログを通じてどんなコミュニケーションが可能なのかを実践している、その試行錯誤ぶりを受講生と共有していきながら、みんなでコミュニケーション・スタイルを模索したいというあたりが開講の弁解とでもいうところです。
なにせ私は、ブログとともにネット上での有力なコミュニケーション手段として注目されているソーシャルネットワーキングサービス(SNS)の経験すらないのです。総務省によると、2005年9月末のブログ登録者数は473万で、SNSは399万だそうですので、SNSのことを知らないでブログコミュニケーションについて語るのは片手落ちとも言え、何とかしなければならないとは思っておりました。しかし、SNSに関しては単に面倒くさいから手を出していないというのが大きな理由なのですが、mixiの話を伝え聞いたりしてちょっとだけその仕組みになじめないものを感じていることもまた事実です。
今朝の朝早く(さすがに新聞記者さんはすごい時間に起きていますね)、ニュースの現場で考えることの高田さんが「SNSは権力の複製装置と化すのか」というエントリーを立てられ、月刊誌「フォーサイト」に掲載された阿部氏の記事からの引用で、ブログやSNSという新しいコミュニケーション手段について阿部さんが「mixiなどのSNSが政治への『貸し座敷』となったとし、組織された個人の集合体であるSNSは早晩、企業のセールスの道具となり、政治の道具として利用されるとの見通しを語っている」と、先の選挙で新しいコミュニケーションの手段が宣伝の道具に利用されてしまったことと、将来に対するくらい見通しを持っていることを紹介しておられます。
SNSが政治や商売の道具になるということは、逆に言うとそのくらいパワーのあるコミュニケーション手段でもあるということなのだと思います。私はその「強さ」にちょっとした危惧を抱いているのかもしれません。さらに、その強いつながりが、かなりたくさんの個人情報を共有し合った上での閉じたサークルという環境によって保証されているのだとしたら私にはちょっと息苦しいのです。さらにmixiにあるという「足跡」をたどり合うことができる(誰がどの記事を何時読んだかなどがわかるようです)というしくみも、そこが私の落ち着ける場所ではないと思わせられる理由のひとつです。
不思議なことに、ネットワークに対する問題の提起が、NPO Science Communication News~或いは代表理事日誌さんのブログにもありました。そこで今日、[科学コミュニケーション]デジタルデバイドというエントリーが立てられ、「とは言うものの、ネットはまだまだ局地的なものだ。まだネットを使えない人は多い」とネット一辺倒のコミュニケーションに警鐘をならしています。
ネットがコミュニケーションの手段として、人類がいまだかつて手にしなかったものとして非常な力を持っていることは事実だと思います。しかし、ネットを使える環境にいる人はまだまだ一部だし、そのネット上での仕組みにしてもまだまだ未熟で、さらにはまた使うためのリテラシーにしても確立されているとは言い難いのが現状だと思います。
代表理事さんのおっしゃるように、特定の手段に依存することなく、「本を書く、新聞や雑誌、テレビを通して発言する、声の届く範囲のコミュニケーションを行うといった、ローテクというべきか、どぶ板というべきか、こういった旧来のやり方」と、新しいメディアをクロスさせていくことの努力を怠ってしまっては、せっかく手に入れた新しいメディアを使いこなせないだけではなく、旧来のメディアまでも失うことになりかねません。そうなると、サイエンスコミュニケーションどころか、バベルの塔の再来になってしまいます。
我々の目指す科学技術コミュニケーションは、まだ誕生すらしていないのです。
しかし、その私がブログ・ワールドに参加したのは今年になってからのことですから、経験も浅くブログの世界に詳しいわけでもありません。ただ毎日ブログを通じてどんなコミュニケーションが可能なのかを実践している、その試行錯誤ぶりを受講生と共有していきながら、みんなでコミュニケーション・スタイルを模索したいというあたりが開講の弁解とでもいうところです。
なにせ私は、ブログとともにネット上での有力なコミュニケーション手段として注目されているソーシャルネットワーキングサービス(SNS)の経験すらないのです。総務省によると、2005年9月末のブログ登録者数は473万で、SNSは399万だそうですので、SNSのことを知らないでブログコミュニケーションについて語るのは片手落ちとも言え、何とかしなければならないとは思っておりました。しかし、SNSに関しては単に面倒くさいから手を出していないというのが大きな理由なのですが、mixiの話を伝え聞いたりしてちょっとだけその仕組みになじめないものを感じていることもまた事実です。
今朝の朝早く(さすがに新聞記者さんはすごい時間に起きていますね)、ニュースの現場で考えることの高田さんが「SNSは権力の複製装置と化すのか」というエントリーを立てられ、月刊誌「フォーサイト」に掲載された阿部氏の記事からの引用で、ブログやSNSという新しいコミュニケーション手段について阿部さんが「mixiなどのSNSが政治への『貸し座敷』となったとし、組織された個人の集合体であるSNSは早晩、企業のセールスの道具となり、政治の道具として利用されるとの見通しを語っている」と、先の選挙で新しいコミュニケーションの手段が宣伝の道具に利用されてしまったことと、将来に対するくらい見通しを持っていることを紹介しておられます。
SNSが政治や商売の道具になるということは、逆に言うとそのくらいパワーのあるコミュニケーション手段でもあるということなのだと思います。私はその「強さ」にちょっとした危惧を抱いているのかもしれません。さらに、その強いつながりが、かなりたくさんの個人情報を共有し合った上での閉じたサークルという環境によって保証されているのだとしたら私にはちょっと息苦しいのです。さらにmixiにあるという「足跡」をたどり合うことができる(誰がどの記事を何時読んだかなどがわかるようです)というしくみも、そこが私の落ち着ける場所ではないと思わせられる理由のひとつです。
不思議なことに、ネットワークに対する問題の提起が、NPO Science Communication News~或いは代表理事日誌さんのブログにもありました。そこで今日、[科学コミュニケーション]デジタルデバイドというエントリーが立てられ、「とは言うものの、ネットはまだまだ局地的なものだ。まだネットを使えない人は多い」とネット一辺倒のコミュニケーションに警鐘をならしています。
ネットがコミュニケーションの手段として、人類がいまだかつて手にしなかったものとして非常な力を持っていることは事実だと思います。しかし、ネットを使える環境にいる人はまだまだ一部だし、そのネット上での仕組みにしてもまだまだ未熟で、さらにはまた使うためのリテラシーにしても確立されているとは言い難いのが現状だと思います。
代表理事さんのおっしゃるように、特定の手段に依存することなく、「本を書く、新聞や雑誌、テレビを通して発言する、声の届く範囲のコミュニケーションを行うといった、ローテクというべきか、どぶ板というべきか、こういった旧来のやり方」と、新しいメディアをクロスさせていくことの努力を怠ってしまっては、せっかく手に入れた新しいメディアを使いこなせないだけではなく、旧来のメディアまでも失うことになりかねません。そうなると、サイエンスコミュニケーションどころか、バベルの塔の再来になってしまいます。
我々の目指す科学技術コミュニケーションは、まだ誕生すらしていないのです。
私のブログを引用していただきありがとうございます。
ブログやSNSの可能性と危険を両方とも考えながら実践することが重要ですね。
でも、ここ数日で各ブログでブログ科学コミュニケーションについて議論が進んでいることに、ブログの可能性を感じています。
楽観せず、悲観せず、地に足の着いた議論を続けていきたいですね。
ブログやSNSの可能性と危険を両方とも考えながら実践することが重要ですね。
でも、ここ数日で各ブログでブログ科学コミュニケーションについて議論が進んでいることに、ブログの可能性を感じています。
楽観せず、悲観せず、地に足の着いた議論を続けていきたいですね。
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stochinai at 2005-10-20 16:40
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K_Tachibana
at 2005-10-20 23:25
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榎木さんのブログにネットが使えない方が世の中には多い,いわゆるデジタルデバイドの意見を出した者です.まさに,手間がかかるでしょうが新旧取り混ぜたコミュニケーションのやり方が重要になってくるのでしょうね.
今日,都内でCoSTEPの杉山さんの話を聞いてきましたが,コミュニティFMを活用したラジオ番組の取り組みとPodcasting配信の計画の話が印象に残りました.出演された小学校には録音テープまで配布されるそうで.同じ科学コミュニケーター養成でも,東大や早稲田はこういう手間を敢えて避けているようです(はっきりそう言っていました).
今日,都内でCoSTEPの杉山さんの話を聞いてきましたが,コミュニティFMを活用したラジオ番組の取り組みとPodcasting配信の計画の話が印象に残りました.出演された小学校には録音テープまで配布されるそうで.同じ科学コミュニケーター養成でも,東大や早稲田はこういう手間を敢えて避けているようです(はっきりそう言っていました).
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stochinai at 2005-10-20 23:42
K_Tachibanaさんのブログで、杉山さんの講演会の話を読ませていただきました。熱気が伝わってきました。ありがとうございます。
この盛り上がりを一過性のものに終わらせずに、小さくても良いので全国各地に活動拠点ができると素晴らしいと思います。あちこちでサイエンスコミュニケーション勝手連が立ち上がってくれると理想的なのですが。
この盛り上がりを一過性のものに終わらせずに、小さくても良いので全国各地に活動拠点ができると素晴らしいと思います。あちこちでサイエンスコミュニケーション勝手連が立ち上がってくれると理想的なのですが。
by stochinai
| 2005-10-19 23:13
| CoSTEP
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