5号館を出て

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膿を出そう

 NHK問題が水掛け論になりそうでウンザリしている時に、またまた内部告発です。愛媛県警:不正経理問題で、現職警察官が告発というわけで、現職の警察官が「松山市内で会見し、73~95年の23年間、上司から偽造領収書を作るよう要求されたと証言した」ということです。

 この人の偉いところは、73年に配属された時に求められた偽造領収書作りを断っただけではなく、その後異動を続けた地域の各署で求められた同様の偽造領収書作りをすべて断ったということです。

 「普通の人」(例えば私のような優柔不断な人間)なら、たとえ違法なこととわかっていても、まわりのみんなが平然とやっていることを、23年間もの間断り続けることはなかなかできないのではないかと思います。

 しかも退職もせず、させられもせず、今日に至ったところを見ると、県警そのものもある意味では極悪ではないのかもしれないと思わせられるものがあります。

 つまり、今回告発した彼は、みんなに歩調を合わせない「変わり者」として、距離をおいて扱われていたのかもしれませんが、それほどいじめられもしなかったのではないかという気がします。しかし、55歳にもなってもただの巡査部長(いわゆる、お巡りさん)だということは、やはり昇進などは望めない位置に放って置かれたのかもしれません。(本人の気持ちは、推し量ることが難しいです。)

 またなぜに、このタイミングで告発に踏み切ったのかについては、本人が、「正義感から。特別監査で何かが明らかになるかと期待したが、だめと思った。県警幹部から『お前が会見したら県警は1年間は立ち上がれなくなる』と言われたが、問題にフタをしたら一生後悔すると思った」と語っているようですが、定年がおそらく60歳ですのでそれをあと5年残して辞めるつもりなのでしょうか。

 当然のことながら、全国に先駆けて北海道警察の不正経理を暴いた北海道新聞の記者さんのブログでも、この問題が取り上げられています。新展開!「現職」が「実名」で裏金関与を証言 愛媛県警です。これを読むと「各警察は警察庁の指示のもとで、裏金問題は昨年中に決着させた(私の言葉でいえば「幕引きした」)わけですから」と書いてあるので、愛媛県警でも幕引きをしようとしているのを見て許せなくなったというところかも知れません。

 警察の裏金問題はあまりにも広く深いので、各警察が昨年度に行った形ばかりの「内部調査」で出たきたものは、どれもこれも大嘘の塊だとは思います。例えば愛媛の「県警大洲署で98~04年度に支出した捜査費のうち107件約31万円の不正支出があったと発表」というのは、誰が考えてもおかしいと感じると思います。同じように全国の警察で行われた「内部調査」で出てきた、「軽微で」しかも「私的流用や不正はなかった」という報告を信じる人はほとんどいないと思います。

 しかし、数年前まで全国のお役所のどこでも、金額の差こそあれそのような「公金の現金化・目的外流用」などは間違いなく行われていました。ほとんどのところでは、必要悪として公的に行われていたと思います。それが、だんだんと社会的な圧力に押されて、やはりいけないことはいけない、必要な経費はきちんと要求して正規に獲得すべきであるという、ごくごく当たり前のことが徐々に行われるようになってきているという現実もあるのだと思います。

 不正は不正なので、きちんと法的に罰するとすれば日本中の公務員の99.9%はなんらかの処分を受けなければならないことになるのではないでしょうか。

 そこで、暴論を承知で提案をひとつしたいと思います。「今年度中にすべての不正を止めるならば、これまでの罪は問わない。ただし、返還すべきお金はできうる限り返還する」ということしてはどうでしょう。ただし、もしも来年度に亘っても不正を続けるようならば、それはすべて10倍増しの重罪ということで、必ず実刑に処することにするのです。

 もしも、その処置で今後の不正がなくなるとしたら、あまりにも多い罪人を裁く国家スケールでの労力と時間と経済的負担を軽減できるというメリットがあるのではないかと思うのですが、どうでしょう。もちろん、それでも堂々と大々的に税金泥棒を続ける輩がいたら、例え国会議員といえども市中引き回しの上獄門・磔の刑に処することにしましょう。議員がかなり減ることも、期待できるかもしれません。
by stochinai | 2005-01-21 00:01 | つぶやき | Comments(0)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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