2006年 11月 26日
文科省の下で働く科学者の怒り
今日「情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士」さんのところで、早稲田大学総合研究大学院大学教授で進化生物学者の長谷川眞理子さんが信濃毎日新聞に寄稿した記事が紹介されていました。
「今日の視角 国民をばかにするな」では、政府主催のタウンミーティングの中で教育問題がテーマになった時に、文科省が組織ぐるみでやらせにかかわっていたことが発覚したことに対して、「私はこの話を聞いて呆(あき)れるとともに、心底、怒りを感じている」と、率直な感想を述べておられます。
早稲田大学といえば、研究費不正使用問題で大学が文科省やJSTなどから厳しく指導を受けただけではなく、教授の辞職や、研究費の配分停止措置などによって、大学にいる科学者全体が世間の非難の目にさらされたことは、それほど古い話ではありません。
その件に関して、「研究費の不正使用、データのねつ造など、科学者の倫理が問われる問題がいくつか発覚し、科学者の信用が大きく傷つけられた。いずれも、科学者としてやってはならない悪事」と認める一方で、研究費を配分している文科省のやり方にも問題があるのではないかという意味のことを書いておられます。
それを心にとめた上で、最後のパラグラフを読むと長谷川さんのおっしゃりたいことがわかると気がします。
この点に関しては、私も長谷川さんのご意見に賛同いたします。
いろいろな問題が起こるたびに、現場が責められるのですが、実はおおもとの文科省に大手術をしない限り、何も解決しないのではないかと思っている人はたくさんいるのではないでしょうか。
このことは、第3者機関を創設して、予算配分の権限を文科省から切り離してみると、はっきりすると思います。そういうことを政治改革と呼ぶのではないでしょうか。
そういう目で見ると、今、騒いでいる教育基本法を変えて文科省の権限を強化するということは、状況を悪くするということになるでしょうね。(まあ、政府自民党・公明党にとっては、ここで言っている「状況が悪くなる」ことが、「状況が良くなること」に思えるのでしょうから、これは彼らにはまったく響かない意見なのですが、、、、。)
「今日の視角 国民をばかにするな」では、政府主催のタウンミーティングの中で教育問題がテーマになった時に、文科省が組織ぐるみでやらせにかかわっていたことが発覚したことに対して、「私はこの話を聞いて呆(あき)れるとともに、心底、怒りを感じている」と、率直な感想を述べておられます。
早稲田大学といえば、研究費不正使用問題で大学が文科省やJSTなどから厳しく指導を受けただけではなく、教授の辞職や、研究費の配分停止措置などによって、大学にいる科学者全体が世間の非難の目にさらされたことは、それほど古い話ではありません。
その件に関して、「研究費の不正使用、データのねつ造など、科学者の倫理が問われる問題がいくつか発覚し、科学者の信用が大きく傷つけられた。いずれも、科学者としてやってはならない悪事」と認める一方で、研究費を配分している文科省のやり方にも問題があるのではないかという意味のことを書いておられます。
たとえば、現在の研究費の使い方の規則が、研究の実情にあっていない、研究費獲得のための過当競争が、安易な論文多作を促す、などの一般的状況が、指摘されている。そして、科学者の倫理に関する指針が、政府からも、学者の団体である日本学術会議からも出された。それは、科学者の不正の問題の根が、単に特定の個人の悪行のみならず、科学という営み全体のあり方にもあると考えられたからだ。この文章の中に、はっきり書いてあるわけではありりませんが、「科学という営み全体のあり方」と書いてあるときに、科学研究費(特に大学)の大きな部分の配分を一手に握っている文科省の研究費管理のやり方にも問題があるのだと言っていることを読みとる必要があります。
それを心にとめた上で、最後のパラグラフを読むと長谷川さんのおっしゃりたいことがわかると気がします。
それと同様に、今回の「やらせ」問題も、文科省の特定の官僚が起こした不祥事というだけでなく、文科省という組織全体に、このような稚拙なやらせを起こさせる何かがあるのではないだろうか。日本の教育、科学、技術、文化すべての政策にかかわる人々がどんな「文化」を持っているのかと考えると、寒々とした思いを禁じ得ない。つまり、こうした「やらせ」を平然と行うような「文化」を持った組織が、我々の研究だけではなく、文化、教育、技術やスポーツなどのすべてに関する権限と予算を握っていることが、研究費不正使用、文化振興費不正取得、いじめ、単位偽装、原発事故隠し、スポーツ振興予算の不正使用、サッカーくじの大赤字、などなどを生む土壌を作っているのではないか、という疑念だと思います。
この点に関しては、私も長谷川さんのご意見に賛同いたします。
いろいろな問題が起こるたびに、現場が責められるのですが、実はおおもとの文科省に大手術をしない限り、何も解決しないのではないかと思っている人はたくさんいるのではないでしょうか。
このことは、第3者機関を創設して、予算配分の権限を文科省から切り離してみると、はっきりすると思います。そういうことを政治改革と呼ぶのではないでしょうか。
そういう目で見ると、今、騒いでいる教育基本法を変えて文科省の権限を強化するということは、状況を悪くするということになるでしょうね。(まあ、政府自民党・公明党にとっては、ここで言っている「状況が悪くなる」ことが、「状況が良くなること」に思えるのでしょうから、これは彼らにはまったく響かない意見なのですが、、、、。)
「同感」のひとことに尽きます。
0

ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
どこの組織でも現場のせいにされるのは常道のような気がします。教育であれば文科省は教育現場へ、教委は学校に、学校の管理職は教員に、学年主任は担任に。すべて下位へ丸投げです。ではその上に立つ人間が下部の人間が動きやすい環境、制度を作っているかというと甚だ疑問であります。

まさに,そのとおりだと思います.文科省だけでなく,すべての官僚組織にいえることだと思います.政府のやり方が,内容の評価するというのではなく,政策評価なので,いわれてとおりにやっていないと,悪い評価と仕返しをするということなのが一番問題なのでしょう.大学評価もある意味で政策評価なので,いじめ問題と同じように,問題があるものは隠蔽した方が得ということで,組織全体が動いている気がします.政策を立案する側に能力がない以上,政策を評価するシステムをつくらないとますます泥沼におちいっていくと思われます.

読ませていただきましたが、全くそのとおりと思いました。
一線にいる現場にしわ寄せがという構図は常にある事ですが、今度はさらに踏みこんでしまいそうですね。いじめの問題では出席停止措置だそうですから。下位への丸投げ構造がついに、管理職→担任→子ども達になるのですね。その結果を考えられないのでしょうか?「上」は。
一線にいる現場にしわ寄せがという構図は常にある事ですが、今度はさらに踏みこんでしまいそうですね。いじめの問題では出席停止措置だそうですから。下位への丸投げ構造がついに、管理職→担任→子ども達になるのですね。その結果を考えられないのでしょうか?「上」は。

皆さん、是非、国会議員に意見をお願いします。もう直ぐ教育基本法改定案が通ってしまいます。
参議院教育基本法特別委員会 委員名簿
http://www.kyokiren.net/_misc/san-toku1
教育基本法改定案反対国会前アクションの様子など(ビデオ)
http://vpress.la.coocan.jp/vptv.html
運動スケジュール
http://www.kyokiren.net/_action/rinji
参議院教育基本法特別委員会 委員名簿
http://www.kyokiren.net/_misc/san-toku1
教育基本法改定案反対国会前アクションの様子など(ビデオ)
http://vpress.la.coocan.jp/vptv.html
運動スケジュール
http://www.kyokiren.net/_action/rinji
by stochinai
| 2006-11-26 23:27
| 科学一般
|
Comments(6)