5号館を出て

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「被災者」になって

 夜が明ける前の3時8分にいきなり身体を振り回されるとともに、部屋のあちこちでものが落ちたり倒れたりする音で起こされました。今までに経験したことのない激しい揺れで、収まった後もいつものように眠ることはできませんでした。

 その後も数分おきにさすがにこれよりはずっと小さいものではありますが余震が続きます。

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 額のひとつが落ちてガラスが割れてしまったのですが、片付けるのは明るくなってからにしようと思っていましたが、その余裕をあざ笑うように停電になってしまいました。それまで見ていたテレビの地震情報も見られなくなり、真っ暗の中でたよりになるのは電話の電波回線を利用したネットアクセスだけになります。それでも、Facebookやmailで知り合いからの情報や安否の打診を見ていると勇気がわいてくるものです。

 そうこうしているうちに、だんだんと空が白んできました。

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 5時前になる頃には懐中電灯なしで行動できるくらいに明るくなってきました。

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 天気は良さそうです。青空を見ると元気が出てきます。

 東の空には不思議な雲の行列がありました。

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 でも、のんびりと空を眺めていることもできないくらい、あちこちからはパトカーや救急車や消防車のサイレンが聞こえてきます。

 近くの丘珠空港からは次々とヘリコプターが南東の方向の空に飛んでいきます。震源は厚真町ということでそちらの方向に飛んでいくものが多いようです。

 
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 気をつけていってらっしゃい。

 明るくなってきたので外に出てみると、地震の揺れで昨日の雨で満杯だった水盤の水がかなり振り出されてしまっている「証拠」を見つけた気がします。満杯だった水が、半分にまで減っています。

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 昨日もiPadの待受画面にはたくさんの警報が出てきていました。それが昨日は暴風と豪雨の警報だったのですが、今日もたくさん出てきているのは地震と余震の警報という2日続きの大変な立場に置かれたことを実感しています。

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 気が付いてみると、どうやら我々はニュースの中では「被災者」として扱われているようです。

 いつもはニュースの中で「あちらにいる人」だと思っていた「被災者」に自分たちがなってしまったということに、なんとも居心地の悪い不思議な気持ちになるとともに、この状況を生き抜くことは自分たちが切り開いていくしかないという決意を持つという覚悟もできてくることも感じた一日でした。

 幸いなことに、我が家は断水もせず、日が暮れる前に電気も復旧しましたので、いまや「被災者」と甘えてはいられない気持ちになってしまいましたが、水や電気というインフラのありがたさをしみじみと噛み締めて寝不足の身体を横たえることになります。







by STOCHINAI | 2018-09-06 22:11 | その他 | Comments(0)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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