5号館を出て

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あと1日

 小牧へ来て、初めて雨が降っています。今朝は天候がすぐれず、実験飛行が1時間遅れてしまいましたが、いつもとは違う裏日本の上空まで飛んでいって、予定どおりパラボリックフライトを15回繰り返して帰還しました。幸い、期待していたデータもいくつか取ることができ、一同ちょっと胸をなでおろしているところです。

 そして、明日がいよいよ最後の飛行となる予定です。飛べるかどうかは、天候次第なのですが、天気図を見る限り、なんとか飛べるのではないかと予想しています。

 今回の実験では、いろいろとおもしろい体験をしていますが、航空機を使った実験ということで、なかなかおもしろい航空業界の手続きを経験することができています。ご参考までに、通常の実験手順をご紹介します。

 まず、朝8時までに三菱重工内にあるDASの実験施設に入ります。普通は9時30分から実験を開始するので、9時20分くらいまでにはパイロット2名と生物班の実験者1名、物理班の実験者1名、それにDASの責任者1名の5名が搭乗します。

 搭乗の直前である9時から、関係者がほぼ全員揃って「飛行前ブリーフィング」が行われます。そこで、まず気象予報士が実験空域の気象条件の説明を行い、場合によっては飛行空域の変更が指示されます。続いて副パイロットによって、この飛行がかくかくしかじかの法律に則ったものであることの他、飛行経路や飛行時間、搭乗者の確認を行った後に、離陸時の飛行機の重量およびその重心位置、搭載燃料が何ポンドで何時間飛べるのか、どんな実験を行うのか、などが説明されます。さらに、どんな高度をどのくらいの速度で飛行するのか実験時間や実験回数、秒単位での実験タイミングの確認、搭載物資や搭載動物(今回はオタマジャクシ60匹(笑))など、驚くほど細かいことまで、そこで再確認されます。

 離陸して30分くらいで実験空域に到達して、その後1時間くらいの間に15回くらいのパラボリックフライトを繰り返して戻ってきます。帰路も30分くらいかかりますので、飛んでいる時間はほぼ2時間というところです。

 さらに、着陸後もすぐに、同じメンバーで「着陸後ブリーフィング」が行われ、予定と異なったことはなかったかどうかの確認作業が行われます。

 その後、2-3時間をかけて実験データの解析作業を突貫工事で行った後、また同じメンバーで「デイリーミーティング」が行われ、実験と結果の概要の説明、さらには結果の解釈および次回のフライトへ向けての予定や要望が話し合われた後、翌日へ向けての作業が行われま。というわけで、早くても6時くらい、ちょっと手間取るとすぐに8時9時になってしまいます。特にトラブルがなくても、朝8時から夜6時くらいまでは、まさに息つく暇もなく一日が終わってしまうというのが実感です。

 でもまあ、地上組は飛行機が飛んでいる2時間の間はちょっとダレておりますし、ビデオの解析が主なデータ解析作業も椅子にすわったままのかなり忍耐のいる作業ですので、ずっと身体を動かし続けているわけではありません。

 というわけで、飛行のない土日を除くと、あっという間に終わる日々の繰り返しですので、1週間の実験は長かったような短かったような感じです。

 なんとか明日無事に飛行できて、もはや冬になっているという噂の札幌へ帰るのが楽しみです。
Commented by Salsa at 2006-10-23 23:49 x
結局オタマジャクシたちと一緒に飛ばれたんですか?地上組の予定だったのでは?
Commented by stochinai at 2006-10-23 23:51
 いやいや、私は飛んでませんし、明日も飛ぶ予定はありません。北大組はあくまでも学生が飛ぶということです。
Commented by Wisdom96 at 2006-10-24 00:10 x
飛んでみてほしいです。ここにまた新しい切り口のエントリーがふえるのを楽しみにしているのですが・・・
Commented by stochinai at 2006-10-25 19:15
 結局、私は飛ばずにすんで、ホッと胸をなでおろしながら札幌に帰ってきました。
by stochinai | 2006-10-23 23:35 | 生物学 | Comments(4)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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