2006年 09月 06日
友達に水を飲ませて逮捕とは
福岡市の職員が飲酒運転の後に家族5人の乗った車に追突し、幼い子供を3人殺した事件(これを「交通事故」と呼ぶのは不自然だと思います)で、容疑者に水を持ってくるように頼まれた友達が逮捕されてしまいました。容疑は証拠隠滅だそうです。
朝日新聞によると、追突して車を転落させた容疑者は、その直後に中学時代の同級生だった友達に電話をかけて、身代わりになってくれように頼んだということです。これは、容疑者が飲酒の上で事故を起こすと罪が重いということを知っていたことを示す重要な証拠になります。さらに、その犯行が素面の人間によって起こされたものであるならば、刑が軽くなることを予想し、そのように偽装させるという極めて悪質な工作を試みたわけですので、さらに罪を重くしてやるべきだろうと思います。
もちろん、その友達は容疑者の頼みを断ったのですが、容疑者がそれはあきらめた代わりに「水をたくさん持ってきてほしい」と頼んだのだそうです。友達がとんでもない事件を起こし、その身代わりを頼まれた友人は、たぶん長年の友達だったのでしょう。たくさんの水を欲しいと言われて、犯人の身代わりにはなれないけれども何もしてやれないというのも友達として、心が痛んだのではないでしょうか。「それならいいよ」ということで、水を持っていってやった気持ちはとてもよくわかります。私がその立場にいたら、同じことをやったかもしれません。
確かに記事にあるように、「2リットル入りのペットボトル数本」というのは、ちょっと多すぎるとは思います。そして、ひどく酔っている容疑者の泥酔状態を少しでも軽減してやれば、ちょっとは罪が軽くなるかもしれないと思ったかもしれませんが、まさかそれが「証拠隠滅」の罪になるとまでは考えなかったと思います。
私はこの話を聞いて、よく映画などで逮捕された犯人や虐待された囚われ人に誰かが水を差し出すというシーンを思い出しました。窮地に追い込まれた人間に水をやることは「人の情け」というふうに考えるのが我々のような普通の市民が考えることです。
飲酒の形跡を消すための方法と称して、いろいろな方法が伝説として語られています。ミント系のガムをたくさん噛むとか、呼気にアルコールがでなくなる薬があるとか、いろいろ言われているのを聞いたことがありますが、ニセ科学ではないでしょうか。おそらく、時間が経たなければ呼気中あるいは血中のアルコール濃度を急激に下げることなどできないと思います。しかも、今回使われたのは、そうした薬物や化学薬品などではなく、ただの水なのです。
容疑者の弁護士が記者会見で、「水を飲んだのは警察官に事故を申告した後で、複数の警察官の前で飲んだが止められなかった。アルコール検査は水を飲んですぐに受けており、検査結果に影響するとは考えにくい。違法性はない」と主張したそうですが、これは科学的と言える議論だと感じました。
一方、警察が水を運んだ友達を逮捕したのは、悪人をかばう「ふとどきもの」を懲らしめてやろうというような意図を感じるのは、私の偏見でしょうか。
容疑者の罪は明らかであり飲酒も証明されているのですから、水を運んだ友人を逮捕したというのは過剰な対応だと思います。警察の捜査を邪魔しようという意図を感じたのかもしれませんが、たまたま犯人の友達だったというだけで逮捕されてしまったように思えてなりません。
本来ならば、この友人は容疑者の犯行を証明するための検察側の証人として、重要な存在だと思いますが、この件で警察に敵意を持ってしまったと思います。そういう面から考えても、警察のとった逮捕という行動は軽率だったと思えるのですが、どうでしょうか。
朝日新聞によると、追突して車を転落させた容疑者は、その直後に中学時代の同級生だった友達に電話をかけて、身代わりになってくれように頼んだということです。これは、容疑者が飲酒の上で事故を起こすと罪が重いということを知っていたことを示す重要な証拠になります。さらに、その犯行が素面の人間によって起こされたものであるならば、刑が軽くなることを予想し、そのように偽装させるという極めて悪質な工作を試みたわけですので、さらに罪を重くしてやるべきだろうと思います。
もちろん、その友達は容疑者の頼みを断ったのですが、容疑者がそれはあきらめた代わりに「水をたくさん持ってきてほしい」と頼んだのだそうです。友達がとんでもない事件を起こし、その身代わりを頼まれた友人は、たぶん長年の友達だったのでしょう。たくさんの水を欲しいと言われて、犯人の身代わりにはなれないけれども何もしてやれないというのも友達として、心が痛んだのではないでしょうか。「それならいいよ」ということで、水を持っていってやった気持ちはとてもよくわかります。私がその立場にいたら、同じことをやったかもしれません。
確かに記事にあるように、「2リットル入りのペットボトル数本」というのは、ちょっと多すぎるとは思います。そして、ひどく酔っている容疑者の泥酔状態を少しでも軽減してやれば、ちょっとは罪が軽くなるかもしれないと思ったかもしれませんが、まさかそれが「証拠隠滅」の罪になるとまでは考えなかったと思います。
私はこの話を聞いて、よく映画などで逮捕された犯人や虐待された囚われ人に誰かが水を差し出すというシーンを思い出しました。窮地に追い込まれた人間に水をやることは「人の情け」というふうに考えるのが我々のような普通の市民が考えることです。
飲酒の形跡を消すための方法と称して、いろいろな方法が伝説として語られています。ミント系のガムをたくさん噛むとか、呼気にアルコールがでなくなる薬があるとか、いろいろ言われているのを聞いたことがありますが、ニセ科学ではないでしょうか。おそらく、時間が経たなければ呼気中あるいは血中のアルコール濃度を急激に下げることなどできないと思います。しかも、今回使われたのは、そうした薬物や化学薬品などではなく、ただの水なのです。
容疑者の弁護士が記者会見で、「水を飲んだのは警察官に事故を申告した後で、複数の警察官の前で飲んだが止められなかった。アルコール検査は水を飲んですぐに受けており、検査結果に影響するとは考えにくい。違法性はない」と主張したそうですが、これは科学的と言える議論だと感じました。
一方、警察が水を運んだ友達を逮捕したのは、悪人をかばう「ふとどきもの」を懲らしめてやろうというような意図を感じるのは、私の偏見でしょうか。
容疑者の罪は明らかであり飲酒も証明されているのですから、水を運んだ友人を逮捕したというのは過剰な対応だと思います。警察の捜査を邪魔しようという意図を感じたのかもしれませんが、たまたま犯人の友達だったというだけで逮捕されてしまったように思えてなりません。
本来ならば、この友人は容疑者の犯行を証明するための検察側の証人として、重要な存在だと思いますが、この件で警察に敵意を持ってしまったと思います。そういう面から考えても、警察のとった逮捕という行動は軽率だったと思えるのですが、どうでしょうか。
Commented
by
rabbitfootmh at 2006-09-06 21:36
呼気の検査は、事故後40分も経ってからだったとか(どれくらいアルコール濃度が減るのか分かりませんが)。また、今林容疑者は「飲酒運転」の常習者だったとも。
でも、亡くなった幼児らの両親が、必死で子供たちを救助している横で、偽装工作をしているなんて、「普通の感覚」の人間にはできることではないと思います。重い処罰を課すことが必要ではないでしょうか。
でも、亡くなった幼児らの両親が、必死で子供たちを救助している横で、偽装工作をしているなんて、「普通の感覚」の人間にはできることではないと思います。重い処罰を課すことが必要ではないでしょうか。
0
Commented
by
stochinai at 2006-09-06 21:54
私も容疑者は極刑が相当だと感じております。しかし、そんな悪いやつと友達なのが悪いというような風潮には、ちょっといただけないものを感じます。たまたま中学が一緒で、たまたま後に殺人を犯すことになるやつと友達になっちゃうってこと、ありますよね。そのこと自体は犯罪ではないということが言いたかったのであります。
Commented
by
スワ
at 2006-09-06 22:46
x
興味深く読みました。
ただ私はこの友人の行動は罰せられるべきだと思います。友人は事件のことを知っていたわけで,そこにきて2Lの水を数本というのは酔いをさますためのものと推測するのが普通ではないでしょうか。警察もその文脈で逮捕に踏み切ったのではと思います。
確かに心情としてはかわいそうと思いますが,それは酔った友人が運転しようとするのを制止出来なかったというのと似たようなもので,飲酒運転に対する罰則強化の流れからも今回の逮捕は仕方ないと言うべきかなと思います。
ただ私はこの友人の行動は罰せられるべきだと思います。友人は事件のことを知っていたわけで,そこにきて2Lの水を数本というのは酔いをさますためのものと推測するのが普通ではないでしょうか。警察もその文脈で逮捕に踏み切ったのではと思います。
確かに心情としてはかわいそうと思いますが,それは酔った友人が運転しようとするのを制止出来なかったというのと似たようなもので,飲酒運転に対する罰則強化の流れからも今回の逮捕は仕方ないと言うべきかなと思います。
Commented
by
おが
at 2006-09-07 11:01
x
交通取締や罰則強化による抑止効果が限定的である以上、飲酒運転するような不逞の輩と関わるとロクなことがない、という社会的風潮を作ることは飲酒運転撲滅の上で実に有効かつ低コストな方法だと思います。友人の逮捕は明らかな見せしめですね。警察は彼を晒し者にすることで無意味な交通安全ポスターよりはるかに強いメッセージを社会に送ることができました。彼に実刑が下ったら少し気の毒ですが、悪い友達を持ったと諦めるよりないでしょう。
Commented
by
stochinai at 2006-09-07 13:08
スワさんと、おがさんのおっしゃることも良くわかります。私にも「仕方がなかった」という気持ちがないわけではありません。ただやはり、この件に関しては、いろんな意見がありそうだとは思っています。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
コップ一杯程度の水とはわけが違うと思います。友人の行動は、警察から見れば、交通事故の救護義務違反でもあるはずです。免許を持っている人は(この友人はおそらく免許持ってるでしょう)、第三者であっても交通事故の被害者を救助する義務があります。それをそっちのけてペットボトルに水をたんまり入れていたのですから、あきれてしまいます。
Commented
by
stochinai at 2006-09-07 18:52
私の意見が少数派らしいということはわかりましたが、実はひょっとするとこの友達は容疑者に脅されて「パシリ」をやらされているのかもしれないと思っています。そうなると、この友達は容疑者にはいじめられ、警察からは逮捕されとふんだりけったりということになりますね。これは、新聞記事からは読みとることのできない、私の想像するシナリオのひとつです。
警察が逮捕したから「悪いやつ」というふうにいかないところが、私のひねくれたところなのですが、、、。
また、「交通事故の救護義務違反」というものを厳密に適用して逮捕された例というのはどのくらいあるのでしょうか。救急車が駆けつける前の野次馬は全員逮捕ですね。
警察が逮捕したから「悪いやつ」というふうにいかないところが、私のひねくれたところなのですが、、、。
また、「交通事故の救護義務違反」というものを厳密に適用して逮捕された例というのはどのくらいあるのでしょうか。救急車が駆けつける前の野次馬は全員逮捕ですね。
Commented
by
ハード・マニア
at 2006-09-07 23:00
x
私も、友人は偽装工作をしているという意識は少なく、困っている友人の頼みを仕方なく聞いてやっただけのような気がします。
確かにそれは間違った行為でしたが、目の前の友人が「たくさん水を持ってきてくれ」と言うのを断り(あるいはコップ1杯しか渡さず)、さらに追い討ちをかけるように警察に行かせることは、実際には人としてなかなかできないようにも思います。
論語にはこうあります。「葉公(しょうこう)、孔子に語りて曰わく、吾が党に直躬(ちょくきゅう)という者あり。その父、羊を攘(ぬす)みて。子これを証言す。孔子の曰わく、吾が党の直(なお)き者は是れに異なり。父は子のために隠し、子は父のために隠す。直きことその内にあり」
確かにそれは間違った行為でしたが、目の前の友人が「たくさん水を持ってきてくれ」と言うのを断り(あるいはコップ1杯しか渡さず)、さらに追い討ちをかけるように警察に行かせることは、実際には人としてなかなかできないようにも思います。
論語にはこうあります。「葉公(しょうこう)、孔子に語りて曰わく、吾が党に直躬(ちょくきゅう)という者あり。その父、羊を攘(ぬす)みて。子これを証言す。孔子の曰わく、吾が党の直(なお)き者は是れに異なり。父は子のために隠し、子は父のために隠す。直きことその内にあり」
Commented
at 2006-09-08 07:37
x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
> また、「交通事故の救護義務違反」というものを厳密に適用して逮捕された例というのはどのくらいあるのでしょうか。救急車が駆けつける前の野次馬は全員逮捕ですね。
ちょっとこれは極端な例じゃないでしょうか。野次馬がいるということは、
既にけが人は何人かに救護されているでしょうし、救急車も呼ばれています。
パシリの例も、それが犯罪を肯定することにはなりませんし。
市役所の職員が日常的にイジメをしているというのも、、、
まぁあるかもしれませんが・・・積極的にイメージはできません。
ちょっとこれは極端な例じゃないでしょうか。野次馬がいるということは、
既にけが人は何人かに救護されているでしょうし、救急車も呼ばれています。
パシリの例も、それが犯罪を肯定することにはなりませんし。
市役所の職員が日常的にイジメをしているというのも、、、
まぁあるかもしれませんが・・・積極的にイメージはできません。
by stochinai
| 2006-09-06 20:56
| つぶやき
|
Comments(10)