5号館を出て

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マウスで筋肉痛

 最近、右腕の筋肉が痛いのです。

 マウスを使う時、特に人差し指を使った左クリックの時に痛みが増大するので、マウス性筋肉痛ではないかと自己診断しています。

 マウスが発売されたばかりの昔は、単にマウスを使うだけでもかなり疲れたものですが、最近はマウスそのものが改良されたのと、使う我々も慣れてきたことで、かなり楽に使えるようになってきた反面、ついつい使いすぎてしまうのだと思います。

 マウスが使いにくいデバイスだった時代には、なんとかマウスを使わずにキーボードだけでカーソルを移動させるテクニックが「通」の間でははやっていました。

 でも、思い返してみるとコントロールキーとS,D,X,Eというダイアモンドカーソルを多用していた頃には、コントロールキーを押す左手の小指が酷使されて痛くなった記憶も甦ってきました。

 ビジネス機器に由来する筋肉痛や腱鞘炎になるたびに、いつまでたっても機械にこき使われ続ける我々は、チャップリンのモダンタイムスの時代から何も進歩してこなかったのだと無力感に捕らわれてしまいます。

 逆に、どんなに科学や技術が進歩しても、動物としての人間はそう簡単に適応できませんから、そうしたテクノストレスが生じるのは当然だと思います。

 そうであるならば、科学・技術の人間生活への適応は簡単には進化しない動物としての人間の都合を前提にすべきものであり、人間に無理を強いているうちは、本来はまだまだ実用化できるものではないのでしょう。しかし、使いやすさを二の次にして新しい製品はどんどんと出され続けてきます。需要がある以上、出すなと言っても説得力はまったくありません。

 交通事故にしてもテクノストレスにしても、動物としての人間が物理的・心理的に対応しきれないスピードを前に、降伏している状況が生んでいる状態なのだと思います。

 もちろん、今さら文明以前の暮らしに戻ることを呼びかけることが現実的ではないことは十分に承知しているつもりですが、動物としての人間ととても対応しきれないスピードや複雑さを持った新しい「文明の利器」とのギャップを少しでも緩和するために、動物としての人間のスピードに合わせた文化を開拓することが必要なのではないかと感じています。

 その文化ってなんだ、と問われても今は具体的に答えることができないのですが、これから少し時間をかけて考えてみようと思っています。
by stochinai | 2004-12-17 00:00 | コンピューター・ネット | Comments(0)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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