2020年 08月 10日
海の日じゃなくて山の日だそうです
今日は8月10日月曜日ですが、カレンダーは赤く塗られていて休日のようです。ほとんどの人にたずねても何の日か答えられる人はいない祝日「山の日」です。Wikipediaには「2016年(平成28年)1月1日施行の改正祝日法で新設された」と書いてありました。その上「「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」ことを趣旨としているが、山に関する特別な出来事などの明確な由来があるわけではない」といういい加減この上もない祝日ですから、記憶になくても誰も責めることはできません。どうしてこういういい加減なことを法律で決めるのでしょうか。
朝からほぼトップニュースの扱いで全国の高温についての注意が繰り返されていますが、それはどこの国の話かと思われるくらい涼しい札幌の最高気温は午後1時3分の24.8℃でした。
それでも一応真夏の花のノウゼンカズラが満開です。これは朝、最初に撮った写真です。
今日は午前中から出かけていたので、あまり写真を撮る時間もなく、他にネタがないのですが一昨日だったかにKindleの「日替わりセール」で購入した「生き物動物の死にざま」をご紹介します。
私もいちおう「動物学者」のはしくれなので、この本の内容は知っていることも多かったのですが、講義などのネタになるような豆知識が満載の楽しい本だと思いました。中学生くらいのマニアからでも十分読みこなせる内容だと思います。
読んでいて気に入ったのはその内容もさることながら、挿絵の「ゆるさ」でした。
たとえばこれは深海の熱水噴出孔に住むイエティクラブ(「雪男ガニ」)です。
このカニのメスは一生に一度だけ卵を生むためにそれまで暮らしていた適温の熱水噴出孔から遠ざかり、卵を生んだ後に死ぬと考えられているそうです。この本の中に繰り返し出てくるテーマは親の死と子どもの誕生です。このカニもその運命のままに死んでいくようです。
こちらはアンテキヌスという有袋類(カンガルーのように胎児になるまえに出産して袋の中で子どもを育てる哺乳類)です。小さなネズミのような彼らの寿命はメスで2年、オスで1年位という短さです。
このオスは死ぬ前の2週間位が生殖期で、その間にできるだけたくさんのメスと交尾をしたあげくに死んでしまうという壮絶な短い一生を送るそうです。オスもメスも短い生涯の中で相手を選択している余裕もなく、出会ったら相手と片っ端から交尾を繰り返したあげくにあっさりと死んでしまうのだそうです。なんという壮絶な一生でしょう。その割にはかわいい顔をしたネズミです(笑)。
こういう珍しい動物だけではなく、どこの動物園にでもいるアフリカのサバンナの定番動物のシマウマもいます。
この絵はぱっと見ると一頭のシマウマのようですが、母シマウマの模様に隠れるように子どものシマウマがいます。なるほど、シマウマの縞はこういう子どもを守る意味もあったのかと思わせられるもので、私としては個人的に感動しました。
そして札幌に住む我々にはおなじみの雪虫(ワタアブラムシ)も出てきます。正式な名称はトドノネオオワタムシだと我々は知っていますが、アブラムシの仲間でありワタをふいたような虫はまさにワタアブラムシが直感的にはわかりやすいかもしれません。さらに、恥ずかしながら私はあの「しろばんば」というのがこの雪虫のことだとこの本で初めてしりました。
その雪虫の絵がまた最高です。
まるで、子どもが雪虫が飛んでいるのを見て描いたような、まさに我々の見知っている雪虫ってこれだよねという絵にやられてしまいました(笑)。
というわけで動物学的には特に高度な情報が得られる本というわけではありませんが、なんともほのぼのとした気持ちで動物たちの生と死を味わえる一冊だと思いました。
定価で買っても損はないと思いますので、奥付けを転載しておきます。
イラストは「わたなべろみ」さんという方なのですね。なかなかいい味を出していると思います。
そうそう、最後になりましたが、今朝もカプトメデューサの発芽の観察はしてありましたので、写真をアップしておきます。
まだ生きているようです。
by STOCHINAI
| 2020-08-10 23:07
| その他
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