5号館を出て

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緊急事態宣言を抜けるのがいいのか抜けないのがいいのか

 政府は緊急事態宣言が継続されている8つの都道府県のうち、京都・大阪・兵庫について、宣言の解除することを決めました。一方で北海道・東京・神奈川に加え、東京と隣接する埼玉・千葉は宣言を継続することになっています。

 北海道が宣言を解除されなかったことに関してはその根拠となる感染者の発生の大多数を占める札幌圏に住んでいるものとしては淡々と受け入れる気持ちです。市内や近郊の病院や高齢者福祉施設で集団発生が起こっていることが完全に消火した状態とは思えないので、むしろまだ緊急事態であると政府や北海道・札幌市に認められてそれなりの対応をしてもらえることをありがたくすら思えています。

 市内における感染の連鎖が頻発している状況ではなくなっていることは感じられるようになりましたが、逆に閉鎖された病院や施設の中で感染が広がり始めると内部ではその人の属性(医療関係者であろうが患者であろうが、介護者であろうが被介護者であろうが)とは無関係に感染が拡がっていく恐ろしさがあります。逆にいうとその組織は社会から見ると外には出てきてほしくない「切り離されるべき存在」になってしまう疎外感も感じているに違いありません。

 というわけで、感染をどこかに封じ込めるという作戦は感染した人を「封じ込められるべき」対象にしてしまう差別を生み出す原動力になってしまいがちです。

 それならいっそ街全体、都道府県全体が「汚染地域」として大枠で差別されていたほうが気が楽だという感覚はあるものです。

 そういう意味で、今回北海道が全体として緊急事態宣言をされたままになってしまっていても、実際には日々の感染者報告が少なくなっているここ数日は逆になんとなく心が安泰になっているというのが正直なところでもあるのです。

 人の動きが少なくなっているので、新たな感染者が出てもウイルスが伝播してきたことが思い当たりやすく、感染源不明というケースがどんどん減ってきていることもなんとなしの安心感につながっているのかもしれません。

 こちらは札幌市で日々検出された新たな感染者を、感染源が推測できる赤いバーと、それがわからない灰色のバーで色分けして表示したグラフです。

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 全体的にたくさんの感染者が確認されている時には、感染源の推測が難しいケースもはっきりしているケースも多いのですがここ1週間位は新しい感染者が確認される数も少なく、その多くがクラスターとして「納得」できる感染によるものが多くなってきており、その分見えない恐怖感も薄らいでいる気がします。

 札幌市全体の状況も好転しています。

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 陽性確認者数や死亡者数は累計なので減ることはないのですが、白丸で示されている現在患者数が5月に入ってから着実に減少しているということは、病院のベッドがどんどん空いてきていて、新たな患者さんが出てきたとしても受け入れる余裕が増えてきていることを示しているとても良い傾向を示しています。

 もちろん新しい患者さんが増えることは歓迎するわけではありませんが、緊急事態宣言が継続されて人の動きが制限されているだけでなく人々の緊張感も高いままなので患者数の減少がこのまま進むことが期待される状況なのが歓迎すべきところというわけです。

 というわけで、どうせここまで異常な社会的対応をしてしまったのだから、もうしばらくこれを続けてさらに安全な状態へと向かい、その間に我々の行動パターンも少しずつ旧来のものとは変わっていくことができるのならそれに越したことはないと感じております。

 商売をしている方の中にはもう限界まできているという方もたくさんおられて、のんきなことを言ってはいられないということもよくわかるのですが、ここまできてしまった以上、むしろここで元の木阿弥に戻る危険を犯すよりはもうあと1週間くらいはこのままでこらえて、未来へとつなげることを選びやすい環境をもらえるという意味で緊急事態宣言が解除されなかったことを歓迎している方も多いように感じられる札幌@北海道です。









by STOCHINAI | 2020-05-21 23:20 | 札幌・北海道 | Comments(0)

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