2018年 09月 03日
スミソニアンのデジタル・ライブラリーから
今朝、Facebookを見ていたらスミソニアン図書館のデジタル・コレクションの「image library」に「back cover」という項目があることを知りました。絵や写真の少ない昔の本では「裏表紙」が華やかな図を提示する重要な場所だったことがしのばれます。例えば、これは種や球根や園芸用品を売るカタログの裏表紙のようです。






おそらく当時流行したあるいは最新のバラの品種(学名があるので調べてみるとテリハノイバラという種らしい)が描かれているようです。1896年の出版です。
そしてこちらは1872年のもので同じく園芸カタログの裏表紙で新しいフクシアの品種が登場した年なのでしょう。

裏表紙だけではなく表表紙「front cover」もありました。
1896年の園芸マニュアル本のようです。表紙の絵はスイートピー。

というわけで、スミソニアンのデジタル・ライブラリーではイメージ・ギャラリーとして画像で古文書を楽しむ仕掛けも用意されています。
もちろん花だけではなく、アーティストの肖像などもたくさんあります。これはその中のひとつで Emma Stebbins (1815-1882) という女性の肖像写真です。もちろん私は知りませんでしたが当時は珍しかったに違いないアメリカの女性彫刻家だそうです。

もちろん学術的な画像もたくさんありまして、たとえばこれは当時はほとんど知られていなかった中央アメリカ産バクの精密なスケッチ(Alston, Edward R., Sclater, Philip Lutley Biologia centrali-americana [London: Pub. for the editors by R. H. Porter], 1879-1882)です。

というわけで、ここのライブラリーではいくら見ていても見飽きないというか、見きれないほどの画像が公開されています。
アメリカのすごいところのひとつは、こうして公開できるものはどんどん公開して自由に使ってもらって、さらにその価値を高めてもらうことを最優先にしているところだと思います。もちろんお金儲けできるものは著作権の期限を延長して儲けようという一面もあるのですが、それができないものはあっさりとパブリック・ドメインにして無料で公開してしまうところがすごいと思います。最近は日本でも少しずつ古文書などは公開されるようになってきているところもありますが、便利に使いやすいようにアクセスしてもらうための工夫がぜんぜん違うように思います。
結局、できるだけたくさんの人に自由に使えるようにしておくことが、さらにそこから新しい価値を生み出すということに貢献するのだということを知っているか気が付いていないかという違いなのかもしれませんが、この差がどんどんと蓄積していって我彼の大きな差が生まれてしまったと考えると、文化に対するスケールの違いを感ぜざるを得ません。
今からでも遅くないので、若い人が自由に過去の芸術・科学作品に触れられる環境を作って欲しいと強く願うところです。
by STOCHINAI
| 2018-09-03 21:25
| コンピューター・ネット
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