5号館を出て

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コダカラベンケイソウのクローン増殖

 ハカラメ(葉から芽)植物と呼ばれる多肉植物を育てています。
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 育てていると言っても、水もあまりやらなくて良いし(というよりは、あまりやると良くない)、一枚の葉からたくさんの芽が出てきて、それが土に落ちて新しい植物体になってどんどん増え、リッチな気分になれるので気に入っています。この木(?)の根元にも勝手に落ちて育っている新しい子供達がたくさんいます。
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 すべての葉の縁に新しい芽がびっしりとついてフリルのように見えますが、よく見るとなんだか変です。新しい芽にしては複雑すぎるように思えるのです。いろいろと観察してみたら、わかりました。
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 なんと葉から子の芽が出ているだけではなく、その子から孫の芽が出ているのです。この調子でいったら、曾孫の芽が出る可能性があるかもしれません。

 それにしても、この繁殖力はすごいです。葉を裏から見たのが下の写真です。なかなか芸術的なフォルムをしています。
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 下の方が葉の付け根ですが、葉にあるギザギザの凹んだとkろに小さな卵形の「芽」ができて、そこから新しい植物体が生えてきます。先に葉がはえて、しばらくすると根も出てきます。

 この植物、私は自分で勝手にコダカラベンケイソウだと決めつけていますが、子宝草とかクローンコエとか呼ばれているものと同じものか近縁のものだと思います。

 メスだけで殖えるミステリークレイフィッシュもそうですが、こんな殖え方(無性生殖)ばかりをして、有性生殖をしないで長い年月が経つと、それぞれの株(クローン)が少しずつ違うものになっていく可能性があります。生物の「種(しゅ)」の定義のひとつに、(有性生殖をすることで)お互いに持っている遺伝子が混ぜ合わされる可能性を持った集団というものがありますが、その定義に従うと無性生殖だけをする生物は、1匹が1種になってしまいますので例外規定を設けなければなりません。

 とかく生物というものは一筋縄でいかないものですが、そこがまたおもしろいところです。
Commented by もも at 2006-08-26 19:01 x
いやあ、すごいものを見せてもらいました。
いったいどういう経緯で、このような成長方法になったのか、とか
一枚の葉(と言っていいのか)が枯れたら、子孫も枯れるのか、とか
いろいろ疑問がわきます。
それにしても、先生、どこから持ってきたのですか。
先生のお宅は、植物園状態でしょうね。
Commented by Salsa at 2006-08-27 00:25 x
孫芽まで出てくる様は、まさにフラクタルのコッホ曲線ですね。こんな植物、初めてみました。夢に出てきそうなぐろい感じがいいですねぇ。
Commented by stochinai at 2006-08-27 18:24
 この植物の仲間は殖え方から想像できるように、意外と広範に出回っているので、入手もそれほど困難ではありません。植物ではこのように自然にクローン増殖するものも多いのですが、挿し木や接ぎ木のようにクローンで殖やしている例はたくさんあります(ソメイヨシノがクローンだという話は有名です)。不思議なことに全部が同じ寿命になるということはないようです。つまり寿命は細胞レベルで決まるのではなく、個体レベルで決まる部分が多いということでしょうか。
 多肉系は一見すると「グロい」感じがするものも多いのですが、逆にそれが多くのファンをひきつけているようです。私は見た目よりも、その強さに惹かれております。
Commented by 山の手コラム at 2006-08-28 18:22 x
何か映画でも作りたくなりますね。私が育てている日本茜は毎年こぼれた種と蔓性の茎が地面につくとそこからまた根が出ます。どんどん増えていきますがこれはクローンではなく、こども?
Commented by stochinai at 2006-08-28 22:00
 昔、little shop of horrors(邦題もリトル・ショップ・オブ・ホラーズ)という鉢植えの人食い植物が出てくる喜劇映画がありましたけど、そんな感じでしょうか。
 種からできるのはこどもですが、つるが根を出して独立したらりっぱなクローンですね。
Commented by 山の手コラム at 2006-08-29 00:10 x
そうですか・・・う、うちの庭はこどもとクローンでいっぱい!日本茜のバイオ染料を作った人も居るのですが・・・・これは色がちょっと強く感じます、可愛くない.こどもとクローンでは染いろも同じ,やはり種から増えたほうが喜びが大きいですね・・・赤ちゃんは可愛い.
Commented by Ha at 2006-08-29 14:13 x
うちのベンケイソウには花が咲きました。やっと有性生殖かと思ったら恐ろしい事に、そこからは葉の脇芽と同じように芽が出てくるのです。この植物に有性生殖のチャンスはあるのかと思ってしまいます。
Commented by stochinai at 2006-08-29 14:30
 いやいや意外に、花の上にできた芽は受精卵由来のものかもしれませんよ。彼らのしぶとさから考えると、何をやっているかわかったものではありません。動物ではからだを作っているほとんどの細胞は一代限りで死ぬようにプログラムされた体細胞で、卵や精子を作る生殖細胞だけが子孫を作ることができるのですが、コダカラベンケイソウのからだは「生殖細胞」だけでできているのかもしれません。すごいです。
Commented by Ha at 2006-08-29 18:03 x
花付近からでている芽は正確にはどこからなのだろうかということで、再度撮影してみました。そして、果実部もみてみるとどうやら種子のようなものもできています。今度はそれから発芽するのかを調べてみなければいけないなと思っています。新しいエントリーとしておきました。時間がある時にでもご覧頂ければと思います。
Commented by stochinai at 2006-08-30 12:41
 見ました。さすがに小さな種から育てるのは難しいかもしれませんが、それもまた楽しみなことですね。機会があったら、ぜひとも分けてください。
Commented by エクステリアプランナー at 2007-07-23 23:17 x
とうとう見つけました。
フラワースタッフが去年の暮れ、美容院を通りかかった時に頂いたそうです。
それ以来大切に大切に育ててきました。
娘の通う保育園の園長先生に差し上げたところ、とても喜んでくれたそうです。
そしてぜひ名前を教えてくださいと頼まれたということです。
上の娘が教科書に載っていた名前を教えてくれました。
こうして名前がわかって嬉しいです。
5号館の皆さんありがとうございます。
Commented by stochinai at 2007-07-24 00:06
 良かったですね。でも、どうやってここのたどり着いたのでしょう?そっちの方が気になります。
by stochinai | 2006-08-26 18:07 | 生物学 | Comments(12)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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