5号館を出て

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モーターサイクル・ダイアリーズ(チェ・ゲバラを知っていますか)

 最近は土日や休日もゆっくりできない日々が続いていたのですが、今日は普通に帰宅することができましたので、久々に週末DVD劇場を開催できました。

 今日のプログラムはモーターサイクル・ダイアリーズです。

 チェ・ゲバラを知らない人が見たら、ただの青春の1ページを記録した多感な若者の数ヶ月の旅の記録にすぎない映画だと思います。

 しかし、少なくとも我々の年代に人間にとってはカストロと一緒にキューバ革命を成功させ、ケネディ暗殺の4年後に、CIAによって訓練されたボリビア政府軍によって殺された伝説の革命家の学生時代を描いた自伝映画ということになると、その意味はまったく違ったものになります。

 革命家というものは体制側が描くと狂信的で残虐な人間に描かれることが多く、革命勢力側から描かれる場合には、極めて人道的で優しい人間ということが多いものです。

 この映画は本人が書いた自伝をもとにしていますので、そのどちらでもないただのぜんそく持ちのちょっとひ弱な医学生として素直に表現されています。

 1950年代の南米を描いた映画などはあまり見ることもなく、スペインによる侵略のことを一般の人がどのように考えているかということや、マヤの末裔たちの生活が出てくるだけでも新鮮なのですが、南米においてもハンセン氏病の患者さんが社会から隔離されていたことなど、金持ちのうちでそだったおぼっちゃんだったゲバラの考え方を変えさせたエピソードが次々と登場してきます。

 クレジットを見て、ロバート・レッドフォードが制作・指揮をしていることを知り、たしかにこの映画はいろんなところで彼が主演して出世作となった「明日に向かって撃て」と重なるところがあると、納得できたのでした。

 いずれにせよ、チェ・ゲバラやロバート・レッドフォード、さらにはサンダンス映画祭のことなどを知らない人が見ても感動は薄いと思いますが、そこそこいろいろな情報を得た後に見たならばまったく違ったものになる映画だと思います。見る人のバックグラウンドによって、これほど大きく差の出る作品も珍しいかもしれません。

 ただし、主人公は、“ラテンのブラピ”と言われるほどのいい男と言われている(私には良くわかりませんが)ガエル・ガルシア・ベルナルという人なので。そっちの方から映画を見ようという方にはまた違った興味があるのかもしれません。

 ともかく、私の評価は保留ということにしておきます。

【追記】
 そういえば「風の便り」さんのところで、この映画のことを書かれていたような記憶があります。December 05, 2005『モーターサイクル・ダイアリーズ』でした。トラックバックを送らせていただきます。

 見落としていましたが、December 14, 2005「エルネスト・チェ・ゲバラ『モーターサイクル・ダイアリーズ』」で、原作の紹介もされております。合わせてお読みください。
Commented by cogito at 2006-03-26 10:12 x
一緒に旅行した友人の方がまだご存命で、映画の最後に出ていたのには驚きました。 彼には、現在の世界はどう見えるのか? 友人として、あるいは革命家としてのチェ・ゲバラについてどう考えているのだろう?等々考えてしまいました。
考えてしまいました。
Commented by KAZE at 2006-03-26 12:06 x
TB有り難うございました。映画を観たあとで原作も読んでみました。リンクも付け加えておきましたが、時間がありましたらまたお訪ね下さい。この映画のメイキングらしい『トラベリング・ウィズ・ゲバラ』という映画もあります。録画したまままだ観ていませんので、観てからまた記事にします。ヨロシク。
Commented by mm at 2006-03-26 17:38 x
WBCで準優勝したキューバの歓迎会のようすをTVが放映していて、大正面にゲバラの肖像が飾ってありました。ジーンときました。
Commented by stochinai at 2006-03-27 01:07
 cogitoさん、KAZEさん、mmさん、コメントありがとうございます。ゲバラと聞くと感動してしまうと、お互い歳がばれてしまいそうですね。
 我々は、現代日本を作った共通の「父」を思い浮かべることができるかなと考えると、実は国民のための日本という国はまだできあがっていないのかも、と思ってしまいます。
Commented by agakun1 at 2006-06-03 18:42
こんにちは!
この映画は、原作読むといいですよ!
本人が書いているので、おもしろいですよ
Commented by stochinai at 2006-06-03 19:21
 agakun1さん、ありがとうございます。文庫本にもなっているんですね。是非、手に入れようと思います。
by stochinai | 2006-03-26 01:30 | 趣味 | Comments(6)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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