5号館を出て

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内部告発者を守らなければ

 我々はこの国では、内部告発をした人間は告発された側から、人事などについて報復をされることがあるだろうと思っています。それは、正しくないことだけど、あるに違いないと思っています。

 一方で、公益に資する内部情報の通報は正しいことなので、告発した人が不利益を被らないようにということで、公益通報者保護法が作られたのだと思います。しかし、この法律の施行は2006年4月ということですし、法律の内容自体も通報者はまず内部に通報、続いて行政機関者に通報、それがダメだとなってはじめて外部へ通報しても良いという、考えようによっては通報を阻止するように作られた法律のようにも思えます。そのあたりの事情については、私が書いた書評『内部告発の力 公益通報者保護法は何を守るのか』および、その本をお読みいただけるとわかります。

 そのような状況下で、先日NHKを内部告発したチーフ・ディレクターと、愛媛県警を内部告発をした現職の巡査部長さんのことを心配している方も多いと思います。

 一般的に言うと、会社や警察という組織を守るという立場からすれば、内部告発は組織の統一性を壊すものですから、組織という立場に立った人から嫌がられるのは理解できます。

 しかし、組織と正義(倫理)の論理が対立した時に、どちらを選ぶかは個々の人間に任されていることだと思います。

 組織を守り、組織のために一所懸命働く人が、組織の中でどんどん昇進していくのは、ある意味で当たり前のことなのかも知れません。しかし、組織が全体として悪あるいは犯罪を行っている時には、そのような組織を守ることのできる人とできない人が出てくると思います。

 そのようなことのできない人(つまり正義感や倫理観が、金銭感覚や上昇志向などに勝っている人)は、黙って組織を去るか、内部で論争するか、外部へ告発するかという選択を迫られることになります。

 正義感の強い人は、黙って去ることはできないでしょう。そして、間違いなく最初のうちは、組織内部においてさまざまなシチュエーションで闘ってきていると思います。

 その上で、もはや内部からの改革に望みがないという段階に達して、内部告発に踏み切ったのだと推察されます。もちろん、そのような行動を取るからには、組織内部での順調な昇進や昇級などに対するあきらめは、覚悟しているはずです。

 今回のような場合、彼らの内部告発によって守られるのは、我々が供出した視聴料という財産であり、警察を運用するために使われる税金です。そういう意味では、彼らの行動によって利益を得るのは、我々一般の国民です。

 だとするならば、彼らを守るべき責任は利益を受ける我々にあるのではないでしょうか。報復人事は当然あるだろうなどと、寝ぼけたことを言っていないで、そのようなことをさせないような圧力をかけることは、我々利益を守ってもらった人間の義務ですらあるのではないでしょうか。彼らを見殺しにしてはいけないと思います。しっかりと見張って、理不尽な報復が起こらないようにしたいと思います。

 「世界が見ている。恥ずかしいことはするな。やったら、北朝鮮を非難できなくなるぞ」だと思います。
by stochinai | 2005-01-25 22:56 | つぶやき | Comments(0)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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