5号館を出て

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いまさら東京オリンピック

 東京都議会が2016年のオリンピック招致運動を開始することを決議した、とNHKニュースが報道しています。たしか福岡がすでに名乗りを挙げていたと思いますので、まずは国内での争いを行うということになるのかもしれません。

 札幌では、先月の道議会で上田市長が2016年、2020年の夏季オリンピック招致は行わないとの結論を表明しています。市長の決定を聞いて、私は東京ではなく札幌に住んでいてほんとうに良かったと思いました。

 そもそも何のためにオリンピックを招致しようというのでしょう。1964年の東京オリンピックは、日本が戦後の復興を世界へ宣言する大きなイベントになりましたし、またそれを境に日本が大きく経済成長をしたという事実はあったと思います。タイミングは抜群だったと思います。しかし、今の日本には、もはやオリンピックを経済の起爆剤にできるような要因は全くないと思われます。

 大阪や名古屋がオリンピック招致をねらって、かなりの投資を行ったり、噂によるとあまり綺麗とは言えない運動を行ったりしたあげくに敗退しています。繰り返し立候補する気配が見られないところをみると、オリンピック招致というのは、経済的損失だけではなく、精神的失望感も大きく、敗退の打撃は都市そのもののレベルで見ても決して良い結果をもたらさないものと思われます。

 そこまで考えると、今の日本の経済状態でオリンピックを招致することにどれほどの意味があるというのでしょうか。もしもオリンピックが東京で開かれるとしたら、日本中から集めた国税を東京都に注ぎ込むことになるでしょうから、ひょっとすると東京都は潤うかもしれません。報道(主にテレビ)や大手ゼネコンももうけるかもしれません。しかし、他の地方に住む、大部分の日本国民は腹の足しにもならない夢にたくさんの税金を払うことになるのです。もちろん、夢が続くのなら賛成することも良いかもしれません。しかし、夢はたった2週間で醒めてしまうことになりそうです。

 同じお金をかけるというのなら、オリンピックに出場できるような若者を育てることに投資してはどうでしょう。オリンピックを開くとしたらかかる費用を日本中の才能ある子どもたちに分配して育てたら、何十年後にはたくさんのメダルを取れるようになると思います。

 人が育てば、オリンピックがどこの国で行われようと、長い期間にわたって日本人が夢を共有し続けることができるのではないでしょうか。

 愛地球博も終わってしまえば、モリゾーとキッコロのキャラクター以外は何も残っていないようです。

 政治的にも、経済的にも行き詰まっている今、これからの日本は箱もの行政やイベント主義から、人を育てるという行き方へと舵を切らないとほんとうに終わりになってしまいます。

 そろそろ目を覚まして、政治をする人達(野党も与党も)も総入れ替えしないとダメじゃないでしょうか。オリンピック誘致とは、目を覚ますことを拒んでもう一度冷たい布団に潜り込む行為に思えます。
Commented by inoue0 at 2006-03-09 02:51
 オリンピックの廃止を考えるべき時期にきてると思いますよ。
1.国際親善 国連が作られ、サミットがあり、全地球規模での市民意識も涵養されつつある時代に、もはや大規模イベントはいらない
2.スポーツ振興 スポーツの意義はすでに十分浸透してます。トップクラスの選手を育てるよりも一般人のスポーツ環境を振興する方が、健康とか地域共同体意識の育成とか考えると重要でしょう
3.国際競技会としては二流 記録が出る確率は、分野ごとの国際競技会の方がはるかに上です。異種目を同じ地域の会場で短期間に行うという制限が、適切なコンディションを提供できず、選手に負担を強いています。真夏のマラソンとか。
Commented by stochinai at 2006-03-09 11:41
 inoue0さん、私もご意見に賛同します。国際的にそのようなことを主張している国または政治家がいても良さそうですが、どうなんでしょう?
by stochinai | 2006-03-08 22:46 | つぶやき | Comments(2)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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