2006年 07月 28日
多様性と自然史 -地球と生物の相互関係 -
今日から明日まで、北海道大学・東京大学・京都大学・琉球大学の生物多様性関係の21世紀COE4拠点の合同公開シンポジウムを開かれております。
生物の多様性ということが大切だということは、少なくとも言葉の上では理解されるようになってきていると思いますが、多様の度合いが我々の日常感覚からは想像もできないほどであることと、多様性そのものがなんらかの経済的価値を生み出すものではないため、地球温暖化などと同じように「大切なのでしょうが、我々とは関係のない話」という扱いを受けることが多いという状況はほとんど変化していないと感じます。
「パンダを守れ」とか、「トキが絶滅する」とかいうふうに具体的に特定の種(しかも、ある程度ビジュアルに魅力的である必要があります)が指定されて、何とかしましょうという話になれば、ムーブメントとして募金が集まったり、研究所建設の話しが具体化したりということにもなるのでしょうが、全国各地に多様性保護センターを作ろうという提案が出たなどという話は聞いたことがありません。
こういう催しをやる度に、多様性や自然史研究をやっていくことが国民の支持を得られるようになるためには、我々の普段の努力が必要だと通説に感じます。実際に話を聞いてみると、素人の方々にも分かってもらえるおもしろい話が多いのですが、今の時代お金に直結しない話はおもしろいと思ってもらえても、ポピュラリティを得るところまでにはまだまだ先が遠いと思います。
さて、6時半から大学の南にあるセンチュリーロイヤルホテルというところで懇親会でした。せっかくの花火大会の日なのですが、高層のスカイレストランではなく、窓のない3階の宴会場でしたので、音も聞こえない静かな懇親会でした。それでも、沖縄・京都・東京からいらした方々には涼しい札幌を味わっていただけただけでも来た甲斐があったと思っていただけるとうれしいところです。
懇親会が終わって、歩いて大学まで戻ってきましたが、静かな大学構内で写真を撮ってみようという気になりました。南門から理学部までの短い距離ですが、こうして写真にしてみるとやはり美しい大学ですね。
まずは、大学の南門から南の方向を見た写真です。JRの高架の向こうには道庁があります、左の明るい建物は駅前のヨドバシカメラです。
そこから南門を入ったところにある守衛所です、昼間は車の受け付けをやっています。
この建物の右にクラーク会館に続くゆるい下りの道路があります。道路の右は中央ローン、左には来客の宿泊施設「エルム会館」があります。
そして、道の先にあるクラーク会館。
北大を南北に走る中央道路です。左が理学部(博物館)、右は文系長屋です。数年前に、北大内で痴漢や恐喝事件が続発したころに、学内の街灯が整備されてからはとても明るくなり、絶好の夜の散歩コースになっています。
私はここを左に曲がって理学部ローンを斜めに横切り、博物館(旧理学部)の裏にある5号館へと戻ってきました。
久しぶりにゆっくりと眺めてみましたが、やっぱり北大は美しいです。
生物の多様性ということが大切だということは、少なくとも言葉の上では理解されるようになってきていると思いますが、多様の度合いが我々の日常感覚からは想像もできないほどであることと、多様性そのものがなんらかの経済的価値を生み出すものではないため、地球温暖化などと同じように「大切なのでしょうが、我々とは関係のない話」という扱いを受けることが多いという状況はほとんど変化していないと感じます。
「パンダを守れ」とか、「トキが絶滅する」とかいうふうに具体的に特定の種(しかも、ある程度ビジュアルに魅力的である必要があります)が指定されて、何とかしましょうという話になれば、ムーブメントとして募金が集まったり、研究所建設の話しが具体化したりということにもなるのでしょうが、全国各地に多様性保護センターを作ろうという提案が出たなどという話は聞いたことがありません。
こういう催しをやる度に、多様性や自然史研究をやっていくことが国民の支持を得られるようになるためには、我々の普段の努力が必要だと通説に感じます。実際に話を聞いてみると、素人の方々にも分かってもらえるおもしろい話が多いのですが、今の時代お金に直結しない話はおもしろいと思ってもらえても、ポピュラリティを得るところまでにはまだまだ先が遠いと思います。
さて、6時半から大学の南にあるセンチュリーロイヤルホテルというところで懇親会でした。せっかくの花火大会の日なのですが、高層のスカイレストランではなく、窓のない3階の宴会場でしたので、音も聞こえない静かな懇親会でした。それでも、沖縄・京都・東京からいらした方々には涼しい札幌を味わっていただけただけでも来た甲斐があったと思っていただけるとうれしいところです。
懇親会が終わって、歩いて大学まで戻ってきましたが、静かな大学構内で写真を撮ってみようという気になりました。南門から理学部までの短い距離ですが、こうして写真にしてみるとやはり美しい大学ですね。
まずは、大学の南門から南の方向を見た写真です。JRの高架の向こうには道庁があります、左の明るい建物は駅前のヨドバシカメラです。
私はここを左に曲がって理学部ローンを斜めに横切り、博物館(旧理学部)の裏にある5号館へと戻ってきました。
久しぶりにゆっくりと眺めてみましたが、やっぱり北大は美しいです。
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ぢゅにあ
at 2006-07-29 01:13
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北大は美しいに同感!
子連れでピクニックする人や、絵を描いてる人を見かけると
大学というより、公園ってかんじですものね。
新緑や紅葉に染まったキャンパスはニューイングランドの景色そのものです。
子連れでピクニックする人や、絵を描いてる人を見かけると
大学というより、公園ってかんじですものね。
新緑や紅葉に染まったキャンパスはニューイングランドの景色そのものです。
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taro-log at 2006-07-29 09:57
こんにちは。海外で生命科学系の研究員をしているものです。
私は小さい頃アメリカに住んでいたことがありますが、国立公園に行くと、必ず入館無料のビジターセンターがあり、地域の地学的な成り立ちや、動植物、それらの食物連鎖の様子などが、小学生にも分かるように説明されていたのをよく覚えています。加えてパークレンジャーが常に巡回しており、ちょっとした観光・自然ガイドを提供すると同時に、餌やりなど、自然を損なう行為には毅然と注意を与え、大きな存在感を示してました。
こうした、自然や生態系を守るという考え方が自然と心に残るような経験を身近にできる環境を作ることこそ、市民の理解の向上へつながるのではないかと思います。
私は小さい頃アメリカに住んでいたことがありますが、国立公園に行くと、必ず入館無料のビジターセンターがあり、地域の地学的な成り立ちや、動植物、それらの食物連鎖の様子などが、小学生にも分かるように説明されていたのをよく覚えています。加えてパークレンジャーが常に巡回しており、ちょっとした観光・自然ガイドを提供すると同時に、餌やりなど、自然を損なう行為には毅然と注意を与え、大きな存在感を示してました。
こうした、自然や生態系を守るという考え方が自然と心に残るような経験を身近にできる環境を作ることこそ、市民の理解の向上へつながるのではないかと思います。
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stochinai at 2006-07-29 22:53
ニューイングランド風なのですか。言われてみれば、なるほどという気もします。北大の景観を維持している当局が認識しているかどうかが、ちょっと不安ですが。
taro-logさん、はじめまして。そうですね、北大くらい自然が残っているところだと、散策担当のレンジャーが常駐するビジターセンターがあっても良いですね。今の状況では大学が人を雇うなどということはとても考えられないと思いますが、ボランティアの方にいてもらうということなら可能かもしれません。良いアイディアだと思いますので、機会があったらあちこちで意見を出してみたいと思います。
taro-logさん、はじめまして。そうですね、北大くらい自然が残っているところだと、散策担当のレンジャーが常駐するビジターセンターがあっても良いですね。今の状況では大学が人を雇うなどということはとても考えられないと思いますが、ボランティアの方にいてもらうということなら可能かもしれません。良いアイディアだと思いますので、機会があったらあちこちで意見を出してみたいと思います。
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匿名
at 2006-07-31 02:03
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本当にのびのびと楽しい時間でした。
主に東大、琉球大のグループの方々と交流でき、関心ある分野のお話しを
伺えて良かったです。いま、北大の或る蔵書のデータをメールしました。
海外の研究者の皆様も気さくで、垣根を越えた参加者の多様性が
尊重されていたからですね。感謝です。
※1:58送信分を削除お願い致します。
主に東大、琉球大のグループの方々と交流でき、関心ある分野のお話しを
伺えて良かったです。いま、北大の或る蔵書のデータをメールしました。
海外の研究者の皆様も気さくで、垣根を越えた参加者の多様性が
尊重されていたからですね。感謝です。
※1:58送信分を削除お願い致します。
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stochinai at 2006-07-31 09:46
最後に岡田先生が「専門外の話だと、心から楽しんで聞ける」というようなことをおっしゃってましたが、これこそが分野を越えた共同研究の芽になるのではないかと思いました。やっぱり、なんでもやってみるものだということが実感できたことが、このCOEの最大の成果のひとつかもしれません。
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匿名
at 2006-07-31 16:14
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追伸:琉球大の方から、「書籍の購入を図書館に頼みたい…」との
メール。北大には3冊あり、著者の一人が北大助教授です。
琉球大にもあって然るべき分野と素人ながら思うのですが、
7万円近いと、大学側の判断(審査)は厳しいものでしょうか。
メール。北大には3冊あり、著者の一人が北大助教授です。
琉球大にもあって然るべき分野と素人ながら思うのですが、
7万円近いと、大学側の判断(審査)は厳しいものでしょうか。
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stochinai at 2006-07-31 18:47
7万円もする本などを研究費で購入できるところとなると、よほど裕福なところに限られます。小さな研究室(グループ)だと、年間の研究費が数十万円というところはざらというのが日本の現実です。そんな高い本ということは汎用性が低いものと思われ、そうなると図書館といえども、よほど大きな大学ならいざしらず、そうそう簡単には買ってくれないと思います。厳しいのです。
by stochinai
| 2006-07-28 23:26
| 大学・高等教育
|
Comments(7)