5号館を出て

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48例目の脳死判定と北大病院の失態

 東京都立府中病院で脳内出血で入院中の女性が、日本で48例目の臓器移植法に基づく脳死と判定されて臓器の摘出が始まるそうです。

 心臓、肝臓、膵臓、腎臓が利用されることになり、そのうち肝臓は北海道大学病院で移植される予定になっていると報道されているのですが、その陰で昨日北大病院で管理していた臓器移植希望者の一覧表が入ったパソコンのハードディスク(おそらく外付けだったようです)が一時所在不明になっていたという「事件」が発覚していたのでした。

 大学病院では警察に被害届も出すなど、大騒ぎになっていたようですが、ハードディスクは翌二十七日昼ごろ、同じ建物二階にあるスタッフルーム(スタッフ休憩室)で見つかっています。まったく、お粗末な一件落着と言わざるを得ません。

 まあこんなことは、大学の研究室ならよくあることですが、それが病院の中で起こり、しかもそのハードディスクの中に臓器移植希望者名簿という、ちょっと考えただけでも流出したら大騒ぎになることがあまりにも明らかなものがはいっているものが、いとも易々と移動されてしまい、さらにあまりにも不用意に別室で発見されるなどといういい加減さに、世間の人はビックリなされることと思います。

 しかし、大学病院には医師であるという自覚よりは、どちらかというと研究者や研修中という医療者としては無責任になりがちな気分の人間がたくさんおりますので、同じ大学にいる人間としてはいかにもありそうなことだとため息をついてしまうわけです。

 結論から言うと、今回の問題はやはり管理者側に大きな責任があると思います。学生や研修医、外部の研究者などがアクセスできる場所に、超一級の個人情報が入ったハードディスクが外付けで簡単にはずせるようになって置いてあるなどということの危険性を理解していなかった責任は重いです。

 管理する立場にいる方々の多くは情報技術に明るくないということは同情できますが、外付けハードディスクに重要書類がはいっているということは、机の上に秘密ファイルを置きっぱなしにしているのと同じだということくらいは、おわかりになると思います。

 別のニュースでは、ファイルにはパスワードがかかっており、簡単には見れないようになっていたということも書いてありましたが、北海道新聞や神戸新聞のニュースでは触れられていないところを見ると誤報だったのかもしれません。

 いずれにしても、個人情報の入ったファイルが持ち出されたり、簡単に読まれたり(ということはコピーされうる状態です)、ましてやインターネットにつながるような状態にしてはいけないことくらいは常識として知っていなければなりません。

 常識として知っていなければならないということは、法的責任から逃れることはできないということです。「知らなかった」は大人の世界では通用しない言い訳なのです。
Commented by hal at 2006-06-29 10:56 x
>外付けハードディスクに重要書類がはいっているということは、
>机の上に秘密ファイルを置きっぱなしにしているのと同じ

うちの大学では、学生名簿・試験問題・成績などの情報はPC本体のHDDに保存することが禁止され、事務に登録した"外付けHDDまたはFD/CD/DVDまたはリムーバブルメモリ"に保存することが、全学レベルの情報管理委員会のお達しで決められており、多くの教員はいかにも失くしそうなメモリなどではなく外付けHDDに入れています・・・、う〜ん。
Commented by stochinai at 2006-06-29 18:46
 本来ならば、秘密を守らなくてはならない仕事にコンピューターを使う時には、ファイル保存機能を持たないイントラネット端末で仕事をさせるべきなのでして、技術的には可能で民間会社などではすでに使われ始めているそうしたシステムを使わなければ漏洩を防ぐことはできないと思います。
 情報管理委員会は、管理方法を考えるのではなく、管理しなくて済むシステムの開発を検討する組織になるべきですよね。

 個々人ができるとりあえずの対策は、部屋に鍵をかけることでしょうか(笑)。
by stochinai | 2006-06-28 23:01 | 大学・高等教育 | Comments(2)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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