5号館を出て

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旭山動物園のマルミミゾウ「ナナ」死す

 このところ悪い話がほとんどなかった旭山動物園ですが、残念なことに日本に2頭しかいなかったマルミミゾウのナナが死んでしまいました。

 北海道新聞: 旭山動物園、ゾウのナナ安らかに 人気者失う

 読売新聞: 旭山動物園のゾウ「ナナ」が若い死

 1980年に旭山動物園に来た時には、たしかアフリカゾウとして紹介されていたような気がしますが、その後アフリカゾウと近縁ではあるものの、その亜種で非常に貴重なマルミミゾウであるということがわかったということのようです。

 冬には雪の戸外に出たりもしていたようで、日本では酷寒の地である旭川でも元気に暮らしています、というニュースも見たことがありますが、かなり体毛が伸びていたりもしていましたので、決して楽な生活ではなかったのかもしれません。

 動物園といえば、ゾウとキリンとライオンあたりが定番で、子どもに動物園の絵を描かせるとやはりこのあたりの動物がモデルになることが多いのではないでしょうか。やはり、日常的に見ることのない巨大動物を見せる「見せ物」としての動物園なら、そうした大型獣がもてはやされるのは仕方のないところだと思います。

 しかし、一方で実際に見た誰もが感じることですが、ほとんどのケースで動物たちはあまりにも狭いところに閉じこめられているという実態があるのも、動物園の宿命です。たとえ比較的広いところに入れられているように思えても、野生における行動範囲を考えると信じられないほどの狭い空間に閉じこめられているのは事実ですから、よほどの飼育技術があり、さらに動物の方でもそうした空間への適応ができるものだけがなんとか生き延びることのできる過酷な場所だということを、ナナの死の報道に接して改めて感じました。

 そもそも、我々人間の楽しみや教育のために、野生動物を捕らえて飼育しておくということは、どこまで許されるのということを考えると頭を抱える部分もあります。

 私の個人的意見ですが、飼育してそこで自然に繁殖が繰り返されるような環境を提供できるのならば、飼っても良いのではないかと思っています。もちろん同じ条件で、見せ物にすることも教育的見地から許されると思っています。

 そう考えるならば、ゾウなどのように現地で群れを作って生活している動物を1個体か2個体、狭いところで飼育するというのは虐待以外のなにものでもないと感じられるのですが、センチメンタルすぎるでしょうか。

 キリンやライオンは、動物園でもしばしば繁殖に成功しているようなので、彼らをハッピーな状態で飼育する技術も確立されてきているのかもしれませんが、ゾウについては聞いたことがありません。そう考えると、動物園でゾウを飼育するのはそろそろやめるべきではないでしょうか。今は、どんな珍獣でも簡単に映像で見られるばかりではなく、ある程度のお金はかかりますが現地まで旅行することができれば、野生のゾウを見ることもできる時代です。

 最近、人気急上昇中の旭山動物園ですから、経済的にはゾウを購入することも不可能な状況ではないと思うのですが、新たにゾウを飼育する場合にはオス・メスのペアで繁殖が可能な環境を用意して飼育しなくてはならないというルールがあるのだそうです。ですから、たとえオス・メスを手に入れたとしても旭川でゾウを繁殖させようと思ったら、エアコン付きの体育館くらいのケージを用意しなくては無理だと思います。本来ならば群れで飼育しなくてはダメということだとさえ思います。

 新しい動物園を目指す旭山動物園のことですから、単に客寄せのために動物を不幸にするようなことはないと思われます。また、これからあちこちの動物園で老齢化した大型獣が死んでいくと思いますが、その時にはすぐに代わりの動物を手配するということではなく、一度立ち止まってその後をどうするのかを冷静に考え直すことが必要だと思います。
Commented by alchemist at 2006-04-23 17:36 x
現代に入る前のことなのでしょうけれど、ヨーロッパでは精神病院が一種の動物園のように公開されていたそうです。そのために、精神疾患の患者さんを人目の届かない座敷き牢に閉じ込めるような閉鎖性がなく、社会によって病気が広く認知され、その治療の必要性が認識されるようになったそうです。
今の日本人がそういう情況を見たとすれば、人権問題とか、プライバシーとかそちらの方に目がいってしまうでしょうけど、歴史の一こまです。
ついでに、アメリカ独立戦争の当事者であったイギリス国王は突発性の精神症状を伴う遺伝病であったと推定されています。国王がそういう病気を患っていたことが、精神疾患の研究の必要性を皆が認める理由の一つになっていたそうです。
Commented by merchantsakurai at 2006-04-23 21:42 x
「精神症状」がどのようなものかは知りませんが、アメリカの第2代大統領が「すぐ頭に血が上る人だった」という話を本で読んだことがあります。
「精神疾患の研究・治療」もさることながら、どこまで「個性」でどこまで「症状」なのか、が問題であるような気がします。

 ヨーロッパのTV局で「人間動物園」という番組を放送していた時期があります。もちろん出演者は賞金目当て、耐えられなくなった人から脱落というものだったそうです。
Commented by alchemist at 2006-04-24 10:06 x
精神症状というのは、精神疾患と診断される程度の症状です。アタマに血が上る・・・程度のものではありません。発作のたびに妙な法律を作っているそうで、その一つが植民地への茶税です。
あくまで、症状から病名が推定されているだけですが、割と良く知られた話で、教科書によっては記載されていることもあります。
Commented by stochinai at 2006-04-24 20:49
 すでに歴史になってしまっているのであれば、特に伏せ字で議論をする必要はないかと思います。嫌がる方がいらっしゃるのはわかりますが、我々は歴史を教訓にしてこれから間違わなければ良いのですから。(教訓にできない人や国があるのも事実ですが、、、、。)
Commented by ぢゅにあ at 2006-04-27 01:18 x
水族館のシャチもまた、野生の寿命が60歳なのに対し、約20歳と短命です。捕獲されてから1年未満で死亡する例がかなり多いようです。イルカもまたしかり。たとえ一部の動物とはいえ、動物園や水族館が犠牲を強いてていることには疑いの余地がなさそうです。
by stochinai | 2006-04-22 15:32 | 札幌・北海道 | Comments(5)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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