2006年 02月 16日
大阪大学の論文ねつ造事件処分 (追記3あり)
【ここから2月19日分】
柳田さんの結論としての第4弾「現場ではこれから真の対応がはじまる」が書かれました。
【ここから2月18日分】
柳田さんの第3弾「長期化、泥沼化を避けるべき」が書かれましたが、ここまで書かれても日本の科学関係者は、反応しないのではないかという不安を感じております。お前はもうすでに死んでいる、ということなのでしょうか。
トラックバックをいただいた三余亭さんのところに、今回のねつ造事件に関する、冷静な分析の論説があります。他ではあまり詳細に触れられていない共著者とグラントに関する記述は、一読の価値があります。
柳田さんのところに、トラックバックされている、「捏造に「成功」した研究者の能力」では、科学分野全体に疑問を投げかけた興味深い議論になっています。
【ここから2月17日分】
2月17日に柳田充弘さんが「捏造論文を公表したことに気がついた研究室主宰者はどうするか」という記事が書かれました。是非とも一緒にお読みいただきたいと思います。
【ここから2月16日分】
昨日、大阪大学で論文ねつ造事件の処分が発表されました。
大学としてはデータのねつ造を認定し、そのデータに基づいて作成された論文を世界的に権威があるとされている雑誌「ネイチャー・メディシン」に投稿し、ねつ造が発覚した後に取り下げるという経緯は世界的に認知されているということも認識した上で、この処分を行ったわけですから、もしもその処分が不適切だとしたら大阪大学そのものの責任が問われても仕方がないと思います。
そうした前提で意見を言わせていただくと、これは後世に禍根を残す最悪とも言える前例になってしまう恐れを持った結論だと感じました。
日本でも最高レベルの教育と研究を行っていることが期待されており、しかも内外の多くの人がそうだと信じている大阪大学というところで行われた、科学と科学の世界全体に対する背信行為の責任がたった2名が1ヶ月以内の停職になるということだけで済んでしまうのでしょうか。しかも、他の多くの論文共著者には何の言及もないところを見ると、おとがめなしということだと思われます。
この問題の報道に対して、大学の外にいらっしゃると思われる方は記事の隅から隅まで読んであきれはてたという感想を書いておられますが、こうした声に応えることができないとしたら、市民に大学そのものの存在意義を認めてもらうことはできないと思います。
こんな先生方に指導されている医学部生が医者になっていいのか、そっちの方によっぽど医学倫理教育プログラムが必要なのじゃないかという声もあります。
私もまったく同感なのですが、「捏造云々よりも、捏造されたとされる論文に14人もの研究者が名を連ねているにもかかわらず、捏造が素通しになってしまった事こそ由々しき自体ではないか」、「捏造を見抜けなかった、という以前に捏造論文が連名者や指導者を素通りして外に出てしまうような状況」こそが、大学の研究室の腐敗状況を象徴しているにもかかわらず、今回の処分はそこには手を付けなかったということになります。
現時点で、この件に関してもっとも重い意見は柳田充弘さんの「阪大当局の今回の対応は致命的エラーと言わざるを得ません」という言葉だと思います。我々のような雑魚ではなく、柳田さんのような方が憂慮を表明しているにもかかわらずこの問題がこの処分だけで幕引きになるとしたら、日本の科学技術の将来は暗いままで進むと世界に表明することに他なりません。柳田さんは、今後もこの件について発言してくださるそうなので、期待したいと思うと同時に、日本中から研究者が声を上げる必要があると感じています。
大事なことは責任者を処分することだけではなく、この事件がどうして起こったのかということを詳細に解明することであり、そして実はそうした問題がひとり大阪大学医学部だけにあるのではなく、日本中の大学や研究機関に共有されている「構造的」なものであることを日本中の研究者が認識することこそが、この問題を単なる災いから日本の科学界を根本的に改善する契機としての福へと転じさせることになると思います。
私の個人的意見としては、処分をするこということはどうしても現状を温存するためのしっぽ切りに使われてしまうので、場合によってはもしもすべてを明らかにするならば強制的な処分はしないという取り引きを関係者と行っても良いのではないかと思います。もちろん、すべてが明らかになったら科学の世界や教育の世界で生きていることはできなくなるでしょうが、処分なしですから退職金ももらえる依願退職をしてもらうことになると思います。
そうしたことに強い反対意見が出てくることは想像できますが、それを契機に日本の科学、研究、大学、研究所が変わってくれて、場合によってはポスドク問題やセクハラ・アカハラ問題なども同時に解決する方策が見つかるようなことになれば、高い授業料として認めてくれるのではないかとも思います。
いずれにしろ、これで幕引きをしたら自殺です。
追記:
読売オンラインでは、学生の父親である大阪大学名誉教授が、「息子は論文のねつ造に一切かかわっていない。教授に言われた通りにしただけだ。近く名誉棄損で教授らを訴える」と語っていると書いてあります。どんどん騒ぎを大きくしてもらいたいものです。
柳田さんの結論としての第4弾「現場ではこれから真の対応がはじまる」が書かれました。
【ここから2月18日分】
柳田さんの第3弾「長期化、泥沼化を避けるべき」が書かれましたが、ここまで書かれても日本の科学関係者は、反応しないのではないかという不安を感じております。お前はもうすでに死んでいる、ということなのでしょうか。
トラックバックをいただいた三余亭さんのところに、今回のねつ造事件に関する、冷静な分析の論説があります。他ではあまり詳細に触れられていない共著者とグラントに関する記述は、一読の価値があります。
柳田さんのところに、トラックバックされている、「捏造に「成功」した研究者の能力」では、科学分野全体に疑問を投げかけた興味深い議論になっています。
それよりも理解に苦しんだのが、それらの有名雑誌にこんなにも多く
(韓国、阪大、東大あわせて10本くらい怪しいものがあるようですね)
捏造記事がアクセプトされていたと言うことです。
これはNatureのレフリーが無能なのか、
捏造した科学者が、あまりにも洞察力があるために、
非常に科学的にインパクトがあって、しかもあり得そうな
虚構の結果を作成することができたためであるのか
分からなくなります。
このように、トップクラスの雑誌のレフリーが容易に騙すことの出来る
事実は、この分野自体の科学的なレベルの低さを意味しているのでは
ないかとさえ思えます。
【ここから2月17日分】
2月17日に柳田充弘さんが「捏造論文を公表したことに気がついた研究室主宰者はどうするか」という記事が書かれました。是非とも一緒にお読みいただきたいと思います。
【ここから2月16日分】
昨日、大阪大学で論文ねつ造事件の処分が発表されました。
論文共著者の竹田潤二・先端科学イノベーションセンター教授(53)=医学系研究科兼任=を停職1カ月、論文責任者の下村伊一郎・生命機能研究科教授(42)=同=を同2週間の懲戒処分
論文共著者の生命機能研究科特任研究員(36)も、必要な指導を怠ったなどとして戒告
男子学生については医学部長が厳重注意し、医学倫理教育プログラムを実施(毎日)
大学としてはデータのねつ造を認定し、そのデータに基づいて作成された論文を世界的に権威があるとされている雑誌「ネイチャー・メディシン」に投稿し、ねつ造が発覚した後に取り下げるという経緯は世界的に認知されているということも認識した上で、この処分を行ったわけですから、もしもその処分が不適切だとしたら大阪大学そのものの責任が問われても仕方がないと思います。
そうした前提で意見を言わせていただくと、これは後世に禍根を残す最悪とも言える前例になってしまう恐れを持った結論だと感じました。
日本でも最高レベルの教育と研究を行っていることが期待されており、しかも内外の多くの人がそうだと信じている大阪大学というところで行われた、科学と科学の世界全体に対する背信行為の責任がたった2名が1ヶ月以内の停職になるということだけで済んでしまうのでしょうか。しかも、他の多くの論文共著者には何の言及もないところを見ると、おとがめなしということだと思われます。
この問題の報道に対して、大学の外にいらっしゃると思われる方は記事の隅から隅まで読んであきれはてたという感想を書いておられますが、こうした声に応えることができないとしたら、市民に大学そのものの存在意義を認めてもらうことはできないと思います。
こんな先生方に指導されている医学部生が医者になっていいのか、そっちの方によっぽど医学倫理教育プログラムが必要なのじゃないかという声もあります。
私もまったく同感なのですが、「捏造云々よりも、捏造されたとされる論文に14人もの研究者が名を連ねているにもかかわらず、捏造が素通しになってしまった事こそ由々しき自体ではないか」、「捏造を見抜けなかった、という以前に捏造論文が連名者や指導者を素通りして外に出てしまうような状況」こそが、大学の研究室の腐敗状況を象徴しているにもかかわらず、今回の処分はそこには手を付けなかったということになります。
現時点で、この件に関してもっとも重い意見は柳田充弘さんの「阪大当局の今回の対応は致命的エラーと言わざるを得ません」という言葉だと思います。我々のような雑魚ではなく、柳田さんのような方が憂慮を表明しているにもかかわらずこの問題がこの処分だけで幕引きになるとしたら、日本の科学技術の将来は暗いままで進むと世界に表明することに他なりません。柳田さんは、今後もこの件について発言してくださるそうなので、期待したいと思うと同時に、日本中から研究者が声を上げる必要があると感じています。
大事なことは責任者を処分することだけではなく、この事件がどうして起こったのかということを詳細に解明することであり、そして実はそうした問題がひとり大阪大学医学部だけにあるのではなく、日本中の大学や研究機関に共有されている「構造的」なものであることを日本中の研究者が認識することこそが、この問題を単なる災いから日本の科学界を根本的に改善する契機としての福へと転じさせることになると思います。
私の個人的意見としては、処分をするこということはどうしても現状を温存するためのしっぽ切りに使われてしまうので、場合によってはもしもすべてを明らかにするならば強制的な処分はしないという取り引きを関係者と行っても良いのではないかと思います。もちろん、すべてが明らかになったら科学の世界や教育の世界で生きていることはできなくなるでしょうが、処分なしですから退職金ももらえる依願退職をしてもらうことになると思います。
そうしたことに強い反対意見が出てくることは想像できますが、それを契機に日本の科学、研究、大学、研究所が変わってくれて、場合によってはポスドク問題やセクハラ・アカハラ問題なども同時に解決する方策が見つかるようなことになれば、高い授業料として認めてくれるのではないかとも思います。
いずれにしろ、これで幕引きをしたら自殺です。
追記:
読売オンラインでは、学生の父親である大阪大学名誉教授が、「息子は論文のねつ造に一切かかわっていない。教授に言われた通りにしただけだ。近く名誉棄損で教授らを訴える」と語っていると書いてあります。どんどん騒ぎを大きくしてもらいたいものです。
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inoue0 at 2006-02-16 23:05
医学部の話だったということで、医療情報の話をしましょうか。
医師法により診療記録は直ちに記載することが義務づけられており、記録は治療終了から5年間と決められています。
さらに、法律にはりませんが、業界の慣習として、あとから間違い(記載ミス、漏れ)が見つかった場合でも、消去はせず、修正したことを記録に残します。
件の学生は自分は不正行為はしていないと主張しています。しかし、問題のトランスジェニックマウスが存在しなかったという話はどう整合性とつけるんでしょうか。そのためにも、生データは一定期間保存しておくべきだったでしょう。医学部医学科の学生だったら、その程度の自衛策は講じるべきでした。標本や生データさえ残っていれば、不正行為(データねつ造)なのか、論文執筆時の間違いだったのかは区別がつくのです。
医師法により診療記録は直ちに記載することが義務づけられており、記録は治療終了から5年間と決められています。
さらに、法律にはりませんが、業界の慣習として、あとから間違い(記載ミス、漏れ)が見つかった場合でも、消去はせず、修正したことを記録に残します。
件の学生は自分は不正行為はしていないと主張しています。しかし、問題のトランスジェニックマウスが存在しなかったという話はどう整合性とつけるんでしょうか。そのためにも、生データは一定期間保存しておくべきだったでしょう。医学部医学科の学生だったら、その程度の自衛策は講じるべきでした。標本や生データさえ残っていれば、不正行為(データねつ造)なのか、論文執筆時の間違いだったのかは区別がつくのです。
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f16fightingfalcon at 2006-02-16 23:29
こんばんは、TBありがとうございました。
普通に考えて、医学部6年生や、他の学部4年生がNatureクラスに掲載されそうな結果を持ってきたとすれば、まず疑ってかかりますね。疑うことをやめてしまったのか、あるいはお父様がおっしゃるように「言われたとおりやった」のか分かりませんが、いずれにしても、大変な世の中になったものです。
普通に考えて、医学部6年生や、他の学部4年生がNatureクラスに掲載されそうな結果を持ってきたとすれば、まず疑ってかかりますね。疑うことをやめてしまったのか、あるいはお父様がおっしゃるように「言われたとおりやった」のか分かりませんが、いずれにしても、大変な世の中になったものです。
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ウイルス研究者
at 2006-02-17 09:51
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本当にただの管理ミスでしょうか。常識的に考えて、医学部6年生が、トランスジェニックマウスを自分ひとりで作り上げて、ネイチャーメディシン
クラスの実験を成し遂げるということはありえないと思います。(マウスを作り上げて実験に使う分だけ増やすだけでも時間がかかるのに。) こんな大きなプロジェクトをすべて一人の学生任せにしていたとはとても考えられないのです。絶対に、実験を直接指導していたPhDの学生かポスドクがいるはずだし、教授だって、ネイチャークラスの論文にするために全力を尽くしたはずです。実際はP-TENネズミが存在しなかった、というのがこの学生一人の責任だと言い切れるのが驚きです。「指導ミス」なんて、めちゃくちゃな言い訳です。ネズミの系を立ち上げて、あれだけたくさんのウエスタンブロッテリングをして、そのデータすべてが一人の学生の捏造だというはいくらなんでも・・・。「俺らは研究者だからヤバいけど、あの学生だったら将来医者として生き残れるから」、ということでしょうか。ひどすぎです。
クラスの実験を成し遂げるということはありえないと思います。(マウスを作り上げて実験に使う分だけ増やすだけでも時間がかかるのに。) こんな大きなプロジェクトをすべて一人の学生任せにしていたとはとても考えられないのです。絶対に、実験を直接指導していたPhDの学生かポスドクがいるはずだし、教授だって、ネイチャークラスの論文にするために全力を尽くしたはずです。実際はP-TENネズミが存在しなかった、というのがこの学生一人の責任だと言い切れるのが驚きです。「指導ミス」なんて、めちゃくちゃな言い訳です。ネズミの系を立ち上げて、あれだけたくさんのウエスタンブロッテリングをして、そのデータすべてが一人の学生の捏造だというはいくらなんでも・・・。「俺らは研究者だからヤバいけど、あの学生だったら将来医者として生き残れるから」、ということでしょうか。ひどすぎです。
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stochinai at 2006-02-18 15:34
皆さん、コメントありがとうございます。
この件に関して、沈黙を続けるのであれば、大阪大学のみならず、文科省、学術会議、各種関連学会すべてが無意識の共犯関係にあると判断されても仕方がない気がします。
こういうのは「日本の科学界の闇」とでも呼べば良いのでしょうか。
この件に関して、沈黙を続けるのであれば、大阪大学のみならず、文科省、学術会議、各種関連学会すべてが無意識の共犯関係にあると判断されても仕方がない気がします。
こういうのは「日本の科学界の闇」とでも呼べば良いのでしょうか。
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晩酌時に考えた
at 2006-02-18 17:34
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大阪大学の対応が今までクローズアップされていますが、この件がクロと判断された今本事件関係者の所属学会、研究費を与えた文部科学省、厚生労働省、学術振興会などの対応がどのようになるか興味深く見ていこうと思います。
TBありがとうございました。
ネイチャーやサイエンスに立て続けにねつ造論文が掲載されて
しまうなんて、権威失墜も甚だしいです。
査読者のレベルが疑われてしまいます.
科学が金儲けの手段となったのがねつ造をはびこらす原因ではないかと
思いますが、対策は難しいです.
ネイチャーやサイエンスに立て続けにねつ造論文が掲載されて
しまうなんて、権威失墜も甚だしいです。
査読者のレベルが疑われてしまいます.
科学が金儲けの手段となったのがねつ造をはびこらす原因ではないかと
思いますが、対策は難しいです.
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osumi1128 at 2006-02-19 23:32
投稿先の雑誌の責任というものはどこまで問われるべきなのでしょうか?
インパクトファクターの高い雑誌というのは、それなりの責任が生じてしかるべきということは考えられないのでしょうか?
インパクトファクターの高い雑誌というのは、それなりの責任が生じてしかるべきということは考えられないのでしょうか?
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stochinai at 2006-02-20 00:03
私も、もちろん掲載した側の責任はあると思っています。ただ、natureだったかscienceだったかは定かではないのですが、もしも論文の査読にデータねつ造の調査も入れるとなるとコストがかかりすぎて現実的ではない、というような論評があったように思います。
この点については、投稿者側と雑誌側で議論すべき課題の一つではありますね。
この点については、投稿者側と雑誌側で議論すべき課題の一つではありますね。
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osumi1128 at 2006-02-20 00:04
もうひとつ。
2週間と1ヶ月の懲戒停職処分が妥当かという点だけではなく、「指導能力がない」ということであれば、大学院生等の指導を停止する処分(東大のケース)が必要なように思います。
2週間と1ヶ月の懲戒停職処分が妥当かという点だけではなく、「指導能力がない」ということであれば、大学院生等の指導を停止する処分(東大のケース)が必要なように思います。
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osumi1128 at 2006-02-20 00:07
さらにもう一つ。
医学部の学生が学部時代に研究室に出入りして論文を書くことは100年前の昔からありますし、現在でもハイインパクトファクター誌に掲載されることもあります。
そのことだけで「怪しい」と言う訳にはいかないと思います。
医学部の学生が学部時代に研究室に出入りして論文を書くことは100年前の昔からありますし、現在でもハイインパクトファクター誌に掲載されることもあります。
そのことだけで「怪しい」と言う訳にはいかないと思います。
はじめまして、トラックバックさせて頂きましたのでご報告させて頂きます。今回の事件、イチ理系研究者の卵としてはかなりショッキングです。特にやっていることが少なからずかぶるので(テーマとか<バレるなぁ)余計にうーん、です。
東大・ソウル大の処分はキッパリしていて良かったと思います。それに引き換え何考えてんだ阪大、というのがワタシとワタシの周囲の人間の意見です。これが許されてしまうのなら日本の科学界(むしろ基礎医学界ですか)はThe Endです。近い場所に身をおく人間としては正直やってられん気分です。
ところで高いIFのレフリーは大丈夫なのかという議論になっていますが、確かに昨今は本当に大丈夫か状態ですがその一方でソウル大の一件を最初に告発したのはNatureのアジア担当editorだったと記憶しています。自浄作用が働いているというべきか、オカシイもんはオカシイと叫べる環境ではあること、まだ救いはあるのでは無いかなと感じた次第です。
東大・ソウル大の処分はキッパリしていて良かったと思います。それに引き換え何考えてんだ阪大、というのがワタシとワタシの周囲の人間の意見です。これが許されてしまうのなら日本の科学界(むしろ基礎医学界ですか)はThe Endです。近い場所に身をおく人間としては正直やってられん気分です。
ところで高いIFのレフリーは大丈夫なのかという議論になっていますが、確かに昨今は本当に大丈夫か状態ですがその一方でソウル大の一件を最初に告発したのはNatureのアジア担当editorだったと記憶しています。自浄作用が働いているというべきか、オカシイもんはオカシイと叫べる環境ではあること、まだ救いはあるのでは無いかなと感じた次第です。
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stochinai at 2006-02-20 11:00
osumi1128さん、巽さん、TBならびにコメントありがとうございます。osumiさんがおっしゃるように、処分には伝統的な免職や停職、減給など以外に「院生等の指導を停止」などは有効だと思います。あるいは「共同研究禁止」とか、要するに個人で行う以外の研究活動の禁止処分は大規模プロジェクト研究者にとっては死刑宣告ですので、社会的制裁よりも科学界的制裁がベターだと思います。
医学部学生が研究室に出入りして研究に参加するのは確かに伝統のようですし良い側面もあると思いますが、安易な研究労働力になっていないか、教育的にみて適切な指導が行われているかといったことに関してはなんらかのガイドラインが必要だと思っています。
(続く)
医学部学生が研究室に出入りして研究に参加するのは確かに伝統のようですし良い側面もあると思いますが、安易な研究労働力になっていないか、教育的にみて適切な指導が行われているかといったことに関してはなんらかのガイドラインが必要だと思っています。
(続く)
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stochinai at 2006-02-20 11:05
巽さんがおっしゃるように、こういう事件は現役の研究ボスよりも、これから研究室を持とうと思っている若い研究者にとっての衝撃が大きいと思います。「正直やってられん気分」という言葉はとても良くわかります。
学術雑誌のレフェリーですが、無償で研究内容のチェックまでを含む査読をやっているという今の制度にちょっとほころびが生じ始めているのかもしれないという気もします。
ただでさえ超が付く忙しい研究者にたくさんの査読依頼が行っていると思いますが、丁寧に読んでいる人がどのくらいいるか疑問も感じます。無償のボランティア行為なのに、丁寧にやればやるほど自分の研究ができなくなるんですよね。
学術雑誌のレフェリーですが、無償で研究内容のチェックまでを含む査読をやっているという今の制度にちょっとほころびが生じ始めているのかもしれないという気もします。
ただでさえ超が付く忙しい研究者にたくさんの査読依頼が行っていると思いますが、丁寧に読んでいる人がどのくらいいるか疑問も感じます。無償のボランティア行為なのに、丁寧にやればやるほど自分の研究ができなくなるんですよね。
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あのねのね
at 2009-10-02 14:27
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stochinai at 2009-10-02 14:58
そうしたことをどんどん告発できる「しくみ」が必要ですね。北大などでは最近は学外の「公益通報窓口」として学外の法律事務所が指定されていたりします。学内の人間が信用できないという場合には、そうしたものを利用することも考えてみてはいかがでしょうか。
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獨協医科大学 論文捏造・二重投
at 2011-01-24 19:27
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大阪大学の下村研究室は、現在も下村教授の名前を隠しつつ、研究費を獲得しているようですね。
Commented
by
大阪大学大学院医学系研究科 内
at 2011-04-16 00:52
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不正論文として撤回された大阪大学の福原淳範氏のScience誌論文の業績をもとに、
申請・獲得した公的研究費を下村伊一郎教授のグループは使い続けており、返還していない。
申請・獲得した公的研究費を下村伊一郎教授のグループは使い続けており、返還していない。
Commented
by
東京大学 分子細胞生物学研究所
at 2012-01-20 00:52
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世界中の研究者が注目している
東京大学 分子細胞生物学研究所の論文不正・捏造・改ざん・コピペ疑惑問題
http://blog.goo.ne.jp/bnsikato
http://katolab-imagefraud.blogspot.com
東京大学 分子細胞生物学研究所の論文不正・捏造・改ざん・コピペ疑惑問題
http://blog.goo.ne.jp/bnsikato
http://katolab-imagefraud.blogspot.com
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stochinai at 2012-10-13 15:40
関係者から抗議がありましたので、以下のコメントをいったん削除しましたが、名前部分を伏字にして再掲いたします。 by stochinai
Commented by inoue0 at 2006-02-17 18:36 x
>教授に言われた通りにしただけだ。
それが事実としても、せいぜい指導教授と学生の共犯ということにしかならず、****さんにも責任の一端があることは明白です。
さらに、****さんの父は阪大名誉教授ですから、阪大の慣例や学風にも詳しかったはずです。
大学に400万円、指導教授の個人口座に200万円もの「寄付」をした人が、内容がでっち上げの投稿論文のファーストオーサーだったりしたら、阪大医学部の学風とは、金と見返りに、そうした不正行為を許すようなものであって、阪大に所属しているというだけで、信頼性がないということになりかねません。
この事件は****さんと****教授との贈収賄の疑いでも追求する必要があると思います。
Commented by inoue0 at 2006-02-17 18:36 x
>教授に言われた通りにしただけだ。
それが事実としても、せいぜい指導教授と学生の共犯ということにしかならず、****さんにも責任の一端があることは明白です。
さらに、****さんの父は阪大名誉教授ですから、阪大の慣例や学風にも詳しかったはずです。
大学に400万円、指導教授の個人口座に200万円もの「寄付」をした人が、内容がでっち上げの投稿論文のファーストオーサーだったりしたら、阪大医学部の学風とは、金と見返りに、そうした不正行為を許すようなものであって、阪大に所属しているというだけで、信頼性がないということになりかねません。
この事件は****さんと****教授との贈収賄の疑いでも追求する必要があると思います。
Commented
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stochinai at 2012-10-13 15:42
その後、贈収賄は立件されてはいないようです。
Commented
by
stochinai at 2013-08-04 12:21
トラックバック記事をひとつ削除させて頂きました。
Tracked from 地獄のハイウェイ at 2006-02-16 19:34 x
タイトル : 地獄に堕ちた学者ども
2005/5/19日付けの記事「不正データで論文撤回」
理由は、関係者からの申し出で匿名を希望しているのですが、名前で検索すると本ページには存在しない名前が検索にひっかかることの原因と思われるからです。トラックバックされた方には申し訳ありませんが、ご理解をいただけるとありがたいです。
Tracked from 地獄のハイウェイ at 2006-02-16 19:34 x
タイトル : 地獄に堕ちた学者ども
2005/5/19日付けの記事「不正データで論文撤回」
理由は、関係者からの申し出で匿名を希望しているのですが、名前で検索すると本ページには存在しない名前が検索にひっかかることの原因と思われるからです。トラックバックされた方には申し訳ありませんが、ご理解をいただけるとありがたいです。
by stochinai
| 2006-02-16 15:37
| 大学・高等教育
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