5号館を出て

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元北大教授逮捕

 他の大学で起こっている醜聞を批判している身としては、自分の大学で起こったことについても取り上げないわけにはいかないところです。元教授と言っても、事件は現役の時に起こされたものですので、北大教授の犯罪ということになると思います。

 昨年の4月に、北海道大学が札幌地検に刑事告訴していた、海底地震計の売却問題で、地検は容疑を確認したということで、国立極地研究所の前所長で北大元教授の島村英紀容疑者(64)を詐欺の疑いで逮捕しました。
 調べによると、島村容疑者は同大地震火山研究観測センター長だった1998年9月ごろ、ノルウェーに持ち込んでいた北大の海底地震計を売却する権限があるかのように装い、ベルゲン大教授に、海底地震計4台と関連機器1台の代金約1652万円を個人口座に振り込ませた疑い。また翌99年5月にも同様に持ちかけ、地震計1台の代金約375万円を別の個人口座に振り込ませた疑い。

 新聞記事の内容は、ほぼ北大の告発内容そのままですが、昨年の北大の告発は横領容疑だったはずですので、地検は一歩進んで詐欺罪を適用したようです。
 島村容疑者は、地震計を実際にベルゲン大に発送したが、いずれも北大の所有する国有財産で、島村容疑者には売却する権限がなかった。地震計などは現在もベルゲン大にあるが、同地検は所有権が北大にあるとみて、詐欺容疑を適用した。ベルゲン大教授側は個人口座に入金した代金が北大に渡ると認識していたが、実際には移されなかった。

 売却があったのが1998年で、詐欺罪の時効は7年ということなので、地検としても急いだのかも知れません。
 詐欺罪の公訴時効は7年だが、島村容疑者は海外滞在による時効停止期間があり、時効は成立していない。

 何か新しい事実があるのかと思いましたら、北海道新聞に「島村容疑者メールで隠ぺい工作」という記事が出ています。

 どうやら、隠蔽工作をしていた事実が明るみに出たようです。道新によると「海底地震計をやりとりする窓口となっていたベルゲン大の教授に対し、島村容疑者が昨年一月、金の授受があったことを隠すよう依頼する電子メールを送っていたことが二日、分かった」と、例によってニュースソースを示さずに検察側のリークをそのまま受け売りしていることが見え見えの文章なのが気になりますが、まあそうなのでしょう。
 北大は内部告発を受け○四年十二月に調査委員会を設置。島村容疑者がメールを送ったのは、北大による調査が本格化していた時期にあたる。

 別に島村さんを擁護するつもりはないのですが、研究者にお金の管理もさせる現在の体制にも問題の根があるような気がします。研究者は研究をするだけでも精一杯のはずなのに、外部から獲得したいわゆる競争的資金などについてはかなり自己管理を要求されます。

 会計について素人がお金の管理をするのは大変だというだけではなく、素人にお金を動かせる権限を持たせるということは、しばしば倫理的に不適切なことが起こるものではないでしょうか。

 そういう意味では、島村さんはもちろんいけないことをしたのでしょうが、それを管理していた北大当局の責任も問われずに済むというものではないような気がします。
by stochinai | 2006-02-02 21:40 | 大学・高等教育 | Comments(0)