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単為発生のトゲウオ発見の論文かと思ったら卵巣内受精という珍しい現象だった

 タイトルだけ見てtwitterで「単為発生のトゲウオ発見」とつぶやいてしまいましたが、大間違いでした(汗)。


 返信で訂正してありますが、改めてお詫びして訂正させていただきます。

 元論文はオープンアクセスなので実際にご覧になっていただけばわかりますが、こちらです。

単為発生のトゲウオ発見の論文かと思ったら卵巣内受精という珍しい現象だった_c0025115_21115760.jpg

 Chromeに翻訳してもらうとこうなります。そんなに悪くはないと思います。

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 要するに「普通は交尾をせずに産卵をするタイプのトゲウオ(和名はイトヨ)のメス胎内で仔魚が発生しているのが観察された」というタイトルです。

 交尾をしないタイプのサカナはオスが精子をメスの胎内に注入する器官(penis)を持っていないので、精子がメスの胎内に入るということは想定できないので、メスの胎内で発生が起こるのは、1)単為発生か、2)雌雄同体か、3)なんらかの方法で精子が胎内に注入されたか、というケースが考えられるので、この論文ではそれを検討したということです。

 論文の要旨は英語ですが、それを読めばだいたい内容はわかります。

単為発生のトゲウオ発見の論文かと思ったら卵巣内受精という珍しい現象だった_c0025115_21292660.jpg

 こちらも訳してもらってみましたが、これはちょっとお笑いにしかなりませんでした。(とここで震度4の揺れがありました。震源は胆振地方中東部。最大震度6弱。幸いなことに今のところ、停電は起こっていません。)

単為発生のトゲウオ発見の論文かと思ったら卵巣内受精という珍しい現象だった_c0025115_21300155.jpg
 これは無視して上の英文を読んでいただきたいのですが、「たくさんのサカナで卵生から胎生への進化が起こっていますが、その中間型である卵生のサカナが胎内で仔魚を発生している例はほとんど見つかっておらず、今までに2例の報告があるだけなので、今回の報告が世界で3番目ということになります」という序文から始まり、今回のイトヨ(英語では三本のトゲをもつトゲウオ)の例が書かれています。

 メスの卵巣で発達する仔魚を手術で取り出して体外で育ててみると成体にまで成長したので、親や子の解剖学的・遺伝学的特徴を調べてみると、まず親は完全なメスで卵巣しか持たず、精巣も持っている雌雄同体ではなかったこと、仔魚にはオスとメスがいたこと、また仔魚には母親にはない遺伝子が見つかったことなどから、メスだけの単為発生も否定され、オスによって精子がもたらされたが故の発生であることが結論された。

 おそらくなかなか産卵せずにいるメスの存在が、胎内に精子をとりこみ胎内で発生するという卵胎生へと進化する途上にあると考えることもできる珍しい観察だと思われます。

 こちらが論文で示された卵巣内で発生する仔魚です。

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 筋子のように束になっている卵の中に発眼している仔魚が見えます。拡大してみると、脊索・心臓・眼ができている仔魚も確認されます。

 謎なのは精子がどうやって卵巣にまで入ってきたかということです。はっきりしたことはわかりませんが、今回調べたメスは野生から採集してきたもので、オスの作った巣に入って産卵行動をとっていた可能性があるので、巣の中ですでに生み出されて精子をかけられ受精しつつある卵のまわりにあった生き残りの精子がメスの輸卵管を通って卵巣にまで入ってきた可能性を考えているようです。

 それにしても卵胎生のトゲウオはまだ発見されていないので、このまま行くと何万年か後には卵胎生のイトヨが進化してくる可能性があるということになるのかもしれません。それまで待って観察することはできませんので、一所懸命に探してすでに卵胎生になったトゲウオを見つけるほうが早いと思います。おそらくいるぞ!









by STOCHINAI | 2019-02-21 22:17 | 生物学 | Comments(0)

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