2006年 04月 15日
映画「アイランド」
劇場で公開された時に。映画を見た学生が否定的な感想を言っていたような記憶があったので、ほとんど期待せずにDVDを見てみました。
期待しないで見たせいもあったのかも知れませんが、意外と努力して作っているなあというのが最初の感想でした。個人的にスカーレット・ヨハンソンとユアン・マクレガーが好きな俳優だったというところが影響していたかもしれません。
不必要にアクション・シーンが多いという気がしないわけでもないのですが、これはクローンを題材にしているものの基本的には派手さを中心に据えたアクション映画であると見るならば、それはそれでこういうものなのだろうと納得もできました。
ダイ・ハードとかスター・ウォーズとかスワットとか、過去のドカン・ボカン映画をよく見て勉強して(パクって)作った映画だなあと、画面そのものに感動するよりは、その姿勢に感動してしまう場面が多かいと感じました。また一方で、そこかしこに渋い映画からのパクリ・シーンもあり、特にスティーブ・ブシューミが出てくるといきなりB級映画の渋さを漂わせたりするあたりは、監督さんは本当にいろいろな映画を見て勉強していることを感じました。そういう意味で、日本の監督にお金を持たせたらこんな映画を作るのではないかとも感じました。
一方で、クローンを題材にしているわけで、そちらの方でもなかなか良く勉強をしていることは感じられました。
もちろん、クローンを2-3年でドナーと同じ年齢の大人にまで育ててしまうあたりや、指紋や顔(眼底血管?)などを利用した個人認証システムで、本当ならば別人とされるはずのクローンを同一人物と認識してしまうところなど、超科学(非科学)SF的な危うさはそこかしこにあるのですが、それでもなお「なかなか良く勉強しているじゃないの」とほめたくなりました。
しかしながら、できるならばコーステッパー(私が、勝手に北大CoSTEP卒業生をそう呼ぶことにしました)のようなコミュニケーターを制作スタッフに入れて、映画でも正しい科学コミュニケーションをやってもらえるようになって欲しいとも思いました。
話は変わりますが、半年のCoSTEP一年目を終わって感じていることのひとつに、科学者をコミュニケーターにしなくてはならないということの他に、科学アーティスト、科学映画人を育てるということもやってみたいと思うこともあり、今後は「科学コミュニケーションとしての娯楽映画」ということも考えて行きたいと思っています。
さて、月曜日はCoSTEP第二期生の第一次募集の締切です。今年はどんな人が集まってくれるのでしょうか。不安とともに楽しみでもあります。
期待しないで見たせいもあったのかも知れませんが、意外と努力して作っているなあというのが最初の感想でした。個人的にスカーレット・ヨハンソンとユアン・マクレガーが好きな俳優だったというところが影響していたかもしれません。
不必要にアクション・シーンが多いという気がしないわけでもないのですが、これはクローンを題材にしているものの基本的には派手さを中心に据えたアクション映画であると見るならば、それはそれでこういうものなのだろうと納得もできました。
ダイ・ハードとかスター・ウォーズとかスワットとか、過去のドカン・ボカン映画をよく見て勉強して(パクって)作った映画だなあと、画面そのものに感動するよりは、その姿勢に感動してしまう場面が多かいと感じました。また一方で、そこかしこに渋い映画からのパクリ・シーンもあり、特にスティーブ・ブシューミが出てくるといきなりB級映画の渋さを漂わせたりするあたりは、監督さんは本当にいろいろな映画を見て勉強していることを感じました。そういう意味で、日本の監督にお金を持たせたらこんな映画を作るのではないかとも感じました。
一方で、クローンを題材にしているわけで、そちらの方でもなかなか良く勉強をしていることは感じられました。
もちろん、クローンを2-3年でドナーと同じ年齢の大人にまで育ててしまうあたりや、指紋や顔(眼底血管?)などを利用した個人認証システムで、本当ならば別人とされるはずのクローンを同一人物と認識してしまうところなど、超科学(非科学)SF的な危うさはそこかしこにあるのですが、それでもなお「なかなか良く勉強しているじゃないの」とほめたくなりました。
しかしながら、できるならばコーステッパー(私が、勝手に北大CoSTEP卒業生をそう呼ぶことにしました)のようなコミュニケーターを制作スタッフに入れて、映画でも正しい科学コミュニケーションをやってもらえるようになって欲しいとも思いました。
話は変わりますが、半年のCoSTEP一年目を終わって感じていることのひとつに、科学者をコミュニケーターにしなくてはならないということの他に、科学アーティスト、科学映画人を育てるということもやってみたいと思うこともあり、今後は「科学コミュニケーションとしての娯楽映画」ということも考えて行きたいと思っています。
さて、月曜日はCoSTEP第二期生の第一次募集の締切です。今年はどんな人が集まってくれるのでしょうか。不安とともに楽しみでもあります。
科学アーティスト、重要だとおもいます。このあいだ米国の某研究所を訪問したら、「イラストレーター募集中」とありました。どうやら科学的なイラストを書く人を研究所が募集しているようです。日本ではあまり聞かない気がしました。
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stochinaiさん、こんばんは。
コーステッパーさんたちがどんなキャリアに付くのか、大変興味があります。
今、全国どの大学も「科学コミュニケーター」と騒いでいて、「そんなに作って、どうするのか、考えておられますか?」と聞くと、「是非メディアに・・・」などと言われるのですよね・・・
たぶん、メディアは実は難関なのではと思うのですが。
科学アーティストという意味では、個人的にはNature Neuroscienceのイラストレーターさんがとても素晴らしいセンスで、良い図を描いておられます。
ああいう方が日本でも育って下さったらと思います。
科学コミュニケーションの手段は「言葉」だけではありませんよね。
コーステッパーさんたちがどんなキャリアに付くのか、大変興味があります。
今、全国どの大学も「科学コミュニケーター」と騒いでいて、「そんなに作って、どうするのか、考えておられますか?」と聞くと、「是非メディアに・・・」などと言われるのですよね・・・
たぶん、メディアは実は難関なのではと思うのですが。
科学アーティストという意味では、個人的にはNature Neuroscienceのイラストレーターさんがとても素晴らしいセンスで、良い図を描いておられます。
ああいう方が日本でも育って下さったらと思います。
科学コミュニケーションの手段は「言葉」だけではありませんよね。
CoSTEPからはまだアーティストが出ていませんが、イラストやデザインをはじめ、一般の科学コミュニケーション・スキルの穴場は探せばまだまだたくさんあると感じています。メディアはあまりにもダイレクトすぎますので、たしかに難関中の難関だと思います。
コーステッパーには小説家や国際的アマチュア天文家の方や、すでに社長さんという方も数人いらっしゃいますので、社会のあちこちに科学コミュニケーション・スキルを持った方を送り出すことになると確信しています。
現時点でのコーステッパーの活動の一端はここでごらんになれます。
http://girasole.cocolog-nifty.com/costep/
コーステッパーには小説家や国際的アマチュア天文家の方や、すでに社長さんという方も数人いらっしゃいますので、社会のあちこちに科学コミュニケーション・スキルを持った方を送り出すことになると確信しています。
現時点でのコーステッパーの活動の一端はここでごらんになれます。
http://girasole.cocolog-nifty.com/costep/
科学アーティスト、科学映画人とは素敵な発想ですね。ワタシもそういった職業が増えることを夢見ております…
しかし、現実にはなかなかそれだけでは食べていけないというのが現実のような気がします。
しかし、現実にはなかなかそれだけでは食べていけないというのが現実のような気がします。
>なかなかそれだけでは食べていけない
ですよね。科学コミュニケーションという職業を想定するのはやはりちょっと無理を感じます。逆にいうと、科学コミュニケーションリテラシーを導入することで付加価値をつけることのできる業種にはどのようなものがあるのか、というふうに考えると現実味が出てくるのではないでしょうか。
ですよね。科学コミュニケーションという職業を想定するのはやはりちょっと無理を感じます。逆にいうと、科学コミュニケーションリテラシーを導入することで付加価値をつけることのできる業種にはどのようなものがあるのか、というふうに考えると現実味が出てくるのではないでしょうか。
ユアン・マクレガーが女の子を養女に
以前、ちょろっと書き込みしたものです。
私もこの映画見ましたが、科学考証についてはどちらかというと評価できませんでした。何しろ「クローンの記憶」ストーリーのキーになっていたりするわ、生体丸ごと促成培養の必然性はアレだわで。。。いや、科学風味のファンタジーとしてはそれなりに面白かったですし、ユアン・マクレガーも好きな俳優なので映画としては楽しめましたけど。(笑)
科学考証をきっちりしてくれ、というのは一応科学を学んだものとして、科学の現場に居るものとしては正直思うのですが、逆にあんまりきっちりすると、ストーリーが成り立たなくなるというのもあると思うのですね。
かといって、たとえばクローンのように社会の側からすると微妙な事柄に関してあまり適当な考証で作られるのも、ってのもあるわけで。。。「アイランド」も「ハリーポッター」も所詮ファンタジーに過ぎない事を、誰もが解った上で楽しめばよいのですけどね。
私もこの映画見ましたが、科学考証についてはどちらかというと評価できませんでした。何しろ「クローンの記憶」ストーリーのキーになっていたりするわ、生体丸ごと促成培養の必然性はアレだわで。。。いや、科学風味のファンタジーとしてはそれなりに面白かったですし、ユアン・マクレガーも好きな俳優なので映画としては楽しめましたけど。(笑)
科学考証をきっちりしてくれ、というのは一応科学を学んだものとして、科学の現場に居るものとしては正直思うのですが、逆にあんまりきっちりすると、ストーリーが成り立たなくなるというのもあると思うのですね。
かといって、たとえばクローンのように社会の側からすると微妙な事柄に関してあまり適当な考証で作られるのも、ってのもあるわけで。。。「アイランド」も「ハリーポッター」も所詮ファンタジーに過ぎない事を、誰もが解った上で楽しめばよいのですけどね。
Indigoさん、ありがとうございます。
私は「クローンの記憶」に関しては、映画の中で「促成栽培」中の個体にいろいろな画面を見せるシーンがその説明になっていると思っていました。促成栽培に関しては実際の再生医療の研究をしている科学者もわりと本気で考えていることだと思います。それと「生体丸ごと」のクローン複製の必然性も、今の生物学の常識では丸ごと作るのが臓器を作るもっとも簡単な方法なので、私としては意外と勉強しているのかな?と思ったのです。
というわけで、この話はクローン人間を代理母(仮母)に作らせるという、ほとんど実現可能な技術を裏に隠した「逆SF」(そんな言葉有るのかどうかは知りませんが)ではないかと感じました。
本当に人として生まれたクローン人間を殺して臓器のドナーにするという映画はあまりにもリアルすぎて作れないということなのかもしれません。
私は「クローンの記憶」に関しては、映画の中で「促成栽培」中の個体にいろいろな画面を見せるシーンがその説明になっていると思っていました。促成栽培に関しては実際の再生医療の研究をしている科学者もわりと本気で考えていることだと思います。それと「生体丸ごと」のクローン複製の必然性も、今の生物学の常識では丸ごと作るのが臓器を作るもっとも簡単な方法なので、私としては意外と勉強しているのかな?と思ったのです。
というわけで、この話はクローン人間を代理母(仮母)に作らせるという、ほとんど実現可能な技術を裏に隠した「逆SF」(そんな言葉有るのかどうかは知りませんが)ではないかと感じました。
本当に人として生まれたクローン人間を殺して臓器のドナーにするという映画はあまりにもリアルすぎて作れないということなのかもしれません。
即レスありがとうございます。(笑) えと、ネタバレになってしまうので、「アイランド」未見の方は読まないでください。(^^;
記憶に関しては、確かオリジナルの情報は教育課程で与えられておらず、どうやら「細胞の記憶」という扱いだったようです。実際、結局その該当ロット丸ごと「廃棄」ということでしたし、教育内容は個体ごとには変えていないようです。
その辺の「記憶」の扱いは「クローン物」では割と良くあるパターンなので「あ、これもか」と。。。
丸ごと促成培養ですが、元々丸ごとではあるものの「ヒトの形をしていない」臓器の塊として作っていたが、「ヒトの形(と人格?)」を与えないと組織が安定させることができない、という理由で「ヒト」を作って飼っている、という話なんです。で、その理由付けが「???」という事なんですよ。
また、確かに簡単なのは丸ごとなんですが、再生医療としての現状としては、それこそ倫理的な問題もあって丸ごとより臓器個別の誘導、って方向しかないわけで、それが必ずしも絵空ごとでなくなりつつある、ってのを鑑みると、あんまり「勉強している」という風には思えなかったのです。
記憶に関しては、確かオリジナルの情報は教育課程で与えられておらず、どうやら「細胞の記憶」という扱いだったようです。実際、結局その該当ロット丸ごと「廃棄」ということでしたし、教育内容は個体ごとには変えていないようです。
その辺の「記憶」の扱いは「クローン物」では割と良くあるパターンなので「あ、これもか」と。。。
丸ごと促成培養ですが、元々丸ごとではあるものの「ヒトの形をしていない」臓器の塊として作っていたが、「ヒトの形(と人格?)」を与えないと組織が安定させることができない、という理由で「ヒト」を作って飼っている、という話なんです。で、その理由付けが「???」という事なんですよ。
また、確かに簡単なのは丸ごとなんですが、再生医療としての現状としては、それこそ倫理的な問題もあって丸ごとより臓器個別の誘導、って方向しかないわけで、それが必ずしも絵空ごとでなくなりつつある、ってのを鑑みると、あんまり「勉強している」という風には思えなかったのです。
続きです。
そういった評価もあって、私はあの映画の制作者はその考証の程度から「クローン」自体を主題というより手段に使っただけで、テーマ自体はラストの直截な表現そのものの「(人による人の)支配と解放」なんだろうな、と。そこでは「支配者たるオリジナル」vs「非支配者たる人未満のクローン」という図式なので、たぶん、代理母経由クローンのリアルさ、ってのは考えてないように思えますです。
そういった評価もあって、私はあの映画の制作者はその考証の程度から「クローン」自体を主題というより手段に使っただけで、テーマ自体はラストの直截な表現そのものの「(人による人の)支配と解放」なんだろうな、と。そこでは「支配者たるオリジナル」vs「非支配者たる人未満のクローン」という図式なので、たぶん、代理母経由クローンのリアルさ、ってのは考えてないように思えますです。
確かに自分でも、勝手に「好意的に」解釈している可能性は高いと思いつつも上のようなことをふと考えたりしたのですがIndigoさんが詳細に考証していることが「本当のこと」だろうと納得できます。
ただし、それを越えてほんとうに「すごいクローンもの」というのも考えうるわけで、科学コミュニケーターが発案してそういう映画を作れたら、それもまたおもしろそうだな、と思ったりしています。
楽しいやりとりになりました。いろいろと、ありがとうございました。
ただし、それを越えてほんとうに「すごいクローンもの」というのも考えうるわけで、科学コミュニケーターが発案してそういう映画を作れたら、それもまたおもしろそうだな、と思ったりしています。
楽しいやりとりになりました。いろいろと、ありがとうございました。
私自身も「あ、またか」と思ってからはエンターテイメントとしてしか観なかったので、もしかしたら何か勘違いをしているかも知れません。
ただ、クローンがオリジナルの記憶を(勝手に)持っているという設定はストーリー的には非常に魅力的なようで、クローンの概念がSFに取り入れられて以来、最近ではエイリアン4に至るまで用いられているんですよね。
正直、クローンが現実の技術となった時期以降に関しては、あれはわかってやっているんでないかとすら疑っていたりします。そのくらい「クローンの記憶」というのはファンタジーとして魅力的なモノだと思うのですよ。(笑)
SFの魅力の一つは現実を越えた「あるかもしれない」モノにあるわけで、科学コミュニケーターが発案したり、補強したりしてより魅力ある、かつ現実の「科学」とも齟齬を来さない作品ができれば、というのは私も強く思います。
では、お騒がせいたしました。
ただ、クローンがオリジナルの記憶を(勝手に)持っているという設定はストーリー的には非常に魅力的なようで、クローンの概念がSFに取り入れられて以来、最近ではエイリアン4に至るまで用いられているんですよね。
正直、クローンが現実の技術となった時期以降に関しては、あれはわかってやっているんでないかとすら疑っていたりします。そのくらい「クローンの記憶」というのはファンタジーとして魅力的なモノだと思うのですよ。(笑)
SFの魅力の一つは現実を越えた「あるかもしれない」モノにあるわけで、科学コミュニケーターが発案したり、補強したりしてより魅力ある、かつ現実の「科学」とも齟齬を来さない作品ができれば、というのは私も強く思います。
では、お騒がせいたしました。
いろいろと教えていただき、ありがとうございました。
生物学をやっている人間としては「クローンの記憶」などということは想像すらできない荒唐無稽なことなのですが、オカルト的に「使えるネタ」だということは想像できます。遺伝子に記憶があるという言い方はやはり誤解を生みやすく、「トヨタのDNA」とかいう使われ方もそういうもののひとつだと思っています。私は「DNAは化石のようなものであって、記憶ではなく記録が刻まれているのだ」と話していますけれども「記憶が刻まれている」と誤解する学生もいるんでしょうねえ(^^;)。
生物学をやっている人間としては「クローンの記憶」などということは想像すらできない荒唐無稽なことなのですが、オカルト的に「使えるネタ」だということは想像できます。遺伝子に記憶があるという言い方はやはり誤解を生みやすく、「トヨタのDNA」とかいう使われ方もそういうもののひとつだと思っています。私は「DNAは化石のようなものであって、記憶ではなく記録が刻まれているのだ」と話していますけれども「記憶が刻まれている」と誤解する学生もいるんでしょうねえ(^^;)。
by stochinai
| 2006-04-15 23:57
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