2005年 02月 01日
学歴過少詐称申告で懲戒免職
びっくりするような事件は毎日のように起こるものです。
私が良くニュースを探させていただく、はなゆーさんという方の低気温のエクスタシーに、「青森市営バス運転士3人が『学歴過少申告』で懲戒免職」という記事がありました。
学歴詐称疑惑というと、行ってもいない外国の大学を卒業したというケースが多く、学歴偏重社会の日本では、お約束通りにワイドショーを始めとして、大々的なバッシングを受けることになっています。国会議員を辞めさせられてしまった人もいます。この場合は、人もうらやむ高学歴を詐称しているので、高学歴の存在を快く思っていない人に叩かれるのは無理もないかと思っていました。
しかし、今回は逆なのです。短大や4年生大学を出た人が、高卒と学歴を偽っていたということなのです。大学や短大を出ているということは、当然高校は卒業しているわけで、高卒に嘘はないのでしょうが、青森のバスは高卒を越える学歴を持っている人は採用しないというルールがあるようです。
実はこのニュースはそんなに新しいものではないらしく、共同通信が21日付けで学歴を低く偽り2人免職 青森市営バスで3人目という記事を配信しています。それによると昨年の10月に1人が処分され、21日にさらに2名が処分されたということのようです。はなゆーさんが引用しているのは、31日の河北新報で懲戒免職大卒差別か 青森・バス運転士学歴“過少申告”には、詳しい解説が載っています。
「市は1995年度、バス運転士など技能労務職員採用に当たり、それまで年齢制限だけだった資格に加えて、学歴制限を設けた。中・高卒者の就職状況が全国最悪レベルの青森県にあって、制限は『中・高卒者の採用枠を増やす』(市交通部)狙いがあった」ので、「『学歴を隠して合格したため、本来合格すべき中高卒者が落ちた』(中川覚人事課長)との根拠で『懲戒免職は当然』」と言っています。それは、それで道理ある説明になっています。
しかし、12月2日に私が書いた記事(ブログではエントリーというのでしょうか。すみません、初心者で)、大学院進学はまちがいなく自殺行為であるにあるように、学歴社会であるはずの日本において、学歴が上がれば上がるほど就職しにくくなるという状況も間違いなく存在するのです。そういうわけで、大学院を出た学生が学歴を過少に報告して大学卒や、(博士課程に進学しているのに)修士卒と申告して就職活動するケースがかなりあると聞いています。
あるいは理系の大学を出ているのに文系卒として扱ってもらい就職する「文系就職」という言葉もあるようです。つまり、高学歴は低学歴を兼ねないという現実もあり、そんな中で(高卒としては)比較的給料も高く、安定した職業であるバスの運転手になりたいと思う短大卒や大卒の人間が出るのは無理もないのだと思います。そういう場合は、低学歴者として処遇されるという不利益を甘んじて受けるだけで、まさか学歴詐称で免職になることなどないと、誰もが思っていたと思います。
そういう逆差別をつけておかないで、試験などだけで採用を決めるシステムだと、高学歴の人間はペーパーテストが得意な傾向がありますので、世の中が不況になって高学歴者の職場が狭まってくると、どんどん玉突き状態になって、高卒や中卒の職場が奪われてしまうということは避けられないのではないかと思います。現実にそれが起こっていることを憂えた青森県が、バスの運転手は高卒までとした優しい親心も良くわかります。
しかし、大学を出てしまった、大学院を出てしまったという取り返しのつかない歴史を、「過ち」のように扱って就職差別するというのも、優しくないと思えてしまいます。
どうしたらよいのかは私にも良くわからないのですが、就職試験のやり方に問題があったのではないだろうかとも思っています。年齢はごまかせないでしょうから、年齢とそれに見合ったバスの運転手としての能力をきちんと比べることができるならば、ことさら学歴だけで差別することなく、中卒高卒を優遇採用する方向も探れるのではないでしょうか。
詐称が起こるのは、学歴に対して社会がきちんと対応できていないことの証拠のような気もします。
私が良くニュースを探させていただく、はなゆーさんという方の低気温のエクスタシーに、「青森市営バス運転士3人が『学歴過少申告』で懲戒免職」という記事がありました。
学歴詐称疑惑というと、行ってもいない外国の大学を卒業したというケースが多く、学歴偏重社会の日本では、お約束通りにワイドショーを始めとして、大々的なバッシングを受けることになっています。国会議員を辞めさせられてしまった人もいます。この場合は、人もうらやむ高学歴を詐称しているので、高学歴の存在を快く思っていない人に叩かれるのは無理もないかと思っていました。
しかし、今回は逆なのです。短大や4年生大学を出た人が、高卒と学歴を偽っていたということなのです。大学や短大を出ているということは、当然高校は卒業しているわけで、高卒に嘘はないのでしょうが、青森のバスは高卒を越える学歴を持っている人は採用しないというルールがあるようです。
実はこのニュースはそんなに新しいものではないらしく、共同通信が21日付けで学歴を低く偽り2人免職 青森市営バスで3人目という記事を配信しています。それによると昨年の10月に1人が処分され、21日にさらに2名が処分されたということのようです。はなゆーさんが引用しているのは、31日の河北新報で懲戒免職大卒差別か 青森・バス運転士学歴“過少申告”には、詳しい解説が載っています。
「市は1995年度、バス運転士など技能労務職員採用に当たり、それまで年齢制限だけだった資格に加えて、学歴制限を設けた。中・高卒者の就職状況が全国最悪レベルの青森県にあって、制限は『中・高卒者の採用枠を増やす』(市交通部)狙いがあった」ので、「『学歴を隠して合格したため、本来合格すべき中高卒者が落ちた』(中川覚人事課長)との根拠で『懲戒免職は当然』」と言っています。それは、それで道理ある説明になっています。
しかし、12月2日に私が書いた記事(ブログではエントリーというのでしょうか。すみません、初心者で)、大学院進学はまちがいなく自殺行為であるにあるように、学歴社会であるはずの日本において、学歴が上がれば上がるほど就職しにくくなるという状況も間違いなく存在するのです。そういうわけで、大学院を出た学生が学歴を過少に報告して大学卒や、(博士課程に進学しているのに)修士卒と申告して就職活動するケースがかなりあると聞いています。
あるいは理系の大学を出ているのに文系卒として扱ってもらい就職する「文系就職」という言葉もあるようです。つまり、高学歴は低学歴を兼ねないという現実もあり、そんな中で(高卒としては)比較的給料も高く、安定した職業であるバスの運転手になりたいと思う短大卒や大卒の人間が出るのは無理もないのだと思います。そういう場合は、低学歴者として処遇されるという不利益を甘んじて受けるだけで、まさか学歴詐称で免職になることなどないと、誰もが思っていたと思います。
そういう逆差別をつけておかないで、試験などだけで採用を決めるシステムだと、高学歴の人間はペーパーテストが得意な傾向がありますので、世の中が不況になって高学歴者の職場が狭まってくると、どんどん玉突き状態になって、高卒や中卒の職場が奪われてしまうということは避けられないのではないかと思います。現実にそれが起こっていることを憂えた青森県が、バスの運転手は高卒までとした優しい親心も良くわかります。
しかし、大学を出てしまった、大学院を出てしまったという取り返しのつかない歴史を、「過ち」のように扱って就職差別するというのも、優しくないと思えてしまいます。
どうしたらよいのかは私にも良くわからないのですが、就職試験のやり方に問題があったのではないだろうかとも思っています。年齢はごまかせないでしょうから、年齢とそれに見合ったバスの運転手としての能力をきちんと比べることができるならば、ことさら学歴だけで差別することなく、中卒高卒を優遇採用する方向も探れるのではないでしょうか。
詐称が起こるのは、学歴に対して社会がきちんと対応できていないことの証拠のような気もします。
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おもしろい話
at 2005-10-25 10:35
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名門旧制中学を卒業し、就職。その後、向学心に燃えて新制夜間高校に進学し、めでたく高卒の資格をGET。ところが最終学歴覧には名門中学ではなく、落ちこぼれが集まる夜間高校の名が記入される。これは失敗だったとぼやくことしかり・・。似てますよね、学歴高くなって損するところが。
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原因の深さ
at 2005-10-25 10:40
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本当に高卒、中卒が欲しかったら、18歳以下とすればすむように見えるけど、大型二種免許は普通免許取得後3年経過が条件だったような・・。だから、大学卒業までに二種免許取得して応募って言うことがあり得るんだよなあ。それにしても懲戒免職は酷。裁判やれば市が負けるよ、きっと。
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お客さんの目線
at 2005-10-25 10:43
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乗客は愛想の良い受け答えのしっかりした乗務員を歓迎する。それが満たされるなら大卒であってもかまわない。今回の免職はそういう利用客の心理を理解してるのかな。あっ、してないから万年赤字なのねん。
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stochinai at 2005-10-25 12:15
昔のエントリーを発掘していただき、ありがとうございます。今や、学歴ロンダリングなどと言って、大学受験に失敗して地方大学で雌伏していた学生が東大の大学院を最終学歴にするなどという話も良く聞きます。しかし、意外と簡単にできるようになってしまって、東大大学院卒でも就職が難しい時代になってしまいました。
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stochinai at 2005-10-25 12:16
本人が高卒の給料で良いって言っても、規則は規則だからということで首になっちゃったんだと思いますが、「情」というものはないんでしょうかね。
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stochinai at 2005-10-25 12:19
札幌では市営バスが廃止されて、ほとんどすべての路線を中央バスという民間のバス会社が引き継いで運行されています。特に市営バスの運転手さんに問題が多かったとも思わないのですが、中央バスの運転手さんは丁寧で、愛想が良く、受け答えがしっかりしていると評判です。でも、そういうことって採用後の教育でなんとでもなりそうなことのような気もします。
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学生の品質
at 2005-10-25 16:32
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高学歴ってのは、自分の意志で進んだわけです。
そこに目的意識があったにしろ、無かったにしろ、選択肢はあった。
進んだ結果、就職先が無いとすれば、それは自己に還元されるべき問題です。
学歴詐称は、情けの入る余地の無い物の様に思います。
社会の対応の前に、学生の品質を保証して欲しい、社会人の呟き
そこに目的意識があったにしろ、無かったにしろ、選択肢はあった。
進んだ結果、就職先が無いとすれば、それは自己に還元されるべき問題です。
学歴詐称は、情けの入る余地の無い物の様に思います。
社会の対応の前に、学生の品質を保証して欲しい、社会人の呟き
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stochinai at 2005-10-25 19:24
>高学歴ってのは、自分の意志で進んだわけです。
と、そこまでの意識(意志がありましたと言える)がある学生というものは、残念ながら少数派なのが現実です。
>それは自己に還元されるべき問題です。
自己責任を問えるほどの大人ではない人間(見た目は十分、成熟していても)に自己責任を取らせると、事件が起こるような気がします。その一つが大量のニートの誕生ではないでしょうか。
>学生の品質を保証して欲しい
まったくその通りだと思います。しかし、そのためには大学を半分(以下?)に減らす必要があるのですが、子どもを持つ親(有権者)がそれを許さないというのもまた現実です。
どうしましょう。
と、そこまでの意識(意志がありましたと言える)がある学生というものは、残念ながら少数派なのが現実です。
>それは自己に還元されるべき問題です。
自己責任を問えるほどの大人ではない人間(見た目は十分、成熟していても)に自己責任を取らせると、事件が起こるような気がします。その一つが大量のニートの誕生ではないでしょうか。
>学生の品質を保証して欲しい
まったくその通りだと思います。しかし、そのためには大学を半分(以下?)に減らす必要があるのですが、子どもを持つ親(有権者)がそれを許さないというのもまた現実です。
どうしましょう。
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inoue0 at 2005-10-25 21:00
まず、大学院といってもいろいろある。一概には論じられない。
学問の継承と発展のために一定数の学者が常に必要で、その後継者養成のために大学院がある。
しかしながら、古典的な意味での大学院教育は、まさに学者を再生産するだけしかできないから、大学院定員を増やすだけでは、すぐにオーバードクターが続出する。
一定数の大学院は学者養成機関として維持しつつ、それとは別に、専門職大学院を作るべきでしょう。大学院を、社会人の再教育機関とするのです。
学問の継承と発展のために一定数の学者が常に必要で、その後継者養成のために大学院がある。
しかしながら、古典的な意味での大学院教育は、まさに学者を再生産するだけしかできないから、大学院定員を増やすだけでは、すぐにオーバードクターが続出する。
一定数の大学院は学者養成機関として維持しつつ、それとは別に、専門職大学院を作るべきでしょう。大学院を、社会人の再教育機関とするのです。
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stochinai at 2005-10-25 22:13
まあ、流れとしてはそうならざるを得ないと思いますが、そうなる前にたくさんの犠牲者がでそうで歯がゆいですね。
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inoue0 at 2007-04-14 07:00
大阪市で”学歴詐称”者が400人もいることが発覚しました。ただし、こちらは神戸や尼崎のように免職ではなく、1ヶ月の停職で許したそうです。
大阪市は職員の人事において、かなり問題のある自治体ですが、こればっかりは、大阪市の処置は正しいと思いました。採用時のウソを理由に、すでに職場の戦力になっている人を免職にするのは、役所にとっても決して得にならないでしょう。
免職が得になるのなら、それは余分な人間を抱えているということであり、学歴問題がなくても、人員整理すべきです。
大阪市は職員の人事において、かなり問題のある自治体ですが、こればっかりは、大阪市の処置は正しいと思いました。採用時のウソを理由に、すでに職場の戦力になっている人を免職にするのは、役所にとっても決して得にならないでしょう。
免職が得になるのなら、それは余分な人間を抱えているということであり、学歴問題がなくても、人員整理すべきです。
by stochinai
| 2005-02-01 21:18
| 教育
|
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