5号館を出て

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「踊るはにわ」と思い込み

 今朝の朝日新聞に、「踊るはにわ」は実は踊っている姿ではなく、馬をひいている様子を描いたものだと考えられるようになってきている、という話が載っていました。

 中学校の時だったか、歴史や美術の時間に教えてもらったような記憶がありますが、まん丸な口と目を開けて、片手を頭に近く上げて、もう一方の手を腰に当てている姿を「踊っている」と言われ、まったく疑いもせずに信じ込んでしまい今日に至っております。

 冷静に考えてみると、説明文もない古代の遺跡から出てきた像の役割を想像することは難しいことのはずなのですが、現代の我々が日常的に知っている盆踊りのような姿をしている像をみて一瞬「踊っている!」と思いこんでも、無理はないと思います。

 しかし、我々のような非専門家がそのように思うならともかく、いわゆる専門家と言われる人達が、その姿を踊っていると説明していたのではないでしょうか。

 ニセ科学や振り込め詐欺(やっぱり振り込ませ詐欺だと思うのですが、毎日聞かされているうちに、それほど気にならなくなってきている自分が怖い)にだまされる時も、この日常感覚に近いところを突かれると弱いのかもしれません。

 だましたりだまされたり、脅したり脅されたり、殺したり殺されたりというニュースばかりを聞かされている毎日の中、もう邪悪なものに飽き飽きしている人の心に「ありがとうというと水も美しい氷の結晶を作るんですよ」などと言われると、なんだかホッとした気持ちになって信じても良いかなと思ったりするのかもしれません。それに、信じたって誰にも迷惑はかからないという気持ちもあるのかもしれません。

 振り込め詐欺にしても、何百に一つくらいのケースで詐欺の創作した話とほとんど同じ不安をかかえている家族などがあるのではないでしょうか。詐欺にしてみれば大当たりでしょうが、やられる方にしてみると、夫が痴漢をするかもしれないと思って送り出した後で「お宅の旦那が痴漢をして、捕まっています。今駅の事務室に被害者と一緒にいるのですが、示談にすれば警察へも通報しないと言っているので、1時間以内にこれこれの口座に100万円振り込んでください」と言われたら、「あ~ら、やっぱり」と思う奥さんがいたりすることもあるのでしょう。みごとにはまってしまうのは無理がないかもしれません。

 はにわが踊っているように見えるのも、このような姿は踊っているのだという思い込みや先入観がある我々日本人だけなのかもしれません。日常感覚は日常生活には有効で大切なものだと思いますが、科学的判断が必要な時にはあえてその感覚から一歩引いたところから出発しないと、とんでもない過ちをおかしてしまうことがあるかもしれません。

 嫌なヤツと思われるかもしれませんが、ピンと来た時こそ自分を疑ってみるところから始めてみることにしましょう。
Commented by さなえ at 2006-04-21 08:03 x
人は見たいようにしか見ないというか、見えないという説が正しいとすると、馬を引いているというより踊っていると見た昔の人は何かというとみんなで踊るだけの余裕と楽しみに満ちていたのかもしれませんね。または踊りが大好きなのに踊る暇がなかったとか…
Commented by stochinai at 2006-04-21 20:36
 パッと見て「あっ、踊ってる」と思ったんでしょうね。確かに、そう思える人は悪い人じゃなさそうです。
by stochinai | 2006-04-20 20:58 | つぶやき | Comments(2)