2019年 03月 12日
女性イラストレーターによる自然史アートの貢献
8755枚の挿絵の大多数は植物画なのですが、動物も脊椎動物から無脊椎動物、化石までもかなりの数が掲載されています。今日は1000分の1くらいしかご紹介できませんので、動物を主に拾い集めてみました。
動物生態画の見本みたいなエランドの絵はWinifred Marie Louise Austenさんという方が描いたものです。
カンガルーはHelena Scott Fordeさん。
トリの絵もたくさんありますが、こちらはElizabeth Gouldさんの手になるものです。
爬虫類と両生類はMary Edith Durhamさんの得意分野のようです。
なんと彼女の描いた日本のオオサンショウウオの絵もありました。
チョウザメとアミアが並んだ絵はCharlotte M. Pinkertonさんです。
無脊椎動物は肉眼で見えるものだけなので昆虫を除くとそんなに多くはありません。甲虫はMaud Horman Fisherさん。
スズメガはJanet Harvey Kelmanさんです。
そして、Ada Hill Walkerさんの描くゴカイ。
珍しいところでは、ちょっと微視的なサカナの発生を描いたものもありました。Ada Hill Walkerさんです。
魚拓みたいに見えますが、Helena Scott Fordeの描いたサカナの化石だそうです。
というわけでこれらを描いた女性のイラストレーターは生物学の世界に科学者として名前を残してはいないようなのですが、こうしてみると写真や動画が出てくる時代以前の世界では、これらの「作品」を描いた女性画家の方々の貢献なくしては自然史科学の成果はなかったと言っても言い過ぎではないと思います。
私の研究分野のひとつでもあるアフリカツメガエルのイラストも出てきましたが、私の記憶にも残るくらい印象的な絵は間違いなく私が過去になんども参照させていただいたものです。それが女性のイラストレーターの手になるものだということは、今日はじめて知りました。
というわけで、#MeTooばかりではなく自然史科学における女性の貢献が論文の署名欄以外にもこれほど大きなものがあったことを「これでもか」と見せられるFlickrのすごいアルバムなのでありました。
映画の最後にはエンド・ロールというものが延々と流れて、一本の映画を作るのにいかにたくさんの人の協力が必要だったかが表示されますが、学術研究の成果でもおざなりの「謝辞」ではなく、映画と同じようにいろいろな貢献をした人を正当に紹介するエンドロールのようなものが必要だと反省しているところです。
by STOCHINAI
| 2019-03-12 22:02
| 科学一般
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