5号館を出て

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忙しくなったら締切を守るようになった

 ちょっと変なタイトルかもしれませんが、気がついてみたら自分がそういうふうになっているのに気がつきました。

 ちょっとだけ忙しくなった頃には、忙しいのだから締切を守れなくても仕方がないということで、締切を延ばしてもらって、できるだけきちんとした仕事をするようにしていた記憶があります。

 それがさらに忙しくなってくると、前の仕事を延ばすと後へ行けば行くほどさらに忙しさが増すということに気がつきました。

 その時に思いついたことが、「そうだ。締切を守ればいいのだ」ということです。

 締切を決める時には、たいていの場合、いくつかの仕事の締切がバッティングしないように決めるものですから、特定の日には集中しないようになっていることが多いと思います。締切が設定されている一日を、ほとんどすべてその仕事に費やせば、たいていのことはなんとか形にすることができるような気がします。

 そこで、締切を守るのコツは、締切までにできるところまでしかやらない、ということです。

 締切を延ばして、実働時間を増加させれば、確かにより良い結果は得られるかもしれませんが、そうかといって時間をいくら延ばしても「完璧」なものにすることは不可能です。

 逆に、締切までの時間でできるレベルのことを仕事の終了ということにしてしまえば、完璧からは遠かったとしても、締切に間に合った仕事を「完了」させることができます。締切に間に合えば、多少の瑕疵があったとしてもたいていの人は許してくれるものです。場合によっては、再チャレンジのチャンスをくれることもあるでしょう。

 どうでしょうか。

 同じように、最近は「値段以上の仕事をしてはいけない」ということも良く考えます。

 自分を売り込む「お試し期間」はさておき、自分を売って商売する時には値段に見合ったところまでの仕事で「終了」とするようにしなければいけないと思っています。もちろん、買い手に仕事がその値段に見合っていると納得させなければ成立しない話ですが、これは自分で自分の価値を守ることでもあります。

 締切と値段、実はこの二つは同じことを意味しているのかもしれません。
Commented by black at 2006-12-20 06:43 x
値段以上の仕事はしてはいけない 確かにこの考えが横行していますね、今の日本は、、。
Commented by stochinai at 2006-12-20 06:58
 そうなってきたのは働く側の自己防衛だとも言えるのではないでしょうか。値段以上の仕事を強制されて買いたたかれている人の方が、はるかに多いのが現実だと思います。
Commented by stochinai at 2006-12-20 07:00
 雇う側が空前の好景気、雇われる側がワーキングプア。どこに間違い(不正)があるかを理解するのは、そんなに難しいことではない気がします。
Commented by もも at 2006-12-20 09:52 x
ビジネスには「資金も時間も潤沢」ということはなく(映画監督など、芸施術系の独立プロなら別でしょうが)一定の制限のなかで仕事は進みます。
時間さえあれば、もっと資金があれば、というのは考えがちなことでしょうが、与えられた条件のなかでは、「これがベストです」というのが、仕事を請けた人間の流儀だと思います。
ベストを尽くして「出来高払い」になるのならまだしも、「こんな条件でこれだけ出来るのだな」と、判断されると、ペイは正当な価格になりません。
ある大企業の工場で、組み立てのラインの流れが日に日に速くなっていって、作業員はついていくのに必死。製品の出来高は増えていくのに、賃金は変わりなし(蒲田彗のルポより)、というのは有名。
あたえられた時間と支給額に、できた作品が比例するのは、ビジネスとして当然のことです。損益分岐点を越えてまで仕事したら、破産しちゃう。
Commented by ktatchy at 2006-12-20 11:14
僕は〆切には余裕を持って対処することを心がけています。一夜漬けをする馬力に欠けるし、根が小心者だからだと思います。
作家の森博嗣さんが「〆切を守れなさそうな仕事は受けない」と昔仰っていましたが、理由は「一夜漬けのような仕事では不安だから」、だった気がします。今の日本では、仕事の質よりも量を優先する傾向にあるのでしょうね。大学の先生がこなす雑用の量を見ているとそんな気がします。うれしそうにやっている人もいる、というのが不思議です。
Commented by stochinai at 2006-12-20 17:07
 ももさん。フリーランスの方は次の仕事を取りたいがために、ついつい無理をしてしまうことはあると思います。同じように、普通のサラリーマンでも昇進のことを考えたりすると、ついついサービス残業をしてしまったりすることもわかります。最近だと、リストラされないために泣く泣くサービスということもあるとテレビでやっていました。いつからこんなに「労働者」が弱い立場に置かれるようになってしまったのでしょう。
Commented by stochinai at 2006-12-20 17:17
>〆切には余裕を持って対処することを心がけています。
 ktatchyさん、尊敬します。私は、締切が見えてこないと、やる気にならないダメ人間です(^^;)。
 私も、きちんとできそうもない仕事は引き受けるべきではないと思うのですが、我々に襲いかかってくる「雑用」は引き受けるとかいうものではなく、命令です。しかし、そういうものは締切以外は、どうでもよいものなのかもしれません。出さないと督促が来ますけれども、これはダメでしょうというような書類でも、出しておけば文句は言われないことが多いです。結局、出した書類は読まれもせずに印刷され、保存されているのではないでしょうか。
 大学では、そんな書類が15年くらい前から激増しています。納税者が叱ってくれないと、当局はやめません。研究費不正使用問題で、また書類が増えそうです。
Commented by もも at 2006-12-20 17:21 x
私らフリーのC層は「そんな金では出来ない」と、高楊枝かくごで断れます。でも、B層は「首切るぞ」といわれれば泣くしかないでしょう。
で、A層は「年収400万円以上の超勤手当ての無効」や、なんとか言う学者の「正規社員の待遇を非正規並みに」という、まことにアホな戦術を繰り出しています。
私らフリーは個人の戦いですが、企業に雇用されている人は連帯したらどうですか。教師の友人が言うには、組合加入者はドンドン減る。その理由は「自分だけは出世したいから」とか。そんなんじゃ、A層にいいようにされるよ。彼らはますます巧妙になってるし。
て、釈迦に説法でごめんなさい。
Commented by ktatchy at 2006-12-20 18:35
森さんが仰っていたのは、自分の執筆活動においての話です。やはり、日々の雑用(名大の助教授だった)はその限りではなかったと想像します。
それにしても、研究費不正使用問題ですが、私が所属する研究室でも不便さが日に日に高まっています。注文の書き込みが伝票と少し違うだけでも文句を言われます。学生でそうなんですから、スタッフのストレスは想像を絶しているかと思われます。
文科省は研究費使用に関する監視を相当厳しくするらしいですね。連座制まで適用するのだとか。悪いことだとは言いませんが、自分たちは「再犯防止を徹底していく」とアタマを下げるだけで良くて、研究者がなんでそこまで虐げられるのか。学界出身の政治家が殆どいないからでしょうね。
Commented by stochinai at 2006-12-20 20:10
>仰っていたのは、自分の執筆活動においての話
 当然そうですよね。

 研究費不正問題で、我々にもストレスがかかっていますけれども、事務系の方のストレスは壮絶なものがあるように思われます。先日回ってきた文科省からの通達を見ると、大学でのお金と活動の10%くらいを不正防止に割けと言っているようにも読めました。

 いじめの報告が消えた小中学校のように、大学からも不正の報告が消えるような予感がします。
Commented by stochinai at 2006-12-20 20:18
 ももさん

>私らフリーのC層は「そんな金では出来ない」と、高楊枝かくごで断れます
 これは良くわかります。たとえ貧乏でも、フリーランサーの方がもっとも仕事に対する潔癖感を維持できる職種なのだと思います。(って言っても、なんのフォローにもなりませんが、)

 組合の組織率の低下と、非常勤雇用の増加。競争原理で個人をバラバラにする政策は、(今のところ)見事に成功を収めているように見えます。しかし、そのことが社会全体を崩壊させ始めておりますので、実は今いい思いをしている金持ち達にも被害が及び始める日が遠からず来ることを、彼らは理解していないのでしょうね。日本が崩壊したら、彼らも日本で生きていくことはできないのです。
Commented by さなえ at 2006-12-21 16:18 x
常に締め切りに追われている身ですが、余裕がなければ受けません。その場で感謝されても質が落ちれば、結局、自分の首を自分で絞めることになりますから。収入は減りますが、仕方ないですね。むやみに受けて助けてといって来る仲間が時々いますが、トラブルに巻き込まれることが多いようです。
Commented by stochinai at 2006-12-21 18:52
 満足できる仕事ができそうもなかったら、やはり引き受けるべきではありませんね。それは、どなたの意見も同じようです。

 「ベストセラー作家」と言われる人が、次々とくだらない続編を出しているのを見ていると、お金をかせぐということがとても卑しいことに思えてくるのはとても残念な気がします。

 量ではなく質にお金をはらってくれるような「目利き」がたくさんいないと、国は滅びますね。
by stochinai | 2006-12-19 23:37 | つぶやき | Comments(13)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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