5号館を出て

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修理できないハードウェア製造業者

 貧乏研究室なものですから、備品になるような機械などそうそうめったに買えません。

 去年は冷却遠心機がダメになりました。冷却能力はしっかりしているので、ローターの軸を交換してもらえないかと聞いてみたところ、製造中止で部品もないので修理はできないとのことでした。その後、新製品のカタログを持ってきましたが、もちろん簡単に買えるはずはありません。それよりも、その会社の製品に対する姿勢が疑われましたので、買いたくなくなりました。

 それから1年近く経って、爪の先に灯をともすような節約を続け、なんとか1台買えるかもしれないというところまで来ましたが、結局他社の遠心機を購入しました。性能や値段を比較して勝ったのですが、決定にあの悪い思い出の感情が入り込まなかったということはないでしょう。

 また最近、某社の実体顕微鏡の光学系のくもりのひどさが気になって来たので、光学系の清浄をお願いしましたところ、貼り合わせレンズの間にくもりが生じているのかも知れず、分解してみないとなんとも言えないとのことでした。

 ただし、こちらも製造中止になって部品がないので、分解手数料20万円をかけて分解して調べてみても、元のようにクリアに見えるようになるかどうかはわからないとのことでした。こちらも新製品の購入を勧めるということのようです。

 どちらも、同じ頃に購入した同型機種の多くが、あちこちの研究室でまだ現役で使われている、購入後10年程度の製品です。もちろん、製造中止後7年しか部品保持義務がないということは知っていますが、製造会社としては、法律を守っているのだから、古い製品は直せなくても良いという姿勢でいいのでしょうか。

 たくさんの製品の部品を保持し続けるのが大変だということはわかりますが、共通の部品が使えなくなるようなモデルチェンジというものがそんなに頻繁に必要なのでしょうか。もし、そうだとしたら機械として「完成品」と言えるものになる前に販売していると言わざるを得ません。

 「モデルチェンジをしても、自社の製品なら直せます」というような誇りを持った製造業者は日本にはないのでしょうか。

 お金さえあって、どんどん買い換えれば済むというのと次元の違う問題があるように思います。
Commented by マルセル at 2006-06-07 22:21 x
儲け主義に徹すると顧客から嫌われますな
信頼と安心があればユーザーは買いますが、公的機関の場合はそれを談合と疑われる場合もあるかと...
東工大のエレベータもそうだけど何でも入札で安いモノを買ったらええということではない
悩ましいトコでは?
Commented by K_Tachibana at 2006-06-07 22:40 x
以前,私も器械屋に勤めていたことがあるので,耳の痛いところです.
パーツが本社(アメリカ)にある場合はなんとか修理が効くのですが,なくなったら修理できなくなってしまいます.あとは,社内にある中古品から部品を抜くしかなくなります.OEM品になると,パーツの取り寄せ自体が困難になります.
私は,国立大学の廊下に放置され使えなっていく大型機器の山を見て,器械やを止めて転職しました.
Commented by もも at 2006-06-08 08:36 x
リサイクルを推奨しているには、長く使おうとすると不具合がいっぱいなんです。「その部品はありません、修理代はかなり高くなりますが、次に故障したらもう修理はできません。」家電品にしろ事務電気製品にしろ、この3点は、もう耳たこ。
昔、エコノミックアニマルと言われましたが、いまも日本の製造業界はそうなのですね。
Commented by stochinai at 2006-06-08 21:19
 パーツがなくなると修理ができないという話が普通なのですが、優秀な技術者がいれば直せるはずだとは思うのですが、値段が高くなりすぎて実用的ではないということなのかもしれませんね。
 国も中古品の流通を阻害するようなPSE法というようなものを作ると言うことは、国も使い捨てを奨励しているように思えます。
 安いということと、グローバルに見て経済的だということはどうも違うのではないかと感じている今日この頃です。
Commented by ruc at 2006-06-09 09:15 x
>国も中古品の流通を阻害するようなPSE法
それは少々偏見です。中古品流通の実態をあまり知っていなかったのは事実でしょうが、本来は古い製品が火を噴いて事故になるのを防ぐためです。それまでは当事者任せだったところを、無視できない頻度になっていたので「規制して事故を減らすか? 自己責任にするか?」で規制するほうに傾いたというだけです。
無論それにかこつけて天下り先ができるのは残念なことですが。

もう少し大局的な見方をすべきでしょう。政治上起こることは大体にとってよいことを選んだ結果であることがしばしばで、それは個人や一部の人にとっては不利益のように映りがちなものです。
Commented by stochinai at 2006-06-09 11:57
 多少、言い過ぎは自覚しておりました。すみません。不思議なのは、どんどん民間開放型自己責任路線にしていった各種規制が、電気製品でだけ逆行しているように見えるのはなぜなのでしょう。
 それとも、そろそろ「民間にできることは民間に」路線に揺り戻しが起こっているとみるべきなのでしょうか。
 また、ご意見をいただけると幸いです。
Commented by 寒北斗 at 2006-06-10 09:56 x
>国も中古品の流通を阻害するようなPSE法
私はこれが言い過ぎであるとは思いませんよ。失礼ながらrucさんがお上のすることはすべて正しいとお考えになってらっしゃっており、それこそ偏見だと思います。まず、PSE法では中古品が対象であるという規定はなく、それなのに心配した中古業者からの昨年11月の問合せに今年2月になってようやく対象であると回答しています。法改正前の製品には旧法の電気用品取締法に基づいてTマークやSマークといった政府による安全性のお墨付きがありました。旧法による古い製品が危ないとすれば、それは政府が自らの安全性確認を否定することになります。それに新法でもPSEマーク付きの火を噴く製品は出ています。ひと頃テレビ、新聞、ちらし、それに各戸へのはがきの郵送まで行われた某社の石油ファンヒータがそうです。

「政治上おこることはよいことを選んだ結果」とのですが、郵政民営化法案が成立して、小泉首相の約束にもかかわらず郵便局は約5分の1の1、000局が廃止、24時間サービスも中止の方向が打ち出され、どんどん便利が悪くなっています。日本国民全体にとっての不利益です。
by stochinai | 2006-06-07 22:00 | 大学・高等教育 | Comments(7)