5号館を出て

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牛乳1000トンが産業廃棄物に

 9時前のNHKのローカル・ニュースで北海道の牛乳が過剰生産に陥っており、このままだと1000トンの生乳を産業廃棄物として処分することになるというニュースをやっていました。

 この冬、北海道のウシは予想以上にミルクを出しているようで、前年比2%と予想されていたところが3.1%という成績で伸びているのだそうです。12月頃は5%増だったそうです。増産の原因は北海道の乳牛が増えていること以外に、昨年夏の好天によって今食べている牧草の栄養が良いことが上げられています。良いニュースのように聞こえるのですが、悪いニュースなんです。

 北海道新聞のデータベースを調べてみると、実は1月時点で生乳の供給過剰は深刻化しており、生乳を保管するタンクが不足し、本来は飼料などに使うホエー(乳精:チーズを作った残り)を、1月末に約1100トン廃棄して生乳を保管していたことが報道されています。

 ただでさえ生乳の消費が豆乳や他の飲料に押されたりして落ちているところへ、ここへ来て小学校が春休みになって学校給食用の牛乳がもろに余ってきたとのことです。

 素人考えでは、ミルクが余ったらチーズやバターにすれば良いのではないかと思うのですが、どうやら北海道のバターやチーズ生産ラインはすでにフル稼働しているようで、生乳として消費されないものは捨てるしかないというのが現状のようです。ホクレンではこの事態を受けて新しいチーズ工場を作る計画だそうですが、それが稼働するのは2008年となんとものんびりした話です。

 要するに乳牛が多すぎるということなのだと思います。米などもそうですが、どうして作りすぎてしまうのでしょうか。米の場合は価格が市場で決まらないことや、減反すると補助金が出るというようなことが原因だという話を聞いたことがあります。牛乳も確かに会社によってあまり値段が違わないような気がします。作りすぎたのならば、半額とかにしてどんどん売るというようなことはできないのでしょうか。せっかくウシが出してくれたものを捨てるというのは、ウシにも申し訳ないし、酪農家の方々の努力にも申し訳ない気がします。

 とりあえず、価格の決定方式を考え直すべきだと思います。

 それと、もうひとつは牛乳からいろいろな食品を作る研究をして欲しいと思います。牛乳のほとんどは水分ですから、まずは簡便に水分を除いて保存や加工(チーズやバター以外にも工夫のしようがありそうに思えます)する技術を開発するというところから研究してみてはどうなのでしょうか。

 地元の大学に、そういう研究をするように要求してみてください。

【追記】
 こちらに千歳にある酪農家の身近なところからのレポートがあります。
Commented at 2006-03-16 22:15 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by habichan at 2006-03-16 22:48 x
先日の聞きかじったニュースでは、チーズの値段が上がっていて、微妙に内容量を減らしてるという話でしたが。。。
生乳が余っている???
Commented by 妙訝 at 2006-03-17 00:46 x
habichanさん。それ私も聞いた。

>価格の決定方式を考え直すべきだ
同感です。しかし牛乳だけでなく、果物も、傷物を安く売ればいいのに価格の下落を怖れて総て破棄する。野菜もそう。傷物野菜や形の歪な物、虫食い品を市場には流さない。
決して下げないバブル指向と、それのもたらす悪平等の名残ですね。モッタイナイが聞いて呆れる。PSEも含め。
悪平等の解消はそういった側面においてこそ進めるべきで(質の悪い物を安価に手に入れるという選択の自由)、雇用での差別待遇では、悪平等より酷い単なる不平等だ。
…と話を膨らませてみました。
Commented by inoue0 at 2006-03-17 01:02
 バターの山、ワインの川事件はEUで80年代に発生していました。彼らは「バターを燃料として使えないか?」を真剣に検討したそうです。
 結局、輸出補助金をつけて、無理矢理輸出して在庫を減らそうとしたのですが、やはり生産過剰で悩んでいたUSAと利害が衝突し、大問題となりました(米欧農業摩擦)
 これを解決するための話し合いが、例のGATTウルグアイラウンドで、農業補助の大規模削減が先進国間で合意されました。日本も例外ではありません。
Commented by inoue0 at 2006-03-17 08:54
 具体的にどうすべきか?ですが、生乳の消費は価格弾力性が低いので、いくら価格を下げても増えるものではないですし、保存や輸送に便利なようにバターや粉乳に加工しようにも設備が足らないとあっては、捨てるしかないでしょう。歴史の教科書にも、1929年の大恐慌では、川が白く濁るほどミルクが捨てられたといいます。
 「もったいない」話ではありますが、それは生産者のown riskでやっていることだから、他人がとやかく言う問題ではないです。
 もっとずっと「もったいない」ことが、農業公共事業の分野では発生しています。投資したお金を回収できる見込みがないのに、「投資」と称して、水利事業や土地改良事業を行う。そこに使われた土木資材や化石燃料は元に戻りません。これは、我々の税金で行われている「もったいない」事業なのです。
Commented by hal at 2006-03-17 12:36 x
妙訝さんの言うことに反論です。
「安かろう悪かろう」商品は消費者に自己責任という名の下でリスクの負担を増大させます。例えば米国の市場を見ても、結局は酷い不平等になります。過度の生産者保護は別として、独占禁止法やGATTに抵触しない範囲での価格維持は、社会全体の安定化としてもメリットがあると思います。
そういう意味では、雇用の差別待遇は大問題です。しかし、上に書いた妙訝さんの牛乳や野菜に関する主張から敷衍すると、逆に「いびつな労働者(短時間・低能力・外国人?)を安く市場に流してほしい」という論理展開になってしまうのではありませんか?
Commented by alchemist at 2006-03-17 18:28 x
余り話題になりませんが、牧畜の糞尿処理も結構問題みたいです。窒素濃度の高い飲料用井戸が見つかっています。どのくらいのサイズだと無駄なく牧畜できるか検討しなおす時期にきているのではないでしょうか?
Commented by mm at 2006-03-17 19:16 x
エチオピアを中心に、旱魃でミルクの一滴もない国もあるのに。チーズなど日持ちのするものだけでも、なんとか送り出すことはできないのでしょうか。送料はみんなのカンパでなんとかなりませんかね。
Commented by inoue0 at 2006-03-17 19:37
インドやバングラデシュの救援活動に、衣類や毛布を送る活動をなさった方に話を聞いたら、
「日本から毛布を送ると送料がかかって、現地で買う方が安い」
んだそうです。
 物流が破綻している地域なら物資輸送も意味がありますが、「貧しさ」ゆえにモノがない地域には、金を送ることこそ、最良の支援活動なんです。
 まして、ミルクなんぞという生鮮食品を腐らせずに向こうに届けるには冷凍設備のある船や保冷車が必要で、到底ペイするものではありません。その送料で向こうで粉ミルクを買った方がいい。
Commented by stochinai at 2006-03-17 21:26
 活発な議論ありがとうございました。どなたにとってもこれが、心を痛める大きな問題であることは間違いないとわかりました。
 何とかしなければなりませんね。
Commented by 妙訝 at 2006-03-19 03:24 x
to halさん
その反論は最もです。今の政府に対する私の意見とも一致します。
halさんの懸念を100として、私の否定する画一的な悪平等を10とすれば、私の主張は20~30程度の位置に相当します。当然の如く安全は保障されるべきです。安全未満というか以外の容姿の美醜は嗜好品の範疇にしてしまって十分だと私は考えます。虫さえ食えない毒食品にするよりは。
Commented by 妙訝 at 2006-03-19 03:24 x
inoue0さんの意見ももっともで、大量生産と長距離輸送を是とすれば、そうならざるを得ません。私は衣料品等々で薄利多売を認める立場ではありますが、やはり「治産地消」の占める割合をもっと高めるべきだとは思います。国家的保存食の生産と国民的な消費プロセスとセットに。昔から、保存食とその定期的消費は年中行事に組み込まれていました。
「ああすればこうなる」という、チキンレースに似たそれら無駄を削る事だけに邁進する「改革」は、弾力性の無さそのものであり、僅かな気象異変に大ダメージを負う社会のリスクを高めているのだと。
inoue0さんが指摘するように、短期的にどうすることもできません。が、そういう意味での「あそび」が無くなりすぎると、このようなモッタイナイ事態を必然的に起こし得る可能性も同時に高まるのもだと…。
Commented by stochinai at 2006-03-21 20:10
 トラックバックしていただいた佐藤秀さんのところで紹介されている「日本の酪農業とWTO農業交渉」という文書はとても興味深いです。みなさん、ぜひお読み下さい。
http://www.nochuri.co.jp/report/pdf/r0509wto1.pdf
by stochinai | 2006-03-16 22:08 | 札幌・北海道 | Comments(13)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


by stochinai