5号館を出て

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いよいよ始まる遠隔授業

 ともかく一介の雇われ人にすぎない非常勤講師ですから、雇用している大学の方針が決まるまではまったくなんの情報も得られません。現役の頃ならいろいろな会議を通じて意見を上げることもできなくもなかったのですが、今回の非常事態が起こる前に今年度の非常勤講師を引き受けていた事情から今年度の授業がどんなふうに始まるのかいつ始まるのかなどについての一切の連絡がないまま大学から連絡があったのが4月29日でした。
 もちろん例年ならば4月の初めから授業が始まっているのですが、その間大学では卒業式も入学式も入学ガイダンスも健康診断もなにもかもできないまま過ぎているということは大学のホームページを見ていればわかりましたので、私の最初の授業が予定されていた4月10日には大学へ行っても無駄だということだけはなんとなく理解しておりました。

 それから20日ばかりも大学からはなんの連絡もないまま過ぎていたのですが、大学から来た連絡メールは今年の前期の授業は教室での対面形式で始めることはできなく、とりあえず5月11日からオンラインで遠隔授業を始めるという通知でした。ついては、私の担当する生物学の授業もオンラインで行いたいが協力していただけるかどうかという二者択一(やるのか、やらないのか)の決断を迫るものでした。遠隔授業はGoogleのシステムの中にあるGoogle Classroomで行うことが決まっているがそれでいいかどうかとも訊かれましたが、いただいた簡単なマニュアルをみたところでは不可能ではなさそうだったので、やらせてくださいとお返事をしておきました。

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 授業の様子を撮影していただいて、リアルタイムやオンデマンドで配信することなら何回か経験がありますが、いわば1人ですべてを手作りする遠隔授業というものはやったことがありません。とりあえず、やると言ってしまった以上、付け焼き刃ではありますがネットにある動画も含めた資料を読み漁りました。実際にはそれほど複雑なものではないものなのかもしれませんが、こういうものばかりは実際にやりながら慣れていくしかないのですが、大学のシステムのアカウントをいただいたのがやっと5日前でした。それまで自分のGoogleアカウントで模擬実験はやってみていたのですが、システムの動きが想定していたものとぜんぜん違うなどということはあたりまえで、これは実際に走らせながら慣れつつ修正を加えていくしかないと思い、今週の金曜日から始まる授業の学生の登録手続きの方法を教えてもらったのがなんと今日でした。

 76名の履修者がいるということはわかっていたので、学生に一括メールを出してクラスコードを送ったのが先ほど午後6時でしたが、そこからは意外とスムーズにことが運んだのは、さすがデジタル世代の学生ということかもしれないと感心しています。2時間ほどで67名が学生登録をしてくれました。

 ちょっと心配だったのは、昨年までの学生を見ていると簡単な宿題をメールで出すと半数くらいはスマホで提出しているような印象があったので、本格的な遠隔授業もスマホでやることになるのか知りたくて授業の前に簡単な任意アンケートをしてみました。

 これも驚いたことに、ほとんどの学生があっという間に返信してくれたのです。

 その結果を見ながら、これは意外とすんなりといけるかもしれないと思っているところです。皆さまにもアンケート結果をお見せします。

 アンケートはハードとソフト、ネット環境について尋ねました。

 スマホは基本的に全員が持っているようなので、PCを使える人がどのくらいいるかが一番の知りたい点でしたので、こんなふうなアンケートを作って答えてもらいました。

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 チェックボックスは複数選択可能にしてあります。

 この質問の答えがこちらです。

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 46件の回答中41件がWindowsまたはMacのPCを使っています。スマホやタブレットを合わせて32件というのはおそらく全員である46人が持っていても授業視聴用には必ずしも使っていないということで、逆にPCが41件でタブレットを合わせると47名と全員が大きな画面を使えるということになっているのだと思います。この件について教務に問い合わせたところ、大学ではPCを持っていない学生に経済的支援をしてPCの購入を促したり貸与したりしているということで、ほぼ全員がPC環境を使えると考えていいということだそうです。

 これは大変に心強いです。

 「今の学生はスマホばかりでPCが使えない」と言われることが多く、私もそのような印象をもっていたのですが、コロナのおかげの遠隔授業で日本の学生のPCリテラシーが格段に改善される可能性も感じられました。

 PCが使えるとなるとGoogle ClassroomはChromeブラウザーで使うことを推奨していることも受け入れられているかもしれないということで次の回答を見てみると興味深いです。

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 素直にほとんどの学生が推奨するブラウザーでアクセスしてくれているようです。アップルのiOSアプリもあるのでそれでアクセスする学生もいますけれども、46名中41名がブラウザーでアクセスしてくれているのはうれしい驚きです。

 PCでネットを使っているとなるとおそらくWi-Fiも大丈夫だろうとおもっていましたら、大丈夫でした。

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 おまけにほとんどの学生がプリンターも持っています。

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 結局、学校が主導してやらせていなかったから日本の学生のPCリテラシーが低かっただけだという感じがしてきました。

 教育側が誘導して、難しいところには補助していくということをすればあっというまにこうなるのだと確信が持ててきました。

 これで、ようやく授業の内容のほうに集中できそうです。










by STOCHINAI | 2020-05-18 22:29 | 大学・高等教育 | Comments(0)

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