2006年 01月 04日
他山の石
これは、自然科学者に向けられた言葉ではないのですが、自分の胸に手を当ててみると同じようなことが自然科学の世界にもあると思い当たりますので、クリップさせていただきます。
世に倦む日日より
科学者が、職業として学問研究を行い、なんらかの成果を得た場合にはその成果をクライアントである国民あるいは人類に還元する義務を負っていると思います。
その報告のことを広報と言おうがアウトリーチと言おうが、受け手にわかる言葉でコミュニケートするというところまでが科学者の義務だということでしょう。
それが出来ないならば、コミュニケーターの力を借りてでも義務を果たさなければならないということだと思います。
世に倦む日日より
自己の学問研究において最初から一般読者の理解を目的としておらず、特殊な言語体系の世界を構築してその世界での評価や達成のみを追求している傾向が強い。言わば一般大衆の使う言語と切離された異質で非互換な言語空間を作り、それを国語(国民言語)たる日本語の脱構築の成果だなどと言い上げて燥いでいる状況がある。基本的に言葉遊びだ。
科学者が、職業として学問研究を行い、なんらかの成果を得た場合にはその成果をクライアントである国民あるいは人類に還元する義務を負っていると思います。
その報告のことを広報と言おうがアウトリーチと言おうが、受け手にわかる言葉でコミュニケートするというところまでが科学者の義務だということでしょう。
それが出来ないならば、コミュニケーターの力を借りてでも義務を果たさなければならないということだと思います。
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papa
at 2006-01-05 10:40
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昨年は興味深い記事をありがとうございました.本年もよろしくお願いいたします.
上記の件ですが,そのとおりだと思いますが,数学をベースにした理論研究を行っているものにはつらい世相となっている現状について,ちょっとだけ,愚痴を言わせてください.
1)学生さんの一部には,数学を使わずに説明してわからせられない教員は教育者にあらずといった意見を持った人がでてきたようです.ちょうど,テレビの科学者と同様な説明を大学の講義に期待している感があります.
2)企業向けの講習会をして,数式(そんなにむずかしいものではなく,すごくポプラーなもの)をちょっと出すと,いやな顔をして,「だから大学はだめなのだ」というような意見をいう方がいらっしゃいます.
ちなみに,例も示しているし,使いやすいソフトウェアも援用しているのですが,専攻している分野が悪いのか,自分が悪いのか,どうしたらものでしょうか...
上記の件ですが,そのとおりだと思いますが,数学をベースにした理論研究を行っているものにはつらい世相となっている現状について,ちょっとだけ,愚痴を言わせてください.
1)学生さんの一部には,数学を使わずに説明してわからせられない教員は教育者にあらずといった意見を持った人がでてきたようです.ちょうど,テレビの科学者と同様な説明を大学の講義に期待している感があります.
2)企業向けの講習会をして,数式(そんなにむずかしいものではなく,すごくポプラーなもの)をちょっと出すと,いやな顔をして,「だから大学はだめなのだ」というような意見をいう方がいらっしゃいます.
ちなみに,例も示しているし,使いやすいソフトウェアも援用しているのですが,専攻している分野が悪いのか,自分が悪いのか,どうしたらものでしょうか...
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uzumaky
at 2006-01-05 12:40
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脱構築主義と言うのは「特殊な言語体系の世界を構築」するのではありません。
むしろ、言語体系で構築されている世界において、言語体系が権力支配の端緒であることを看破し、言語体系そのものを検討しなおすことによって、言語体系による世界や学問の支配的な構造を暴き、言葉と物自体との相関関係を新しく捉えなおす、ということが目的なのです。
言語空間を作るのではなく、言語の意味を捉え直すのです。
「世に倦む日日」の脱構築主義の説明は脱構築の発祥であるフランス・ポストモダンを読んだことのない人間の誤解と偏見に満ちた稚拙な落書きと言わざるを得ませんね。
むしろ、言語体系で構築されている世界において、言語体系が権力支配の端緒であることを看破し、言語体系そのものを検討しなおすことによって、言語体系による世界や学問の支配的な構造を暴き、言葉と物自体との相関関係を新しく捉えなおす、ということが目的なのです。
言語空間を作るのではなく、言語の意味を捉え直すのです。
「世に倦む日日」の脱構築主義の説明は脱構築の発祥であるフランス・ポストモダンを読んだことのない人間の誤解と偏見に満ちた稚拙な落書きと言わざるを得ませんね。
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stochinai at 2006-01-05 13:25
papaさん、今年もよろしくお願いします。
数学や物理がつらい立場にあるのは良くわかります。
>ちょうど,テレビの科学者と同様な説明を大学の講義に期待
>「だから大学はだめなのだ」というような意見
良くわかります。世の中全体が、(ウソでも良いから)サルでもわかるような説明を求めているという雰囲気は私も感じます。また、一方ではそういう相手だとしても、もはやマジョリティになってしまった現実には何とか対応しなければならないとも思います。
難しい問題なのですが、見過ごしてみすみす社会全体がダメになっているのを見守るというわけにもいかないというところだと思います。
数学や物理がつらい立場にあるのは良くわかります。
>ちょうど,テレビの科学者と同様な説明を大学の講義に期待
>「だから大学はだめなのだ」というような意見
良くわかります。世の中全体が、(ウソでも良いから)サルでもわかるような説明を求めているという雰囲気は私も感じます。また、一方ではそういう相手だとしても、もはやマジョリティになってしまった現実には何とか対応しなければならないとも思います。
難しい問題なのですが、見過ごしてみすみす社会全体がダメになっているのを見守るというわけにもいかないというところだと思います。
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stochinai at 2006-01-05 13:34
uzumakyさん、コメントありがとうございました。
私も自分で意味が良くわからない「脱構築」の入った部分を引用するのは、ちょっとためらったのですが、切り貼りするわけにもいかずに引用してしまいました。
>言語空間を作るのではなく、言語の意味を捉え直すのです。
こう言われると、わかったような気もするのですが、やはり良く理解できず、私にはまだまだ難しい世界です。
私自身、世に倦む日日さんのおっしゃることを批判的に理解できるほどの力もありませんし、その理解がまずいとおっしゃられると、多分その通りなのだろうと自分で感心するほどの哲学音痴です。
しかし、あるいはそれだからこそ、そうした難しい話であっても、もしも我々の生活にとって重要な意味を持つのだとしたら、理解しておられる方に、もっと易しい言葉で語って欲しいと思っております。
uzumakyさんからみたら、なんと稚拙な議論をしている奴だと思われるかもしれませんが、そこのところは寛容にお許し頂くとともに、易しく導いていただけるとありがたいところです。
今後とも、よろしくお願いします。
私も自分で意味が良くわからない「脱構築」の入った部分を引用するのは、ちょっとためらったのですが、切り貼りするわけにもいかずに引用してしまいました。
>言語空間を作るのではなく、言語の意味を捉え直すのです。
こう言われると、わかったような気もするのですが、やはり良く理解できず、私にはまだまだ難しい世界です。
私自身、世に倦む日日さんのおっしゃることを批判的に理解できるほどの力もありませんし、その理解がまずいとおっしゃられると、多分その通りなのだろうと自分で感心するほどの哲学音痴です。
しかし、あるいはそれだからこそ、そうした難しい話であっても、もしも我々の生活にとって重要な意味を持つのだとしたら、理解しておられる方に、もっと易しい言葉で語って欲しいと思っております。
uzumakyさんからみたら、なんと稚拙な議論をしている奴だと思われるかもしれませんが、そこのところは寛容にお許し頂くとともに、易しく導いていただけるとありがたいところです。
今後とも、よろしくお願いします。
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papa
at 2006-01-06 09:04
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> 難しい問題なのですが、見過ごしてみすみす社会全体がダメになっているのを見守るというわけにもいかないというところだと思います。
コメントありがとうございます.なんとか,打開策を考えてみるつもりです.
コメントありがとうございます.なんとか,打開策を考えてみるつもりです.
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stochinai at 2006-01-06 20:00
よろしくお願いします。数学や物理の「数式の面白さ」を伝えてくれる「名人」の誕生を願っております。
by stochinai
| 2006-01-04 13:23
| つぶやき
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Comments(6)