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「平成一八年度予算編成等に関する建議」文教・科学技術を読む

 YamaguchiJiro.comに興味深いことが書いてありましたので、ソースに当たること二しました。

 「今日、大きな政府の力で勝ち組から重い税を取り、それを負け組に再分配するという結果の平等という思想は、負け組みを含めて人気がないようである」という認識は、私も持っておりました。それは認めるにしても、「しかし、健全で活力ある社会を維持するためには、機会の平等を確保することは絶対に必要である」ということもまた譲れないという点で、共感いたしました。

 この後に重要なことが書いてあります。「財務大臣の諮問機関、財政制度審議会が提出した『平成一八年度予算編成等に関する建議』では、歳出削減の一環として育英事業の抑制が明記されている」ということは、奨学金制度などを縮小するという提言だと思います。えーっ、それは逆じゃないのですかということで、原典に当たってみることにしました。

 全体はものすごく長いので、今回は私たちにもっとも関係の深い「6.文教・科学技術」の項目だけを見てみます。まずは、「建議」のポイントから抜粋します。

6.文教・科学技術

義務教育職員については、人確法の廃止に向けた取組み、人員の純減を行う必要。また、教科書単価大幅削減私学助成の削減育英事業の規模抑制が必要。

総合科学技術会議は、量的拡大の発想を排し国民に対する説明責任の教科といっそうの重点に取り組むべき


 アンダーラインは、本文のままなのですが、要するに全部が重要だということならば、あえてアンダーラインなど引かなくても良いのではないかという気もします。この審議会が文教・科学技術政策に対して非常に否定的な考えを持っていることが、このアンダーライン攻撃からも見て取れます。これと同じくらいアンダーラインが引かれているのは、ご想像の通り「1.社会保障」です(笑)。

 文教予算のところから具体的に読んで言ってみると、さらに刺激的な文章がぞろぞろ出てきます。

ア.義務教育国庫負担金の改革

もはや教職員数を増やせば学力向上につながるとの考えは改めるべき

学校の統廃合を進め、適正なクラス数を確保する必要がある

(教員給与は行政職的な体系から)より専門職的な給与カーブに改めていく


 義務教育の役割は学力向上だけなのでしょうか。教員は生徒指導や地域活動など、行政職的なことをたくさんやらされているという実態は無視していいのでしょうか。要するに昇給を鈍化させよということのようです。

イ.教科書無償給与の見直し・単価の引下げ

貸与性を含め有償性に向けた改革に取り組む必要がある

児童生徒一人あたりの単価を大幅に削減することが強く求められる


 教科書が有償になったら、大学生と同じように買わない生徒がたくさん出てくるなんてことにならないでしょうか。そもそもなんで無償にしたのか忘れちゃったのですか。

ウ.国立大学法人運営交付金の重点化、効率化

特に運営費交付金における特別教育研究経費の予算配分については、国の高等教育政策実現の観点から、客観的かつ厳格な評価に基づく支援のさらなる重点化を図る

受益者負担の徹底、私立大学との格差是正などの観点から、各大学の自己収入確保の努力をいっそう強化すべき


 きましたね、大学政策。特別教育研究経費とはいわゆる競争的な運営資金ということで、研究推進経費、拠点形成経費、連携融合事業経費、特別支援経費などをさらに厳しく貧富の差を付けて配分するということだと思います。基本的アイディアとしては、一概に否定すべきものではないと思いますが、実際の運用に公平性を期していただけることをお願いしたいと思います。

 大学の自己収入というのは、授業料、入学料、受験料、大学病院の収入、それに微々たるものでしょうが施設の使用料などのことです。私立との格差是正が終わってもなお上げ続けるためのおまじないが「受益者負担の徹底」ということだと思います。注入している税金分をすべて収入でまかなえるようになったら、それは民営化ということですね。さらにこの後に民営の私立大学補助の削減が出てきます。

エ.私立大学等経常費補助の見直し

在籍者一人あたり物件費・人件費支出は、経済動向を大幅に上回るペースで上昇し、国立大学における増加率を大きく上回っており、、、、、経営努力が求められる

私大等経常費補助については、、、、削減することが求められる


 私大も大幅に予算削減です。

オ.育英事業

延滞額が一貫して増加し1787億円(貸与残高の4.7%)に上っており

まずは事業規模の拡大傾向に歯止めをかけることが強く求められる


 奨学金を増やしてはいけないということです。延滞金の回収も強く求めています。そのうち、サラ金から借りてでも返せということになるかもしれません。

カ.その他の高等教育支援

単なる機関補助を可能な限り削減し、、、、競争原理に基づく支援を活用すべき

支援制度自体についても適切な評価が必要


 ひたすら、削減したいみたいです。

(2)科学技術予算

従来のような官に量的な規模の拡大を求めるという発想を排し国民に対する説明責任の強化と科学技術投資のいっそうの重点化に積極的に取り組む

重点化領域の一層の絞込みにより、投資効果を最大限に発揮させることが必要

科学技術予算といえども聖域扱いをすることなく、経費の大胆な選択と集中を推進し

特定研究者への過度の研究資金の集中の排除や、適切な「目利き」が実現するような審査体制の確立等により、研究資金を最大限に有効活用する


 より競争を激しくして、研究組織間の貧富の差を拡大せよということですね。私はすでに十分重点化は行われていてそろそろ反省しても良い時期だと思っているのですが、さらに重点化せよというのはちょっと違うのではないか、現場を良く見ていないのではないかと感じます。ただ、最後に書いてある「特定研究者への過度の研究資金の集中の排除や、適切な『目利き』が実現するような審査体制の確立等により、研究資金を最大限に有効活用する」件については、是非ともうまいしくみを作って実現できるようにお願いしたいと思います。ついでに、そうした審査体制の公開制・透明性に関しても「国民に対する説明責任」のひとつとして、よろしくお願いしたいと思います。

 全体としてみると、18年度予算は教育に関しては、縮小・受益者負担・自己責任型ということにしましょうということのように読めました。

 教育機関にいるものとしては、かなり不安な内容と言えます。

 これで、米100俵の政策はなくなったということなのでしょうか、総理大臣殿。

追記:
 こちらに関連記事「あかるいみらい」のエントリーがあります。
Commented by ヤマグ at 2005-12-05 22:34 x
来ましたね。予想通りでしょう。これから、少子化ですからね、教育全般的に削減方向となるのではないかと。エンジェル係数が高いなら、そこから出してもらおうという魂胆かも。これで、少子高齢化が一段と進みそうですね。と、風が吹けば桶屋が儲かる的な推測でした。
さらに、これが、大学に就職することを躊躇する要因でもありますが。

それもあって、大学はビジネスをすべきと思っています。
Commented by papa at 2005-12-06 08:35 x
審議会の建議書のご紹介とご意見ありがとうございました.審議会の名簿を拝見しますと,いつものメンバーのようですね.財政や経済を専門をする人が素案を作って,それをもとに審議したのでししょうね.素案をつくった人たちというのは,分業で作っていると思われますが,国家政策全般についての考慮を行っているのか,はなはだ疑問です.
Commented by ゆうか at 2005-12-06 10:41 x
学問を究めることと収入確保が、並列するのでしょうか。学問に専念する人は特権階級か、金儲けという目的のための学問、というふたつのパターンしかないことになりますね。
公立学校の先生が夜は塾で教えて小遣い稼ぎ、という日も近いでしょうね。
Commented by MY at 2005-12-06 11:24 x
つぶやきさんのブログは、いろいろ興味深く、見させていただいているのですが、こういう話になると私とは逆の反応がでてくるので、そこも興味深いです。この辺が、日本の大学人の多くの抵抗感なのでしょうか。
  私は、日本の大学は、成功体験というのが全くないのが、こういう抵抗感を出しているのだと思います。米国的な視点でいえば、日本の大学で、成功している大学はないし、「成功」というイメージを持っている大学人(教員、学生、事務含めて)というのが本当に少数派なのです。先日もホヤのお話がでてきましたが、ああいうことをやれるのは、米国の大学が成功しているからだと思います。
Commented by stochinai at 2005-12-06 12:22
 みなさん、コメントありがとうございます。

 MYさん、是非もう少しお聞かせください。
>私とは逆の反応がでてくる
 のは、必ずしも日本の大学人の多くの抵抗感ではないかも知れません。大多数は silent majority ですから、何を考えているのか余りよくわかりません。何が起こっても静かに対応する、と感じることはあります。

>日本の大学は、成功体験というのが全くない
 この指摘はかなり鋭いかもしれません。そもそも、日本の大学は「成功」したり「失敗」したりするようには作られてきませんでしたし、中にいる我々もある意味ぬくぬくと学問以外のことと無縁に暮らして来たのだと思います。ここへ来てそのツケが回ってきたのだと言われればその通りかもしれませんが、大学として成功するというイメージをもう少しお聞かせください。
 私も最終的には日本の大学も教育・研究で自主的に運営できるようになることが望ましいと思っておりますので、是非!
Commented by ヤマグ at 2005-12-06 21:19 x
原典のほうを読ませていただきました。
原典のほうを読むとまあそういうだろうなという感じで書かれていますね。お金を出す方の立場になればそう考えてもおかしくないでしょう。小遣いを渡す子供に渡す親の気持ちで見れば、そんな感じもするなというところは多分にあります。その親にどうやってお金を払わせるかは子供の力量に関わっているわけで、その意味で科学技術政策の基本構想とかを見ても自分ならお金を出さないだろうなという書き方をしているように思いますよ。

がんばれ、文科省。
Commented by enoki at 2005-12-06 21:50 x
いまの政権は新自由主義(ネオリベラリズム)ですから、小さな政府も教育の削減も大学も、その流れでしょう。

私は個人的にはそういう流れにちょっと疑問を感じています。もちろん今までの大学がよいなんて思いませんが、奨学金も含めて機会の平等にもうすこしお金をかけてもいいんじゃないかと常々思っています。

山口二郎さんが書かれた「ブレア時代のイギリス」という本を読みましたが(岩波新書)、日本の民主党あたりが、イギリス労働党程度の社会民主主義を推し進めてくれると、政権交代という選択が現実味を帯びてくるのではないかと思ったりしていますが、どうでしょうか…
Commented by MY at 2005-12-07 11:47 x
成功というのを一言で言い表すのは無理で、やはり実体験が必要です。米国の成功している大学というのは、日本の大学に比べ、はるかにリッチで動的なのです。そういう姿というのは、米国の大学にいれば、非常に感じます。これを感じるには、日本の大学の学長が、海外視察とかで、1日だけ話を聞くというようなものでは無理だと思います。大学の中で生活して分かることですから。また学生や若手ポスドクのような立場だと、そもそも大学の運営なんていうこと考えないですから、なかなか感じとれないかもしれません。(その意味でも、若手の留学ではなく、大学の運営にも精通したような世代の教授がサバティカルで米国の大学に長期間滞在するというのは重要だと思います。)
Commented by MY at 2005-12-07 11:48 x
(つづき)月並みの言葉になってしまいますが、成功とは、寄付金、研究費、特許収入などが沢山入ってきて大学基金が拡大し、それを適切に運用し、教育や研究の投資に使う。その結果、優秀な学生が集まり、高水準の教育が行われ、卒業生がお金持ちになって、大学に寄付する。投資した研究も新たな特許を生む。そのような運用から、文化創造のための予算を分配し、文化創造機関としてのイメージづくりをする。こういう循環ができ、規模が大きくなり、評価も高まる。というイメージでしょうか。教育とか文化とか、経済的利益にすぐに結びつかないものに投資するためには、そのためにビジネスをする必要があるということでしょう。そしてそういうお金の配分をするには、トップに教育や文化についての強い使命感がないとだめだと思います。
Commented by MY at 2005-12-07 11:53 x
(つづき2) 教育にしても、本当に人材を作り出すような高水準の教育をやれば、世界中から人が集まってくるはずです。寄付金(大学基金)を集めるには、寄付したくなるようなプロジェクトが必要でしょう。先日も、MITとハーバード大学の生命科学系共同事業である施設に、篤志家が200億円の寄付を行うことが話題になっていましたが、両大学の既得権を超えて「世界で最も魅力的なもの」を作り、寄付を促すことのできるリーダーシップというのでしょうか(日本の大学を見ていると、個人や部局の既得権のぶつかりあいばかりやっていて、本当にいいものというのができない)。特許収入にしても、例えばコロンビア大学に年間100億円の収入をもたらしたこともあるアクセル特許とか、そういうのを目指すべきでしょう。ハーバードなど、大学基金が3兆円あったりする。一方、日本の慶応大学は、300億円。100倍の差というのは、あまりにも大きいです。
 
Commented by MY at 2005-12-07 11:55 x
(つづき3)要するに、政府に頼るのではなく、大学の自助努力なのですね。政府が小さくなっていくなかで、大学が現状を守るのではなくて、拡大していくような強い意欲、その拡大の中で文化や教育を磨いていくというようなサイクルに入っていないのが、日本の大学だと思います。日本の大学に求められるのは、よく聞く大学の「生き残り」ではなくて、大学が世の中から「奪い取り」、教育や研究という崇高な目的のために民間資金を奪って活用するということではないでしょうか。
Commented by alchemist at 2005-12-07 11:59 x
所属していた大学の場合、収入の1/3が研究費関連、1/3が財団の基金の運用益、1/3が寄付でした。比較をすれば日本の大学には後者の2/3が存在しないのです。財団の基金を運用できるヒトもいなければ、寄付あつめに奔走する学長や無給の理事もいない。おまけに大学に寄付すれば全学控除という制度もない。加えて、研究費にオーバーヘッドもほとんどない。米国のオーバーヘッドは研究費(direct cost)の他に支給されるし、direct costに対するオーバーヘッドのパーセンテージをどこまで引き上げられるかは大学の事務当局の能力次第。
Commented by alchemist at 2005-12-07 12:05 x
つまり、日本の大学に比べて米国の大学の組織は兵站に相当する部分が充実しているし、それに応答する社会も存在しています。大学が寄付あつめのためのダンスパーテイを開けば一人数千ドルの費用を払っても来るお客がいます。日本じゃ、代議士先生を励ます会のパーテイ件を買うヒトはいても、大学を励ます会なんてヒトが来ませんよね、大学なんて励ましても利権に繋がらないからかも知れませんが・・・。
社会のあり方そのものが違うのを無視できないでしょう。
Commented by おこ at 2005-12-07 15:15 x
stochinai様、関連する記事を書いたのですがTBできないので
よろしかったら拙ブログにいらしてください。
文科省が認めた中期目標に沿った運営をしなければならない
日本の国立大学法人の状況を考えると、alchemist様のご紹介された
アメリカの大学運営は夢のまた夢、のように思えるのですが・・・
Commented by stochinai at 2005-12-07 17:33
 MYさん、リクエストにお答えいただき、たいへんにありがとうございました。おっしゃっていることはとても良くわかりました。私も「成功」という言葉でなんとなく想像していたものとだいたい同じだったように思います。
 私も「リッチで動的」な大学にあこがれますが、なかなか道は遠いと感じます。ひょっとすると日本では無理ではないかとすら思ったりもします。
 「要するに、政府に頼るのではなく、大学の自助努力」というのは、法人化した後で本当に大学をなんとかしたいのなら肝に銘じなければならないポイントだと思います。
 「教育や研究という崇高な目的のために民間資金を奪って活用」することができるようになれれば素晴らしいと思います。その日のために、とりあえずは大学が市民に支持されるための努力をしていきたいと思います。
Commented by stochinai at 2005-12-07 17:36
 alchemistさん、いつもありがとうございます。alchemistさん、MYさんと同じような「向こうの大学」の実態をご存じの方は、日本の大学にもたくさんおられるはずなのに、こちらの大学もそれで行こうとおっしゃられる「偉い方」がなかなか現れないのはなぜでしょう。社会のありかたの違いはもちろん大きいとは思いますが、大学を運営している人間の責任は問われると思います。
Commented by stochinai at 2005-12-07 17:41
 一方、おこさんが「あかるいみらい」で書かれているのもまた紛れもない日本の現実だと思います。そうした現実を見つめつつ、そうした日本だけがかならずしも自分の生きる場だとあきらめずに「世界中のどこに行っても生活できるような人になりなさい。日本がいつ崩壊してもいいようにね」というのも、またこの国に生きる知恵のひとつなのだと思います。

 この件に関して、またしても当ブログを訪れてくださる方々の水準の高さを思い知らされました。ありがとうございます。

 どうぞ、議論をお続けください。
Commented by alchemist at 2005-12-07 18:44 x
機会をとらえては大学の運営をやっているヒトに「合衆国じゃ理事は名誉職だけど寄付金を集めてくる」というふうなことは云ってます。ただ、彼等も社会構造が違い過ぎてどんなふうにやれば良いか判らないみたいです。例えば、寄付の話をすると、最後は同窓生や教員に寄付を募るというところに落ち着いてしまうんですね。まるで、鮹が自分の足を食べているような話ですが、それが日本における寄付金あつめの実態でもあります。
Commented by stochinai at 2005-12-07 18:52
 今年の春頃に京都大学に個人で20億円を寄付した人がいて、それで4階建ての図書館が建設されるという話がありました。
http://shinka3.exblog.jp/2059019/

 外国で寄付といったらこういうものですよね。日本では一口2000円くらいで、貧乏人からも集めるのが寄付(これは募金?)、向こうは金持ちがどんどん自分の好きな分野に大金をつぎ込むのが寄付。ホリエモンとかが北大に5億円を寄付したら、それはあちら風の寄付ということになり、そうしたお金がどんどん来るようになったら、大学も国の助けなしにやっていけるようになりますね。これも50年計画くらいかけて達成したい目標のひとつですが、賛同してくれる人が、学内外にどのくらいいるものか、、、、。
Commented by ヤマグ at 2005-12-07 20:49 x
寄付金集めも難しいでしょう。自分も払っていませんから。しかも、みんな自分を貧乏人だと思っているし。日本では、個人からの寄付を考えるのは難しいでしょうから、現在行われているような寄付講座みたいなものになるのではないかという気がしていますが。そのあたりに法人に対しての税制優遇措置みたいのがあれば良いのではないかという気がしますが。

で、大学でビジネスすべきということで、エントリーを建ててみました。
http://blog.livedoor.jp/lupin_lupin_iii/archives/50255698.html

Commented by MY at 2005-12-07 22:12 x
寄付金集めが、科学コミュニケーションのひとつの目標だったりするわけです。米国の大きな大学だと、学科で広報担当者を雇ったりしてます。これも投資のひとつなのだと思います。日本でも学科の助手のポストをひとつこれに回したらどうでしょう。小さな部屋とコンピューターを与えれば、仕事ができるので、小さなスペースでポストポスドク対策にもなると思います。
Commented by alchemist at 2005-12-08 10:00 x
寄付をし易い社会というのは1ドルからでも寄付をし易くなっています。合衆国で暮らしていれば色んな寄付の要請が来ます。そのなかで、例えばしょっちゅうワン公と散歩でお世話になってるから、と公園に寄付をしたり、ユニセフって大事そうだからと寄付をしたりするワケです。むろん、こちらは貧乏人なのですが、気楽に寄付ができるのは、寄付した額は(例え1ドルでも)全て所得から控除されるからです。
翻って日本は1万円以下の寄付は控除の対象外ですし、それ以上の寄付は1万円を減じた金額が控除になるだけです。これでは1000円とか寄付し難くなるじゃないですか。
もともと、キリスト教で寄付の精神が称揚される国ではありますが、それを寄付し易い税制がバックアップしています。
Commented by alchemist at 2005-12-08 10:05 x
寄付は広報担当者だけではなく、大学の看板の研究者も関わります。例えば、寄付あつめのパーテイなどにはコンパニオンガールの代わりにノーベル賞のメダルをつけたおじいさん達が出席したりします。寄付のためのパーテイで有名な研究者と話すことが一種の名誉になっている社会なんですね。日本はどうでしょう?合衆国より遥かに貴重なノーベル賞受賞者が研究を支援しましょうとパーテイを開いたとして、それに見合った寄付金が集まるでしょうか?それとも、コンパニオンガール付きの○●先生を励ます会の方に寄付金が集まるでしょうか??
Commented by MY at 2005-12-08 10:58 x
チェアとかは、お金持ちとディナーによく行きます。教育に関心のあるお金持ちなどは、大学生や院生に会って話がしたいと言って、学生にも出番があります。有名大学のプロフェッサーやスター研究者などは、タイトルにスポンサーの名前が付いていますよね。ドームやサッカースタジアムに名前を入れてもらうようなものかもしれません。
by stochinai | 2005-12-05 21:47 | 教育 | Comments(24)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


by stochinai