5号館を出て

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国立と私立での学生の取り合いなのだろうか

 中年哲学徒さんのところ経由で、国立大学の定員充足率が今年度、初めて私立大学を上回ったことがわかったというニュースが出ていることを知りました。

 7月末のエントリーで、40%を越えるというとてつもない数の4年生私立大学が定員割れを起こしているというニュースについて書きましたが、もともと定員を大幅に越えて入学させるのが当たり前と言われてきた私立大学の半分近くが定員割れしたのですから、その総和をとったら定員を越えるか越えないかになるのは想定されていた事態と言えるでしょう。消えると困るので日経の記事を、一部転載させてもらいます。
今年度の国立大の入学定員は約9万6000人、入学者は約10万4000人で、定員充足率は昨年度からほぼ横ばいの107.9%。私大の定員は約44万人、入学者は約47万2000人で、充足率は107.2%と昨年度から2.6ポイント低下した。同事業団(日本私立学校振興・共済事業団)によると、国立大の充足率が私大を上回ったのは統計を取り始めた1955年度以降、初めてという。
 中年学徒さんは「方の国立大学法人がなりふりかまわず入学定員を増やしてくる可能性はある」とおっしゃいます。しかし、本当にそうなるでしょうか。

 細かいデータを見てみないことにははっきりしないのですが、40%以上もの定員割れを出している私立大学の入学生の和が107%の充足率になっているということは、有名私大はまだまだ十分に定員を超過した学生を受け入れていると思われます。国立大学は、そんなにえげつないことはできませんので、どんなに余裕を持って学生の超過受け入れをしたとしても、せいぜい10%くらいではないでしょうか。

 そう考えると、地方の国立大学では定員割れを起こしそうになっている大学もすでにかなりあるはずで(学部単位であるという話はよく聞きます)、そういうところは学生定員を増加させると、逆に定員を充足させにくくなると思われます。最悪の事態を避けるために、そのような大学では逆に定員を削減して充足率を上げようとしてくるのではないかと思うのです。現に、進学者が目に見えて減っている国立大学の大学院博士後期課程では定員を削減しています。

 大学にいると、首脳部がこの充足率不足ということをもっとも気にしていることが感じられます。彼らにとって、それがもっとも恐ろしいことであるならば、次に恐ろしいことである教員の減少と引き換えになったとしても、学生定員の減少を言い出すだろうと、私は予想しています。

 私の読みは、私立大学対国立大学ではなく、私立・国立を問わず有名大学対無名大学です。

 実際にどうなるかは、ほんの数年経ってみればわかるでしょう。そのくらい、事態は切迫していると思います。
Commented by 通りすがり at 2006-09-05 23:58 x
記事の保存はウェブ魚拓 http://megalodon.jp/plus/ が便利ですよ。
Commented by stochinai at 2006-09-06 10:53
 ウェブ魚拓という名前は聞いたことがあったのですが、そんなふうに使うものだとは初めて知りました。ありがとうございました。
Commented by haecceitas at 2006-09-06 21:33 x
TBありがとうございます。haecceitasです。
私もとくに数字を根拠に書いているわけではなく、むしろ私大関係者の危惧を代弁しているつもりでした。

「私の読みは、私立大学対国立大学ではなく、私立・国立を問わず有名大学対無名大学です。」
地方ではこの構図は国立大学対私立大学とほとんどイコールですので。
Commented by stochinai at 2006-09-06 21:38
 まったくおっしゃるとおりですね。しかし、大学関係者として危惧を持っているほうが健全で、それが少ない旧帝大などのほうがいろんな意味で危険ではないかと思う日々です。
by stochinai | 2006-09-05 22:37 | 大学・高等教育 | Comments(4)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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