5号館を出て

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シャーリーズ・セロン North Country

 久々に映画らしい映画を見ました。ウィークエンドお茶の間DVD映画劇場。今週は North Country です。

 日本公開の時のタイトルは「スタンドアップ」というのだそうで、鉱山労働でセクハラを受けた主人公が単独で訴訟を起こした時に、それに続いて集団訴訟に加わった同士たちが立ち上がる様子を「スタンドアップ」と表現したのだと思いますが、別に内容を暗示するようなタイトルにしたからといって差があるとも思えません。日本人の英語リテラシーも、そこそこのものになっているのですから、この程度のタイトルはあえて日本語化しないておいてもらいたいものです。(外国の人と、映画の話をする時に、原題のタイトルが思い浮かばなくて困ることがよくあるのも困るのです。)

 シャーリーズ・セロンは私のフェイバリットの女優さんのひとりです。すぐに思い出すのは、やはり「サイダー・ハウス・ルール」でしょうか。最近見た彼女の映画で印象に残っているのは、「モンスター」ですね。「イーオン・フラックス」は特に見たいとも思いません。

 さて、この映画はアメリカ映画お得意の裁判もので、結末もある意味で予想通りというものなのですが、アメリカセクハラ裁判史上で最初の集団訴訟へと発展した実話をもとにしたお話なのだそうです。

 裁判ものというのはだいたいが舞台のような作りになってしまうので、俳優の演技力が問われるので、ただ美人だというだけでは演じることができないものですが、この映画でシャーリーズ・セロンが主演女優賞、ALS(筋萎縮性側索硬化症)に犯されながらも彼女を支える同士役のフランシス・マクドーマンドが助演女優賞にノミネートされたという、注目の映画だったようです。私はまったく記憶がないのですが、日本での劇場公開はどうだったのでしょうか。

 さて結論から言って、お勧め☆☆☆☆の映画です。映画館でみるよりも、ご家庭でDVDでじっくりと見た方が良いドラマかもしれません。安心して、役者さん達のしっかりとした良い演技を楽しむことができます。

 内容については、実話と言うこともあり特にコメントすることもないのですが、今の日本で蔓延しているセクハラ・パワハラ・アカハラ・いじめの原点がすべてここにあると感じさせられます。一部の権力者だけではなく、それをささえる「大衆」のすべてがあるものは明らかな、またあるものは沈黙の加害者となってしまっている構造を一人の人間が打ち破ることはとても大変です。

 今の日本だと、これを解決する手段としては「自殺」しかないのではないかという絶望感に襲われてしまうので、昨今の大騒ぎがあるのだと思います。状況としては、アメリカもまったく同じあるいはもっとひどいということが良くわかるのですが、アメリカにはそれを解決するために「裁判」があるのだ、という希望を与えてくれるのがアメリカの裁判映画の良いところです。

 ひるがえって日本では、この映画のような最後の解決方法として裁判があるのだという認識(ばかりではなく、事実)がおそらくないので、そういう映画も作られないのだろうということも感じました。

 裁判が救ってくれないのだとしたら、この国ではだれが被害者を救ってくれるのでしょうか。教育再生よりも先にやるべきこととして、裁判再生がありそうですね。
Commented by ヨシダヒロコ at 2006-11-20 07:25
映画の題名は配給会社だったかがつけるらしいと聞きました。中途半端にカタカナになっていると、原題がそうなのかと勘違いしますよね。
Commented by cogito at 2006-11-20 18:24
よくある訴訟ものかと思ってました。観てみます。
昔の洋画には、意訳の日本題名が使われていましたが、それはそれで味があったように思います。近年のカタカナ題名は、そもそもの意味がよくわからないものも多いような気がします。
あと、シャーリーズセロンつながりですと”ミニミニ大作戦” も
日本の題名で損をしているような気がします。
Commented by stochinai at 2006-11-20 18:56
 「よくある訴訟もの」には違いないとは思いますが、いろいろと考えさせられました。

 最近のカタカナタイトルには、かなり原題と違うものが混じっているという印象はありますね。何を考えているんだ、という気がします。

 「嵐が丘(Wuthering Heights)」とか、「アパートの鍵貸します(The apartment)」とか、「史上最大の作戦(The longest day)」とか、印象に残る名タイトルがたくさんあります。

 ミニミニ大作戦はもちろん見ました。タイトルからいうと、ミニスカートを連想させますが、どちらかというとオーシャンズイレブン的な内容でしたよね。ミニクーパーを使った泥棒というイメージがまったく想像できない最悪のタイトルでした。
Commented by stochinai at 2006-11-20 18:59
【おまけ】
 たしかに昔の映画のタイトルにはなかなか素敵なものが多かったと思います。それは翻訳小説の題でも同じですね。最近の映画で「プライドと偏見」というのがありましたが、あれは学校で習った「高慢と偏見」という小説の映画化なのではないかと思うのですが、なぜ変えたのでしょうね。そう言えば、「谷間のユリ」という名作がありますが、正しい訳語は「スズラン」ということになりますが、「谷間のユリ」の方が雰囲気を良く伝えているかもしれません。
Commented by habichan at 2006-11-20 22:34
日本の裁判映画では・・・
「Shall we dance」の周防監督の裁判映画が近日公開されるはずです。電車でチカンと間違えられたサラリーマンの物語だそうです。
Commented by stochinai at 2006-11-20 23:19
 情報を、ありがとうございました。

 どんな映画になるのでしょうね。アメリカの裁判は時として、大金持ちを生み出すアメリカンドリームへとつながることもあるので、感動的な映画を作りやすいと思うのですが、日本だと冤罪は無罪にできたけど青春は戻ってこない、というような救いのないストーリーになりがちのような気がします。なんせセクハラ裁判で、何十万円しかとれない国と、場合によっては何十億という金が動く国の違いは大きいと思います。日本の裁判で人生を変えるような(ホームレスから大金持ちへみたいな)、大逆転判決ってありましたっけ?
by stochinai | 2006-11-19 23:47 | 趣味 | Comments(6)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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