2006年 07月 30日
オープンキャンパスと無伴奏チェロ組曲
今日は午前中からオープンキャンパス行事と、それに合わせて開催された動物学会北海道支部大会の一般研究と、動物学会員を中心とした大学研究室紹介のポスター発表会がありました。
今年の理学部オープンキャンパス行事はCoSTEPが担当する形で行われるという、ある意味で歴史的なものとなりました。午前と午後の2回に分けて同じものが行われたとのことですが、私は午前中のセッションを時々のぞかせていただきました。
全体の司会は、我がCoSTEP代表のS先生が行っていましたが、動いていたほとんどの人は昨年度のCoSTEP修了生すなわちこ~すてっぱ~のようでした。こ~すてっぱ~の皆さんは、今日をはさんで前後に「楽しくわかりやすい科学教室」の実施中であり、おそらく不眠不休の毎日を送っておられるのだと思いますが、日頃のサイエンスカフェなどで培ったノウハウを駆使してそつなくこなしていたようです。おそらく、時間と余裕とさらにはさまざまなリソースが使える状況だったらさらに良いものにできたであろうという余力も感じられるものでしたが、初めての試みでもあり、自分たちだけですべてを行えるわけでもなく、学部長、各学科の先生、さらには各学科の学生・院生をひきたてながら、なかなかの出来だったと思います。
何よりも、午前・午後とも200名以上収容の行動が満杯になったのを見てびっくりしました。今年の高校生は熱い。暑いといえば、なんと珍しい暑さの中で、階段講堂の空調が故障していたようで、蒸し風呂状態一歩手前だったのですが、勝手知ったる私が3階の廊下の窓をあちこち開けて歩いたのを知っている方が何人おられることか。それでも、さすがに北海道です。空調なしでも、なんとか最悪の状況は避けられたようで、非関係者の私もほっと胸をなで下ろし、高校生の質問に答えるM姫さんと各学科の学生・院生とのやりとりを楽しませていただきました。
さて、その後1時からは昼ご飯を食べる暇もなく動物学会北海道支部役員会です。今年の支部大会の成功を確認しつつも、支部および支部大会の明るくない未来を議論したあと、私は午後の「進化するコアカリキュラム・フォーラム」の準備をして、北キャンパスの全学教育センターへと向かいました。
センターの会場前の廊下では、すでに各学科の技術職員の方達が、さまざまな科学実験のデモを行っておられ、さすがに協働作業はありがたいものだと涙が出ました。
こちらの会場にも続々と高校生を中心にお客様が集まってくださり、300人以上は軽くいたと思います。まあ、こちらは最後の札幌交響楽団の首席チェロ奏者の方の生演奏という目玉が用意されていましたから、予想通りの集客なのですが。
与えられた20分という時間で、生物学の予備知識のない人にも生物学の神髄をわかっていただきます、などという大見得を切って始めた「ゼロからわかる生物学」ですが、予想通り時間が足りず、時間内で終わるために後半を半分くらいはしょってしまいました。聞いておられた方は、看板に偽りありと思われたかもしれませんが、ご不満の方は是非とも北大に入学してください。私が責任を持って、アフターサービスをさせていただきます。
それでも、会が終わったときにひとりの女子高校生が「生命は生命からしか生まれないのだとしたら、最初の生命ができたというところが納得できません」という素晴らしい質問をぶつけに来てくださったのには大感激。来年、是非会いましょう!
私の生物学を除いても、北大の全学教育は素晴らしいと思わせるフォーラムでした。あまりの素晴らしさに総監督のA藤先生が、「北大の教育がすべてこんなに素晴らしいと思ってもらっては困ります」などという泣き言(?)をおっしゃっていたのがご愛敬でした。でも、自分でいうのもなんですが、北大のコア・カリキュラムは結構すごいです。
さて、最後はお待ちかねの石川祐支さんの「バッハ・無伴奏チェロ組曲第1番」の生演奏です。講演者の役得で、かぶりつきで堪能させていただきました。
少しだけ雰囲気をお分けします。この曲は舞踏のための音楽だということを聞いたことがあるのですが、私が今までに聞いた中でもっともダンサブルな躍動感を感じた演奏のひとつだったような気がします。
生演奏は、動作・表情なども含めて音楽だなあと感じさせてくれます。
くやしいですが、演奏を聴きながら思ったことは「芸術の前で科学というものは、なんと無力なのだろう」ということです。
すごい一日でしたが、この演奏のおかげですべての苦労が吹き飛んでしまいました。
その後は、動物学会支部大会の懇親会で思いっきりビールを飲んで、一日の終わり方としては理想的だったと思います。
明日は、高校生の一日体験入学がありますが、こちらは大学院生にお任せで、お手並み拝見といく予定です。
今年の理学部オープンキャンパス行事はCoSTEPが担当する形で行われるという、ある意味で歴史的なものとなりました。午前と午後の2回に分けて同じものが行われたとのことですが、私は午前中のセッションを時々のぞかせていただきました。
全体の司会は、我がCoSTEP代表のS先生が行っていましたが、動いていたほとんどの人は昨年度のCoSTEP修了生すなわちこ~すてっぱ~のようでした。こ~すてっぱ~の皆さんは、今日をはさんで前後に「楽しくわかりやすい科学教室」の実施中であり、おそらく不眠不休の毎日を送っておられるのだと思いますが、日頃のサイエンスカフェなどで培ったノウハウを駆使してそつなくこなしていたようです。おそらく、時間と余裕とさらにはさまざまなリソースが使える状況だったらさらに良いものにできたであろうという余力も感じられるものでしたが、初めての試みでもあり、自分たちだけですべてを行えるわけでもなく、学部長、各学科の先生、さらには各学科の学生・院生をひきたてながら、なかなかの出来だったと思います。
何よりも、午前・午後とも200名以上収容の行動が満杯になったのを見てびっくりしました。今年の高校生は熱い。暑いといえば、なんと珍しい暑さの中で、階段講堂の空調が故障していたようで、蒸し風呂状態一歩手前だったのですが、勝手知ったる私が3階の廊下の窓をあちこち開けて歩いたのを知っている方が何人おられることか。それでも、さすがに北海道です。空調なしでも、なんとか最悪の状況は避けられたようで、非関係者の私もほっと胸をなで下ろし、高校生の質問に答えるM姫さんと各学科の学生・院生とのやりとりを楽しませていただきました。
さて、その後1時からは昼ご飯を食べる暇もなく動物学会北海道支部役員会です。今年の支部大会の成功を確認しつつも、支部および支部大会の明るくない未来を議論したあと、私は午後の「進化するコアカリキュラム・フォーラム」の準備をして、北キャンパスの全学教育センターへと向かいました。
センターの会場前の廊下では、すでに各学科の技術職員の方達が、さまざまな科学実験のデモを行っておられ、さすがに協働作業はありがたいものだと涙が出ました。
こちらの会場にも続々と高校生を中心にお客様が集まってくださり、300人以上は軽くいたと思います。まあ、こちらは最後の札幌交響楽団の首席チェロ奏者の方の生演奏という目玉が用意されていましたから、予想通りの集客なのですが。
与えられた20分という時間で、生物学の予備知識のない人にも生物学の神髄をわかっていただきます、などという大見得を切って始めた「ゼロからわかる生物学」ですが、予想通り時間が足りず、時間内で終わるために後半を半分くらいはしょってしまいました。聞いておられた方は、看板に偽りありと思われたかもしれませんが、ご不満の方は是非とも北大に入学してください。私が責任を持って、アフターサービスをさせていただきます。
それでも、会が終わったときにひとりの女子高校生が「生命は生命からしか生まれないのだとしたら、最初の生命ができたというところが納得できません」という素晴らしい質問をぶつけに来てくださったのには大感激。来年、是非会いましょう!
私の生物学を除いても、北大の全学教育は素晴らしいと思わせるフォーラムでした。あまりの素晴らしさに総監督のA藤先生が、「北大の教育がすべてこんなに素晴らしいと思ってもらっては困ります」などという泣き言(?)をおっしゃっていたのがご愛敬でした。でも、自分でいうのもなんですが、北大のコア・カリキュラムは結構すごいです。
さて、最後はお待ちかねの石川祐支さんの「バッハ・無伴奏チェロ組曲第1番」の生演奏です。講演者の役得で、かぶりつきで堪能させていただきました。
少しだけ雰囲気をお分けします。この曲は舞踏のための音楽だということを聞いたことがあるのですが、私が今までに聞いた中でもっともダンサブルな躍動感を感じた演奏のひとつだったような気がします。
生演奏は、動作・表情なども含めて音楽だなあと感じさせてくれます。
くやしいですが、演奏を聴きながら思ったことは「芸術の前で科学というものは、なんと無力なのだろう」ということです。
すごい一日でしたが、この演奏のおかげですべての苦労が吹き飛んでしまいました。
その後は、動物学会支部大会の懇親会で思いっきりビールを飲んで、一日の終わり方としては理想的だったと思います。
明日は、高校生の一日体験入学がありますが、こちらは大学院生にお任せで、お手並み拝見といく予定です。
つぶやき様、お疲れ様でした。チェロ演奏、よかったですぅ。聞いてて気持ちよかったです。つぶやき様がどうやって20分で生物を語られるのか興味深々でしたが、さすがでした!理学部のオープンユニバーシティにしてもコアカリキュラムにしても、お話聞いていると「北大って恵まれた環境だなー」と思いました。まあ、その環境や機会を活かすのは本人次第ですけどね。どちらのイベントでも、先生たちが高校生の皆さんに真摯に対応されていたのが印象的でした。
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stochinai at 2006-07-31 00:20
Salsaさん、おつかれさまでした。小学校でも大学でも、先生にゆとりをあげてハッピーにさせると良い教育ができる可能性が高くなると確信します。もちろん、そういうふうにするとだらけて教育もしない人間が出てくることも事実ですが、それをなくしようとすると全体がダメになってしまいます。今の日本で起こっていることは、ほんの一部のダメ教員をなくするための政策を全体に及ぼすことで、教育全体をダメにしてしまうという政策です。統計的ということが理解できない人が政治をやっているとこんなふうになっちゃうのかもしれません。
> この曲は舞踏のための音楽だということを聞いたことがあるのですが
のようでございまつ^^
Yo-Yo Ma & Tamasaburo play Bach Cello Suite No.5
http://www.youtube.com/watch?v=cYCJ3VdI0-M
のようでございまつ^^
Yo-Yo Ma & Tamasaburo play Bach Cello Suite No.5
http://www.youtube.com/watch?v=cYCJ3VdI0-M
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ハニーm
at 2006-08-01 22:27
x
全学教育センターの科学実験コーナーでは、皆様から熱心なご説明を
頂き、有難うございました。
地質パネルで、ジープのような車の縦列走行写真を見ました。
地面を振動させて計測し、地盤の特性を調べるそうです。
非常に高価で予算が云々… メモすべきでした。表現の誤りを
お許しください。災害の相次ぐ今日、国民が安全・安心に暮らす
ために重要な、地球の聴診器と思いました。
今日は埼玉の痛ましい事故が胸を去りません。科学的知識以前の
問題だとしても、水流・水圧、物理的なエネルギーの恐ろしさが
正しく認識されていたら、直ちに遊泳ストップされたのでは…
普段は余り気にとめない熱や力の作用、身の回りに潜むリスクを
学び、体感できる場も必要になってくる気が致します。
頂き、有難うございました。
地質パネルで、ジープのような車の縦列走行写真を見ました。
地面を振動させて計測し、地盤の特性を調べるそうです。
非常に高価で予算が云々… メモすべきでした。表現の誤りを
お許しください。災害の相次ぐ今日、国民が安全・安心に暮らす
ために重要な、地球の聴診器と思いました。
今日は埼玉の痛ましい事故が胸を去りません。科学的知識以前の
問題だとしても、水流・水圧、物理的なエネルギーの恐ろしさが
正しく認識されていたら、直ちに遊泳ストップされたのでは…
普段は余り気にとめない熱や力の作用、身の回りに潜むリスクを
学び、体感できる場も必要になってくる気が致します。
by stochinai
| 2006-07-30 22:45
| 教育
|
Comments(4)