5号館を出て

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R25

 もうサイエンスウォーカーのことを議論する段階は過ぎたと思うのですが、サイエンスコミュニケーションとしてああした若者向けの雑誌に注目するということ自体は間違っていなかったと思います。

 よく見てみると、いま巷に出ている雑などにはもとから若者の情報収集アンテナに対応して、ほとんどの雑誌の記事に、そこそこの量の科学ネタを織り込まれているというのが実態だと思います。

 数日前のK_Tachibana さんの科学コミュニケーションブログで話題になっていたフリーペーパーのR25というものが気になっていました。残念なことに札幌では手にはいらないようなので、昨日の東京出張のついでに1部入手してきました。

 そして、今日パラパラと見ていて何から何までサイエンスウォーカーよりも優れていると感じていたところに、K_Tachibana さんの「『サイエンスウォーカー』との比較・・・改めて「R25」を眺める」というエントリーが出ました。結論としては「まったく同感」です。

 まあ、誰が見てもそうなのでしょうが「ウナギの出生地」の話と「宇宙人がいそうな星」の話は、まさにサイエンスネタそのものであり、デートに使える度から言ってもはるかにレベルが高いものだと感じました。

 K_Tachibana さんは、このふたつが科学ネタだとおっしゃっていますが、私からみると「ニセメールの見分け方」「怪文書の見分け方」「体重計のトレンド」なども十分に科学の話題だと思いましたし、その他の話題も無理してこじつければ科学と関係ないわけでもない話題ばかりです。現代の我々の生活に科学技術と関係のないものなどほとんどないことを考えると、なんでも科学になるのはあたりまえな話ではあるのですが。

 しかも、文章としてもはるかにサイエンスウォーカーに勝っている気がするのは、ライターさんの生活がかかっている真剣さの差が出たかなとも感じました。

 我々がこうした一般紙を媒介にしてサイエンスコミュニケーションを考えるならば、サイエンスだけでかためて読者に引かれてしまうようなサイエンスウォーカー方式は避けて、若者の日常生活の中にすべりこんでいくという手法が有効だということも教えられました。

 サイエンス応援団の私としては、これだけ宣伝効果の高いものが無料で出ているということにやはり感動を覚えました。しかも、これで食べている人が何人もいるのです。

 我々がめざすべき方向はしっかりと示されていると思いました。
Commented by enoki at 2006-04-02 05:47 x
まったく同感です。
私もサイエンスウォーカーはちょっと失敗してると本当は思ってるんです。
Commented by stochinai at 2006-04-02 10:54
 はははは、実は私もちょっとサイエンスウォーカーに期待していたんですよ。「さんざん非難したけれども、実物を見てみたところ中味は悪くない」というコメントまで用意して待っていたのですが、、、。
Commented by K_Tachibana at 2006-04-02 13:38 x
サイエンスウォーカーもR25も,期待された成果と実際の結果をもとにPlan-Do-Check-Actionのサイクルを回して成果発表をしてもらえれば,今後社会との科学コミュニケーションを計画実行していくうえで非常に参考になると思っています.ある程度落ち着いたところで,文科省さんとR25の編集部の方の話を聞いてみたいです.
Commented by ハニーm at 2006-04-03 02:30 x
若者向けの媒体ということで余談ですが…。少女コミック誌「flowers」の
5月号別冊付録「SFファンタジー特集」に科学ネタが鏤められています。
気分転換(アルコールより癒し大!)でした。例えば→ヒロイン24才、院生。
修論のための物理学実験中。Reflectance(%)やWave length(nm),SPIN TIME(ps)
などグラフ(図)も描かれ、ある程度現実に即しているのかと思いました。
 理化学研究室が舞台の作品で「水酸化Naと塩酸まぜたらただの塩水になっち
まうだろ!!」と叫ぶ博士のセリフは化学式付き。廃墟の地球発掘話や虫と花の
関係の発想も面白いです。科学の普及啓発が目的の短編集ではない(はず?)
ですが、さりげなく科学が身近になる企画・発想だと思います。 …①
 
Commented by ハニーm at 2006-04-03 02:32 x
 本格的な科学的コミックは数多くあるようですが、素材として科学がどう
使われているかの細かな点より、例えばギャグ・パロディ風な表現の中にも
科学を基盤とする現実の社会を考える伏線を窺い、興味を感じました。
 なお、同誌に「時計仕掛けのオレンジ」「ライトスタッフ」「ガタカ」の
SF映画3作品が解説・紹介されています。次元の違う題材で恐縮でしたが、
乙女の世界をちょっとお知らせ致しました。…②
by stochinai | 2006-04-02 02:28 | 教育 | Comments(5)

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