5号館を出て

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科学技術振興機構(JST)のヒット

 いつも文句ばかり言っているので、坊主憎けりゃ袈裟まで憎いということで、政府や文科省およびその下にぶら下がる各種の独立行政法人や国立大学法人のやることに対して、私が評価することを拒否しているのではないかと思っている方がいるかもしれませんが、決してそんなことはないということを示す、絶好のチャンスが訪れました。

 今朝の朝日新聞の記事「ノーベル賞論文もネット公開 日本の学術雑誌52誌から3万本」にあるように、独立行政法人科学技術振興機構(JST)が、日本で発行された学術雑誌のうち重要度の高いものを選んで創刊号から電子化し、無料で公開するJournal@rchiveという取り組みは本当に素晴らしいプロジェクトだと思います。

 午前0時を過ぎて27日になっていますので、すでにアクセスが可能になっておりますので、是非ごらんいただきたいのですが、最新の学術雑誌を見るのとはまたひと味違った楽しさを感じることができます。ジャーナル一覧のページに、いくつかの雑誌の紹介記事がありますが、こうしたことができるのもアーカイブの良いところだと思います。今後、特定の日本人研究者の紹介記事などが出てくると、かなり有益な科学コミュニケーションになることが確信できました。是非ともご検討ください。

 今ではほとんど見られなくなった日本語の学術論文もあり、科学史的な見地からだけではなく専門家以外の方でも学術論文に直接触れる興奮を味わえるのではないかと思います。現在、公開中の日本語のものは次のものです。
季刊 理論経済学
産業医学
植物學雜誌
東京化學會誌
東京數學物理學會記事
日本化學雜誌
日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
氣象集誌

 植物学雑誌があるのに私も投稿(英語でしたが)したことのある動物学雑誌がないのは残念なのですが、今回の52誌を皮切りに5年後までに500誌を電子化する予定だということですので、期待したいところです。

 読売新聞によれば、「科学技術振興機構は30~50億円を投入、5年後までに500誌の電子化を進める予定」とあります。昨日、「たった」7000万円のことで目くじらを立てた私ですが、このプロジェクトに関しては50億円と言わずに100億円でも200億円でもつぎ込んでも損はないと思います。道路や建物などだとそのくらいのお金をつぎこんでも、たいしたものもできませんし耐用年数もたかがしれています。それに対して、電子化された原著論文の価値は無限に続くどころか、時間が経てばたつほど価値が上がるのです。

 さらに、インターネットを通じて世界中からアクセスができるということですので、日本語の論文はさておき、今まで海外で注目されていなかった論文が再評価されるというようなことも多くなると思います。

 大学の紀要などは各大学がHUSCAPのような機関リポジトリがやり、全国的な学会誌などに関してはこのJSTのJournal@rchiveで分業しながら電子化すれば、過去100年くらいにわたって国内で行われてきた(論文化された)科学のいとなみのすべてが世界からアクセス可能になるのです。つまり、Google(Scholar)などでも引っかかるようになるのです。素晴らしいことではありませんか。
 
Commented by renes at 2006-03-27 02:18
新刊行分はJ-STAGEですよね。
http://www.jstage.jst.go.jp/browse/-char/ja
Commented by stochinai at 2006-03-27 07:53
 補足情報をありがとうございます。いずれのケースでも原著論文が無料で公開されるということに大きな意義があると思います。公開する側が、無料の方が利益が大きいということに気がつき始めたということもあるのだと思いますが、良い流れができはじめたと思います。
by stochinai | 2006-03-27 01:01 | 科学一般 | Comments(2)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


by stochinai