2004年 12月 28日
「御用納め」(授業料値上げ)
昨日の今日に、新潟ではまた比較的大きな地震があったようです。魚沼市で震度5弱 新潟中越地震の余震。雪も降っているようですし、ようやく今日から再開された上越新幹線も2時間ほど停止したとのこと、本当にお気の毒でなりません。
ついつい長年の癖で、今日は「御用納め」と言ってしまいそうになるのですが、公務員ではなくなったので、今日は「仕事納め」です。
大学内でも、そのことをあまり気にしていらっしゃらない方が多いみたいで、私は気を付けて「教員」と名乗るようにしているのですが、まだまだ自分のことを「教官」と呼ぶ方も多い周辺です。
何か今年つぶやき忘れたことがあったような気がするのですが、授業料のことだったかもしれません。
国立大授業料、1万5千円目安に値上げへ調整というニュースはちょっと前に流れましたが、大学内で話題になるふうもありません。国立大学の授業料値上げを文科省が押しつけを読んでもわかるのですが、授業料は別に値上げすることを強制されているわけではないのです。
文科省としては、皆さんは法人化したのですから、授業料を上げるのも自由、上げないのも自由、さらには下げたっていいんですよ、とおっしゃっているようです。ただし、文科省が標準と定める授業料の値上げをしようがしまいが、来年度から大学へ配分する運営交付金は値上げ分相当を減額するとのことです。
なるほど、それはうまい手です。しかし、一般社会では通用しない論理ではあります。たとえば、サラリーマンもやっている兼業農家で給料を下げるので、作っている作物を値上げして、その穴埋めをしなさいと言っているのと同じです。作物の値段は消費者の欲求との兼ね合いで決まりますから、自分の都合で値上げすると却って売り上げが落ちる可能性があるのです。
国立大学の授業料はどうでしょう。これだけ強気で隔年くらいに上げ続けているということは、まだまだ値段を上げても売れると見ているということですね。ほんとうでしょうか。
それはさておき、我が北海道大学は大学院生も含めると1万5000人以上の学生がおりますので、その数に標準値上げ分の授業料をかけ合わせると2億円以上です。別に授業料を値上げしなくてもいいんですけど、それだと2億円の配分が減りますよ、と言われて「それでもいい」と言えるかどうかを試されているのだと思います。
もちろん、もっと値上げしても良いのです。文科省としては10%くらいは高くしてもいいと言っているようですので、例えば5万円値上げしてみましょう。そうすると、北大では7-8億円の増収になります。受験生が減るでしょうか。質の高い教育をする自信と名声があるならば、減らないと思います。それがないならば、やはりできない相談です。
理想はさておき、このような状況に置かれて横並びを美徳とする日本人が取るべき行動はただひとつだと思います。全国の国立大学が横並びで、一斉に授業料を値上げする可能性がもっとも高いことが予想されます。
しかし、これが法人化して最初に独自性が試されるチャンスだととらえるならば、安易に横並びにすべきではありません。
値上げをしないか、値上げ幅を圧縮するか、あるいは標準額以上に大幅値上げをするか。いずれにしても、文科省とは独自に自分たちの高等教育に対する姿勢を示す良い機会だと思うのですが、首脳部はどう動くでしょう。
そうでした。大学の中枢におられる方々は、そんなことを考えることより、次の学長選挙のことで大忙しなんですよね。
ついつい長年の癖で、今日は「御用納め」と言ってしまいそうになるのですが、公務員ではなくなったので、今日は「仕事納め」です。
大学内でも、そのことをあまり気にしていらっしゃらない方が多いみたいで、私は気を付けて「教員」と名乗るようにしているのですが、まだまだ自分のことを「教官」と呼ぶ方も多い周辺です。
何か今年つぶやき忘れたことがあったような気がするのですが、授業料のことだったかもしれません。
国立大授業料、1万5千円目安に値上げへ調整というニュースはちょっと前に流れましたが、大学内で話題になるふうもありません。国立大学の授業料値上げを文科省が押しつけを読んでもわかるのですが、授業料は別に値上げすることを強制されているわけではないのです。
文科省としては、皆さんは法人化したのですから、授業料を上げるのも自由、上げないのも自由、さらには下げたっていいんですよ、とおっしゃっているようです。ただし、文科省が標準と定める授業料の値上げをしようがしまいが、来年度から大学へ配分する運営交付金は値上げ分相当を減額するとのことです。
なるほど、それはうまい手です。しかし、一般社会では通用しない論理ではあります。たとえば、サラリーマンもやっている兼業農家で給料を下げるので、作っている作物を値上げして、その穴埋めをしなさいと言っているのと同じです。作物の値段は消費者の欲求との兼ね合いで決まりますから、自分の都合で値上げすると却って売り上げが落ちる可能性があるのです。
国立大学の授業料はどうでしょう。これだけ強気で隔年くらいに上げ続けているということは、まだまだ値段を上げても売れると見ているということですね。ほんとうでしょうか。
それはさておき、我が北海道大学は大学院生も含めると1万5000人以上の学生がおりますので、その数に標準値上げ分の授業料をかけ合わせると2億円以上です。別に授業料を値上げしなくてもいいんですけど、それだと2億円の配分が減りますよ、と言われて「それでもいい」と言えるかどうかを試されているのだと思います。
もちろん、もっと値上げしても良いのです。文科省としては10%くらいは高くしてもいいと言っているようですので、例えば5万円値上げしてみましょう。そうすると、北大では7-8億円の増収になります。受験生が減るでしょうか。質の高い教育をする自信と名声があるならば、減らないと思います。それがないならば、やはりできない相談です。
理想はさておき、このような状況に置かれて横並びを美徳とする日本人が取るべき行動はただひとつだと思います。全国の国立大学が横並びで、一斉に授業料を値上げする可能性がもっとも高いことが予想されます。
しかし、これが法人化して最初に独自性が試されるチャンスだととらえるならば、安易に横並びにすべきではありません。
値上げをしないか、値上げ幅を圧縮するか、あるいは標準額以上に大幅値上げをするか。いずれにしても、文科省とは独自に自分たちの高等教育に対する姿勢を示す良い機会だと思うのですが、首脳部はどう動くでしょう。
そうでした。大学の中枢におられる方々は、そんなことを考えることより、次の学長選挙のことで大忙しなんですよね。
by stochinai
| 2004-12-28 00:00
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