5号館を出て

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メダカを孵化後しばらく緑色光下で飼育するとオスに性転換するメスが出てくる

 新聞などでも報道されたのでご存知の方も多いかと思いますが、鹿児島大学の博士課程の学生がおもしろい現象を発見して、世界的なオープンアクセス雑誌に論文を発表しました。

 こちらが原著論文ページです。

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 このくらいの英語なら和訳する必要もないかと思いますが、Chromeに翻訳してもらうとこうなります。

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 ついでに要約も翻訳してもらいましたが、このくらいできれば合格レベルだと思います。

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 実験自体は非常に簡単で、メダカの子どもを孵化直後から白色と緑色のLEDライトの環境で飼育し、2ヶ月後にオスメスの判定をするだけです。メダカのオス・メスは外から見ても比較的簡単に判断できますが、そこは生物学論文ですから、解剖して生殖巣がどうなっているかと性転換したオスの精子で受精した子どもがオス・メスどうなるかをチェックしています。下は白色光と緑色光のLEDライトの波長を比較したAと、光を当てたのが孵化直後から60日ということを示す図です。

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 今どきの論文なので、白色光でも緑色光でも遺伝的にオス(性染色体がXY)ならばそのまま、遺伝的なメス(性染色体がXX)が性転換してオスになった場合でも性を決める遺伝子は変わらないことも示していますが、性転換したメスの生殖巣は精巣に変化していることを示しているずです。

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 この性転換メスは外見でもオスっぽいですし、もちろん精子も作ります。

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 オスの作る精子は正常ならばX精子とY精子ができますので、X染色体だけを持った卵と受精すると普通は1:1でオスとメスが生まれてきますが、この性転換メスの作る精子はすべてがX精子なので、普通のメスと交配するとその子どもはすべてがメスになることも確かめています。

 ただし、緑色効果で飼育してもすべてのメスがオスに性転換するわけではなく16%程度です。現時点ではこの性転換がどうして起こるのかの原因についてはまったく不明のようです。

 最初この論文のニュースを聞いた時に、分化しつつある生殖巣に強い緑色の光でも当てるという実験をしたのかと思っていましたが、ローカルニュースで取り上げられた研究室の様子を見て、それはないということがわかりました。まあ、鹿児島のローカルニュースを保存したYouTubeの映像をご覧ください。驚くほど簡単な飼育設備での快挙だということがわかります。



 これを見て、私が今考えているのは緑色の環境に置かれたメダカの子どもが視覚・神経・内分泌系などに混乱を生じて性転換したという可能性ですが、メカニズムはどうあれこうした前人未到の現象を発見したということは非常に大きな生物学に対する貢献だと思います。

 性転換が16%程度しか起こらないということから、この先の解析には困難が予想されますがひとまず素晴らしい発見に称賛の拍手を送ります。

 このような発見をしてくれた研究グループのみなさんが、これからも楽しい研究生活を送ってくれることを期待します。









by STOCHINAI | 2019-03-04 22:23 | 生物学 | Comments(0)

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