5号館を出て

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札幌会館破産

 ローカルニュースではなく、全国版であるK_Tachibanaさんの科学コミュニケーションブログで、この「札幌会館破産手続き開始決定」というタイトルを見た時に思わず目を疑ってしまいました。

 北海道大学の北キャンパスの中央にある全学教育センター(昔の教養部)と地下鉄北18条駅の間に位置する老舗のホテル札幌会館は、公務員共済指定のホテルでもあった(ある?)関係から、北海道大学とは縁が深く、特に昔教養部に研究室があった我々にとっては文字通り馴染みのホテルでした。

 ロビー階には比較的安いレストランや居酒屋もあり、大学生協の食事に飽きた時にはちょっと「豪華な」昼食や夕食、近場の宴会などにも良く利用したものでした。退職教授の引退パーティや教養部教職員親睦会などのパーティなどをやった記憶もあります。

 夏になると、1週間くらいビールが1杯100円になる期間もあったりして、講座全員で押しかけたのは7-8年くらい前のことでしょうか。

 春や秋には北海道各地から来たとおぼしき修学旅行生の宿舎にもなり、今はもうなくなりましたが大相撲札幌準場所などがあった時には相撲取りの宿泊などにも使われていました。まだ駆け出しのころの貴の花(貴花田)が泊まっていることを示す幟が立っていたこともありました。

 数年前には入り口やロビーを改装したり、外装を貼り直したりもしていましたが、札幌の中央からちょっと離れていることと、やはり古くなってしまったことの影響が大きかったのでしょうか、ホテル戦争と言われる札幌で生き残るのはやはり難しかったようです。

 毎日新聞ヤフーニュースによると「負債総額は約11億6200万円。近年は競争激化による客室稼働率の低迷と、客単価の減少に苦しんでいた」ということです。

 さて、話をもとに戻して、我々にはひとつの時代の終わりを象徴するというような意味で大ニュースではあるのですが、なぜ関東地方にいるはずのK_Tachibanaさんが、その札幌会館の倒産を知っていたのかということですが、「来月のCoSTEP作品発表会を見に行くために確保した宿から,破産した旨のメールがありました」との記述があります。

 確かに北大周辺で安いホテルを探すと札幌会館が有力候補になると思いますので、それでわかりました。「宿泊代がやけに安いので,何かあるのかなとは思っていたのですが...」とのことですが、昔から安いホテルとして有名でしたから、お客さんの数の減少がやはり大きく響いていたようです。

 道を挟んで向かいにできたビジネスホテルも、開店からそれほど経たないうちにウィークリーマンションタイプのホテルに変わってしまいましたから、やはりホテルの立地としたはあまり良くない場所だったのかもしれません。札幌を良く知っていれば、JR札幌駅からさほど遠くもなく徒歩でのアクセスも可能であるということがわかりますし、地下鉄駅からも徒歩1分ですから悪くはないと思うのですが、集客に失敗したことだけは間違いありません。

 インターネット時代のホテル経営に乗り遅れたことも原因のひとつだったのではないでしょうか。

 いきなり話が飛ぶようですが、梅田望夫さんの「ウェブ進化論 - 本当の大変化はこれから始まる」を読んでいると、これからは宣伝や広告に深く関連したホテルや書店はいうに及ばず大学も科学もどのくらいウェブを自分たちの存在基盤として活用できるかどうかが生き残りのキーワードになりそうな恐ろしさと同時に希望も感じます。

 ウェブはもはや何人も無視できないフェーズに差しかかっているようです。
Commented by ぜのぱす at 2006-02-16 10:54 x
マジですかぁ?
あそこの五目堅焼きそば、時々、食べました。
安くて美味しかった。
何とか持ち直して欲しいものです。
by stochinai | 2006-02-15 23:59 | 札幌・北海道 | Comments(1)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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