5号館を出て

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ちっともハッピーではないハッピー・マンデー

 スージーさんのところで「ハッピーマンデーは本当にハッピーなのか?」というエントリーが立てられました。日本中の教育関係者はこのハッピー・マンデーのおかげでとんでもない被害を被っているにもかかわらず、そのことについて意外と議論が少ないことに常日頃から不満を感じていた私は、思わず脊髄反射に近い反応をしてしまいました。

 というわけで、ひさびさに特定エントリーに対する本来のトラックバック・エントリーを立てることにします。

 スージーさんはおっしゃいます。
ハッピーマンデー制度によって、成人の日が1月の第2月曜日に移行したのは、2000年。3連休になり、旅行しやすくなったのかもしれないが、私には成人式は、「15日」という長きに渡る刷り込みがあるため、第2月曜といわれても、どうも違和感を感じてしまう。

 私もこの感性は共有しています。何十年も*月*日で固定されてきたものが、毎年変わるのは気持ちが悪いものです。特に今年のようにもともと1月15日だった成人の日が1月9日になるという違和感はかなりのものです。

 経済対策だかなんだかわからない政府の思いつきに近い「政策」によって、単に連休を作るためだけに記念日を相対日にしてしまうという感覚は、「記念」というものの意味を理解していないものだと言わざるを得ません。

 例えば記念日をもっとも大事にする男女の間で、祝いやすいからという理由で始めて二人でデートした記念日を5月の第3土曜日にしようと提案してみるというような状況を想像してみると、その滑稽さがわかると思います。二人の関係は遅かれ早かれ破綻するのではないでしょうか。あるいは、某国の総理大臣が靖国神社参拝にこだわる8月15日は8月が第3水曜日でもいいのですか。または、「今年のお正月は12月24日になります」とかでもいいのでしょうか。

 と、八つ当たり的な悪態をついてしまいましたが、スージーさんの問いかけにまじめにお答えしたいと思います。

これって、本当にハッピーな制度なのか。よけいなお世話のような気がしないでもないが…。

 実は、よけいなお世話であるだけではなく、とんでもない被害を受けている人がたくさんいるのです。それが冒頭に述べた教育関係者です。

 ほぼすべての国民が知っているように、ほとんどの学校において時間割というプログラムは週を単位にして繰り返されております。記念日というものが日付で運用されている限り曜日は年によって変わりますので、台風などの災害で臨時休校になったようなものと思って対応することにそれほど問題はありません。

 それが、年のうち4回も月曜日にハッピーマンデーと称する休日があるとなると大変です。学校によっても違うでしょうが、例えば32週間授業をすることを考えてみますと、そのうち4週も月曜日がないと普通の時間割では対応できなくなります。さらに、日曜日に休日が重なった場合には月曜日が休みになるという法律もありますので、月曜日がつぶれるケースはさらに多くなる年が多いです。

 たとえ月曜日の代休がないとしても、4回もつぶれてしまうハッピー月曜日対策として、開講日を月曜日から始めて終業を月曜日までとすることや、別の曜日に1回か2回臨時月曜日を設定して対応している学校は多いのではないでしょうか。

 そういう変則的な時間割に対応するということで、学校関係者にどんなに無駄な労力を強いているかを、ハッピーマンデーを作った国会議員の方々、それを見逃した文科省の方々はもう一度考え直してみてください。

 そして、できるならば記念日というものを本来の姿に戻すことを考えてみてください。
 そもそも記念日というものを経済復興対策に使うなどという姑息なことを考えずに、きちんと長期休暇をとれる労働環境を作るのが正しい政策ではないでしょうか。

 ハッピー・マンデーは少なくとも教育現場にとってはブラック・マンデーなのです。
Commented by 花見月 at 2006-01-10 00:13 x
はいはーい!迷惑しています。
何を隠そう、うちの結婚記念日は10年前の1月15日。1月には珍しく、半そでで過ごせるような温かい日でした。「成人の日で、毎年休みだね」と言っていたのもつかの間、いつの間にか平日になってしまって、成人の日だという覚え方もできなくなってしまいました。それが原因で結婚記念日を忘れて、夫婦仲が険悪になったらどうしてくれるのだ!
Commented by MY+ at 2006-01-10 04:52 x
確かに日本のやり方は、月曜日に過剰な負担をかけていると思います。そもそもハッピーマンデーというのは米国などの例を真似したのだと思います。しかし、米国ではこの月曜日になる「休日」というのは、メモリアルデー、レイバーデーという夏休みの区切りとかで、学校の日程には影響を与えない日なのです。プレジデントデーやコロンバスデーなど、名目上は休日でも州によっては、休日ではないです。サンクスギビングデーのように木曜日が休みになるのもあります。日本でも月曜ではなく、金曜日を休みにするとか、工夫が必要ではないでしょうか。(といっても、土日、祝日も関係ない研究者には関係ありませんが。。)。
Commented by cafesuzie at 2006-01-10 09:48
TBありがとうございます。
駄文を引用までしていただいて、恐縮です(汗)。
教育関係者にとっては、ブラックマンデーだったのですね。
ほかにも、迷惑をこうむっている方は少なくないと思われます。
喜んでいるのは、観光業者だけ?
これって、法案を通した議員の自己満足?
元に戻ることはないんでしょうか。
体育の日も私は絶対10日がいいんですが…。
Commented by YS-11k at 2006-01-10 13:23 x
そうですね。過去、月曜日受け持ちの高校の講師だったので、その代替授業が金曜日とか土曜日になったことがあります。そうすると他の予定を変えなければいけないので苦労しました。

まあ、現在の法律だと、5〜6年に1回9月21日あたりに5連休確定(一般の方は、、、)のゴールデンウイークが発生するという面白い現象があります。
これは
「祝日と祝日に挟まれた平日は国民の休日とする」
「敬老の日は9月の第3月曜日とする」
「秋分日は祝日にする」
を組み合わせると出てくる解なのですね。
全部同じ法律に書かれているんですが。
直近では2009年だったかな?ただし、まだそうなると決まっていないのです。秋分の日は国立天文台の計算を政府が受けて、前年の2月の官報で公示されるからではなかったかな?と。

しかし、個人的には水曜休みにしてもらったり、
もしくは半ドンを復活させて欲しいなと思います。午前中は平日ですし、
午後は時間を使えるからです。
朝起きられなかった土曜日は午後すら使えなかったりします。(泣)
Commented by マルセル at 2006-01-10 18:40 x
カーペンターズの唄にありましたネ「雨の日と月曜日は」...
あ、話題と全然関係ない、大変失礼しました<(__)>
でもまぁ、学校の時間割を作るときには年間の講義数を考慮しなくてはいけないので大変ですね、ご苦労様です
Commented by tosh3141 at 2006-01-10 19:14
新年おめでとうございます
ハッピーマンデー 私ももうちょっとフレキシブルな運用はないものか?と思いますが、時間割に関して言えば、大学のように週に1コマしか講義のない体裁のところが、最も割りを食う制度ですね。
僕は、むしろ固定の休日は減らして(つまり、ハッピーマンデーになった休日などは休日でなくしてしまい)成人式などは元旦にやればいいんじゃないかなとも思ってます。
その上で、おっしゃるようにキチンと長期休暇を取ることなど、それぞれの人が自分の状況に応じた休日を取り、ゆとりをゆとりとして楽しめる環境の整備へ向かっていくことが求められているんじゃないかなーと思います。
Commented by stochinai at 2006-01-10 20:23
 マルセルさん。カーペンターズの「雨と日と、、」は私も大好きです。カーペンターズの曲では一番好きかもしれません。失礼ながら、同じ年代なのでしょうか?
Commented by stochinai at 2006-01-10 20:29
 たくさんのコメントありがとうございました。

 ハッピーマンデーに対する一言はみなさんかなりありそうですね。休日は教育問題と同じく、関係のない人がほとんどいないので、盛り上がるんでしょうか。
Commented by inoue0 at 2006-01-11 07:08
小学校教師からは、
「子供は週の半ばで疲れがたまる。つまり、週2日休みにするなら、土日でなく、水日か木日を休みにすべきだ」
という意見を伺っています。
 半ドンを増やすのもいいんだそうです。子供の特性として、
・すぐに疲れる、飽きる
・回復も早い。休みは1日で十分
というものがあり、連休は子供の生理に全く合致していない。
Commented by stochinai at 2006-01-11 12:49
 私はもう子どもではないのですが、
>週2日休みにするなら、土日でなく、水日か木日を休みに
 に強く同意します。
>すぐに疲れる、飽きる
 ので、半ドンも歓迎です。
Commented by 寒北斗 at 2006-01-12 02:31 x
同じく
>週2日休みにするなら、土日でなく、水日か木日を休みにすべきだ
>半ドンを増やすのもいい
に激しく同意です。
勤め人だった頃毎週水曜は「ノー残業デイ」でした。大人だって週半ばは疲れがたまる頃でそうしてるんだし。

半ドンについて、近所の小1の子はまさにそうですね。たまに4時間(午前中だけ)という日があるとその日の朝はいそいそと学校に出かけます。なぜ知っているかというと、今は安全のため近所の子が集まって登校し、私も親として途中までついていく(あるいは見守る)ことがあるので。
by stochinai | 2006-01-09 23:48 | 教育 | Comments(11)

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