5号館を出て

shinka3.exblog.jp
ブログトップ | ログイン

頭蓋骨から絶滅したトリが嗅覚のするどい夜行性だったことがわかる

 500年ほど前に絶滅したマダガスカルに住む身長が3メートルほどもある地球上で最大の飛べないトリ「エレファントバード」はその生態すらまったく知られずにいる謎のトリでしたが、このたび残された頭蓋骨を調べることでこのトリが夜行性で視力はほとんどなく(というか盲目に近く)、逆に鋭い嗅覚で餌を探していたことがわかったという論文が出ました。

 解説記事がこちらにあるのでご覧ください。想像生態図もあります。

c0025115_23412693.jpg

 論文はオープンアクセスなのでアクセスしてご覧になるといいと思いますが、こちらにあります。

c0025115_23374477.jpg
 話は簡単で500年位前までマダガスカルで生きていたトリで、骨格などはたくさん残されているのでそれを現存のトリと比較すると、その視覚や嗅覚の能力がだいたい想像できるということです。

 こちらがいろいろな種類の脳の構造です。

c0025115_23433500.jpg

 上の4つが2種類のエレファントバードの脳の図で、その下が近縁と考えられているニュージーランドに住むキイウィと南米に住むレアの、下の4つが近縁で飛べる2種のシギダチョウ(ティナモウ)というトリの脳です。赤い点々で囲まれたところが視覚に関係した領域で広ければ広いほど視力が優れていると考えられています。キイウィは夜行性でほとんど目が見えないということですがエレファントバードの脳の視覚に関係した領域はキイウィと同じくらい狭いので、このことからエレファントバードもキイウィと同じように夜行性で目が見えなかったと考えられるそうです。もちろん昼行性のシギダチョウの視覚に関係した領域はとても広いことがわかります。

 この脳の解析から次のような進化の道筋が考えられているというのがこの論文の要旨です。

c0025115_23551066.jpg

 系統図が2本ずつになっていますが、上側が視覚能力に、下側が嗅覚能力に関係した脳の領域の大きさで、視覚に関しては色が濃いほど小さくて視力が弱く夜行性、嗅覚に関しては色が濃いほど大きくて能力が高いということを示しています。エレファントバードは視覚が弱く嗅覚が強いので夜行性なのだろうと想像されるということです。これは現存のキイウィと同じ性質です。

 この巨大なトリは500年位前まで人間と一緒に生活していたはずなのですが、ほとんど伝説も残っていないのはおそらく彼らが夜行性だったということも関係しているのかもしれません。

 人間のせいで滅びたことがじゅうぶんに想像されるエレファントバードですが、その生態についてほとんど情報が残っていなかった謎のトリでした。最新の解析技術で頭蓋骨を調べることでその生態までも推測できるというのはとてもおもしろいと思いご紹介してみました。

 それにしてもドードーなどを代表とする巨大なトリは次々と人間に滅ぼされてしまって残念なことこの上もありませんね。








by STOCHINAI | 2018-11-02 00:08 | 生物学 | Comments(0)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


by stochinai