5号館を出て

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止まらない感染拡大とヨハン・ベリンゲル教授の偽化石

 今朝の夜明け前の美しい東の空です。

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 今日はいろいろとあって、外にでかけている時間が長く、これ以外の写真も撮れませんでした。

 というわけで数日前の「ときめく化石図鑑」のFacebookリンクに寄せられたMakoto Shirasakiさんのコメントに対するお返事のようなものを書いてみました。

 そこには「いつか、クワズイモとクマネズミの化石が・・(*゚∀゚)=3」と書かれていたのですが、このコメントを見て思い出したのが「べリンゲル教授の偽化石事件」です。

 こちらにその顛末が面白く描かれているので引用させていただきます。
18世紀初頭、ヨーロッパの科学界では化石に関する解釈はいくつかに分かれていた。大昔の生物の遺骸か、それとも自然の変成作用によって出来た鉱物か。 そんな折、後者の説を信奉している医学教授ベリンゲルのもとに、近所の青年が大量の化石を持ち込んだ。それはもし遺骸だとしたら形が残るはずのないナメクジなどの完全な化石、太陽や月や星などの形の石、またヘブライ語のアルファベットなどの現れた石など、どれも生物の遺骸としては説明しようがない物だった。彼はこれを天体の変成作用の産物と考えた。
(今では奇矯な説に思えるかもしれないが、これは古代以来の伝統ある考え方である。天体が地上に影響を与えるというの考え方は、占星術がその典型であるし、磁石が南北を示すのが北極星の作用と考えられた時期もある。これらの考え方がケプラーやニュートンに強い影響を与えた歴史を知りたければ山本義隆の『磁力と重力の発見』を読めばいい。
また模様のある石が天体をはじめ様々なものの影響でできるという説については、後期ルネサンスの奇人アタナシウス・キルヒャーの本を読むか、ヨーロッパ人の変な妄想の歴史についての研究をし続けているユルジス・バルトルシャイティスの本を読めばだいたい分かる)
閑話休題、ベルンゲル教授はこの発見に驚喜して、これらに関する考察をまとめ『ヴュルツブルグ化石図譜』として刊行した。
しかしこの本は様々な批判にさらされる。なにより同様の化石が他の場所で発掘されたことが無いのだ。これは贋作ではないのか。ベリンゲル教授はこれらの批判に果敢に戦ったが、とうとうとんでもないものを発見してしまう。化石の中に自分のフルネームを発見してしまったのだ。これはさすがの教授も贋作 としか考えられない。
教授は司法裁判所に依頼して贋作者を探しながら、財産を使って自著の買い戻しをする。それらのほとんどすべてを回収した頃には彼の財産はそこをつき、彼は貧困と失墜のうちにこの世を去る。皮肉なことに彼の子孫は困窮から逃れるために稀覯本となった『ヴュルツブルグ化石図譜』を復刻して糊口をしのいだという。
これが昔から言われていた「ヴュルツブルグ偽化石事件」のあらましである。ガードナーの奇妙な論理にもだいたいこんなことが書いてある。
うーん、完璧な教訓話だ、と言いたいところだが、ジェイ・グールドの本によると、これは事実でないとのこと。
フルネームの入った石など見つかってないし、ベルンゲル家が困窮した事実も無いのだ。
真相は、これはベリンゲルの態度が悪いのに号を煮やした数学教授ロデリッヒと図書館司書エックハルトが仕掛けた悪戯で(いやはや態度の悪い偉い先生というのはいつの時代も掃いて捨てるほどいる物である)、真相が明らかになったのも、ベリンゲル教授の舞い上がりっぷりに心配になった二人が本当のことを明かしたからだ。それでもベリンゲル教授は信じずに、自分の功績に嫉妬していると考えて、二人を名誉毀損で訴えた。こうして恥が衆目にさらされることになり、ロデリッヒとエックハルトは職を失う。なおベリンゲルは別にこれが専門な訳でもないので、教授職を大過なく勤め上げたのだそうだ。
 という嘘のような話があるのですが、この時に刊行された『ヴュルツブルグ化石図譜』の原著がデジタル化されたものが、なんとすべてネットで見られるのです。


 その中には、まあ化石らしいものの図版もあります。これが最初の図版です。

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 まあ、こんなもののような化石ならあっても不思議なないかもしれませんが、今なら誰もありえないとすぐに思ってしまうものも出てきます。

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 これならShirasakiさんの言うようにクワズイモの化石もありそうに思えてきます(笑)。

 化石とはなにかも、化石がどうやってできるか、もわかっていない時代ならクワズイモの化石が出てきても、こうして図版に「記録」されていたかもしれません。もちろん「クマネズミ」の化石なら骨格標本として出てきても不思議はありませんが、上の図のような毛皮に包まれたネズミの化石が出てきたら今なら大発見になりますが、ここでは何事もなかったように描かれているのがすごいと思いました。

 これも当時の基準でいうと「最新科学」の発見ということになっていたのかもしれません。

 さて、楽しい話はこのくらいにして、今日のコロナですが新規感染者が昨日に続いて最多を更新中です。

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 午後10時くらいで2,966人ですので、今日中に3,000人に達する可能性もあるかもしれません。

 ともかく、我々がマスクと手洗いを励行して、外出と会食などの自粛を要求してなんとかなるレベルは遥かに越えています。









by STOCHINAI | 2020-12-10 22:40 | その他 | Comments(0)

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