2007年 02月 20日
不要な卵を使うとクローン胚が倫理的になるのだろうか
今朝、新聞やテレビで理研の若山さんのグループが、体外受精に失敗した「ダメな」卵に核移植をすることで432個のクローン胚を作り、それを破壊して培養することで27株のクローンES細胞を作ったというニュースが話題になっていました。もちろんヒトではなく、マウスを使った実験です。
朝日コムの記事は、非受精卵でクローンES細胞 神戸・理化学研究所が成功というものです。
マスコミでの取り上げられ方は、いずれもがヒトへの応用を視野に入れているのが気になりました。朝日の記事ではこうです。
日経新聞では、
神戸新聞は、
さらに神戸新聞は、
クローン胚の倫理的問題というのはたくさんあって、まず第一にたとえ細胞であったとしても、そもそもヒトのクローンなどというものを作っても良いのかという原理的なものがあります。それに関しては、どんな方法を使おうと人工的にクローンを作るという点で問題はクリアされません。まあ、これをダメだとしてしまうと議論が先に進みませんので、これはひとまず置いておきます。
なぜ、クローンを作りたいのかというと、患者さんのクローンがあれば拒絶反応のない臓器(あるいは細胞や組織)が作れるからです。クローン胚からES細胞を作れば、移植可能な臓器をいくらでも作ることができるようになる可能性があります。
ES細胞という万能細胞は胚の中から取り出した細胞です。ES細胞を得るためには、子宮に移植して育てるとヒトの赤ちゃんになる可能性を持った胚を破壊しなければなりません。ここに次の大きな問題があります。
赤ちゃんになる可能性のあるクローン胚は治療目的のためなら、作っても壊しても良いということになっても、まだ大きな問題が残っています。
ヒトのクローン胚さらにそこからクローンES細胞を作るには、ヒトの卵(卵子)が必要になります。卵は大人の女性の卵巣にしかありませんので、それをどうやって手に入れるのという問題が残ります。韓国やアメリカには卵を得る市場があるそうですが、それが良いことなのかどうかについて倫理問題として決着はついていないと思います。
というふうに、ヒトのクローンES細胞を作るまでにはたくさんの倫理的問題が山積しているのに、今回の実験の成功がそれを幾分でも解決することになるとは私にはとても思えませんでした。
まず、体外受精に使って受精に失敗した卵を使ったというところが今回の実験の「売り」のひとつです。つまり、体外受精に失敗したということは、卵としてB級品あるいは欠陥があったということが推測されます。不良品を使って治療目的のクローンを作っても安全なのかという意見も出てくると思います。
記事には「新鮮な卵子を使った場合とほぼ同じ約6%でES細胞ができた。ES細胞の分化能力や染色体数などは正常だった」と書いてあり、そうだとするとパーフェクトな卵でクローンを作ったのと同じことになり、それは子宮に戻すと赤ちゃんになってしまうのではないかという心配が出てきます。ところが、「このクローン胚をマウスの卵管内に移植したが、クローンマウスまではできなかった」とも書いてあります。ということは、卵に異常があったことを意味しているのですが、どうもうまく理解できない結果です。
つまり、胎児に育つことはできないけれども、完璧なES細胞を取り出すことのできる「都合の良い胚」ができたということになるのですが、ただ単純に体外受精で受精しなかった卵を使うだけで、そんなにうまい話になるのでしょうか。
生物学者として感想を言わせていただくと、完全なES細胞が取れるような胚ならば、丁寧に移植すれば胎児に育つ可能性は高いと思います。また、決して胎児にならないとするならば、得られたES細胞にもなんらかの欠陥があることが推測されます。
そもそも倫理問題を生物学的手法で解決できるなどという発想が、危険すぎると思います。そんな都合の良い研究結果が出てきたときには、さらに注意が必要な気もします。
この件については、一方で研究を進めながら、もう一方で研究者・社会科学者・政治家・市民・患者などが入った「コンセンサス会議」のようなところで議論を深めていく必要をとても強く感じています。みなさんは、どのようの考えますか?
朝日コムの記事は、非受精卵でクローンES細胞 神戸・理化学研究所が成功というものです。
マスコミでの取り上げられ方は、いずれもがヒトへの応用を視野に入れているのが気になりました。朝日の記事ではこうです。
体外受精で受精せず、ふつうは捨ててしまう卵子(非受精卵)を再利用し、クローン胚(はい)性幹細胞(ES細胞)をつくることに、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市)のチームがマウスで成功した。移植用の臓器などになりうるヒトES細胞をつくるためには女性から卵子の提供を受けなければならないが、入手が難しい。この方法がヒトに応用できれば、再生医療研究のすそ野が広がる。中国新聞では
チームの若山清香研究員は「卵子を捨てるのはもったいないという発想がきっかけ。使えないと思われていた卵子を基礎研究に利用できれば、再生医学応用への可能性が高まる」と話す。
従来の方法を人間に応用する場合、女性から新鮮な卵子を提供してもらう必要がある一方、クローン人間づくりにつながる恐れが指摘されていた。このクローン胚は、雌の体内に移植しても子どもが生まれなかった。
不妊治療の体外受精で受精しなかった卵子は廃棄されており、若山さんは「人間に応用できれば、倫理的課題の解決につながる可能性がある」と話している。
日経新聞では、
クローンES細胞は、拒絶反応の少ない移植用の臓器を作れるとされる。だが、人での応用では女性から多数の卵子を譲り受ける必要があるなど、倫理面で批判もある。従来は新鮮な卵子からクローンES細胞を作っているが、今回のように体外受精に使えなかった卵子なら「倫理面の問題が比較的少ない」と研究グループはみている。
神戸新聞は、
クローン技術の人間への応用は、同じ遺伝子を持つクローン人間づくりにつながることなどから日本では認められていないが、若山さんは「この方法は人間のクローンを防ぎ、倫理面の問題を解決する可能性がある」としている。
成功すれば、患者自身の細胞を使った再生医療につながり、免疫による拒否反応を防げる。文部科学省は条件付きの研究解禁を検討しているが、今回の研究が条件緩和につながる可能性もある。
さらに神戸新聞は、
人の不妊治療現場では捨てられる卵子に当たるため、女性に新たな負担を与えないで済む利点がある。また、こうした卵子からできたクローン胚は、ES細胞の抽出はできても、クローンマウスには育たないと分かった。クローン人間が生まれる心配が少ないことになり、この点も好都合だ。神戸新聞が多いのは、研究がおこなわれたのが神戸にある理研の発生再生研で行われたからでしょう。
クローン胚の倫理的問題というのはたくさんあって、まず第一にたとえ細胞であったとしても、そもそもヒトのクローンなどというものを作っても良いのかという原理的なものがあります。それに関しては、どんな方法を使おうと人工的にクローンを作るという点で問題はクリアされません。まあ、これをダメだとしてしまうと議論が先に進みませんので、これはひとまず置いておきます。
なぜ、クローンを作りたいのかというと、患者さんのクローンがあれば拒絶反応のない臓器(あるいは細胞や組織)が作れるからです。クローン胚からES細胞を作れば、移植可能な臓器をいくらでも作ることができるようになる可能性があります。
ES細胞という万能細胞は胚の中から取り出した細胞です。ES細胞を得るためには、子宮に移植して育てるとヒトの赤ちゃんになる可能性を持った胚を破壊しなければなりません。ここに次の大きな問題があります。
赤ちゃんになる可能性のあるクローン胚は治療目的のためなら、作っても壊しても良いということになっても、まだ大きな問題が残っています。
ヒトのクローン胚さらにそこからクローンES細胞を作るには、ヒトの卵(卵子)が必要になります。卵は大人の女性の卵巣にしかありませんので、それをどうやって手に入れるのという問題が残ります。韓国やアメリカには卵を得る市場があるそうですが、それが良いことなのかどうかについて倫理問題として決着はついていないと思います。
というふうに、ヒトのクローンES細胞を作るまでにはたくさんの倫理的問題が山積しているのに、今回の実験の成功がそれを幾分でも解決することになるとは私にはとても思えませんでした。
まず、体外受精に使って受精に失敗した卵を使ったというところが今回の実験の「売り」のひとつです。つまり、体外受精に失敗したということは、卵としてB級品あるいは欠陥があったということが推測されます。不良品を使って治療目的のクローンを作っても安全なのかという意見も出てくると思います。
記事には「新鮮な卵子を使った場合とほぼ同じ約6%でES細胞ができた。ES細胞の分化能力や染色体数などは正常だった」と書いてあり、そうだとするとパーフェクトな卵でクローンを作ったのと同じことになり、それは子宮に戻すと赤ちゃんになってしまうのではないかという心配が出てきます。ところが、「このクローン胚をマウスの卵管内に移植したが、クローンマウスまではできなかった」とも書いてあります。ということは、卵に異常があったことを意味しているのですが、どうもうまく理解できない結果です。
つまり、胎児に育つことはできないけれども、完璧なES細胞を取り出すことのできる「都合の良い胚」ができたということになるのですが、ただ単純に体外受精で受精しなかった卵を使うだけで、そんなにうまい話になるのでしょうか。
生物学者として感想を言わせていただくと、完全なES細胞が取れるような胚ならば、丁寧に移植すれば胎児に育つ可能性は高いと思います。また、決して胎児にならないとするならば、得られたES細胞にもなんらかの欠陥があることが推測されます。
そもそも倫理問題を生物学的手法で解決できるなどという発想が、危険すぎると思います。そんな都合の良い研究結果が出てきたときには、さらに注意が必要な気もします。
この件については、一方で研究を進めながら、もう一方で研究者・社会科学者・政治家・市民・患者などが入った「コンセンサス会議」のようなところで議論を深めていく必要をとても強く感じています。みなさんは、どのようの考えますか?

ええ、確かに論理がおかしいですね。いくつかの問題がねじれてる。
個人的には、クローン作成は免疫拒絶反応を回避するための技術だと理解しています。卵の提供とは別次元の問題です。
また、胚盤胞ができたのならこれを子宮に戻せば、やっぱり赤ちゃんになるはずです。何も問題は解決していません。
で、ちょっと質問なんですけど、胚盤胞って、壊してES細胞にしたほうがいいのか、それとも壊さないほうがいいのか、と言われればどう考えますか?
胚盤胞を壊さずにそのまま培養し続け、ヒトっぽい形に育つほうが倫理的にまずいんじゃないか、とも最近考えています。
壊しても壊さなくても、どっちにしろまずい。人間が手を出してはいけない技術だったのかもという気が…
個人的には、クローン作成は免疫拒絶反応を回避するための技術だと理解しています。卵の提供とは別次元の問題です。
また、胚盤胞ができたのならこれを子宮に戻せば、やっぱり赤ちゃんになるはずです。何も問題は解決していません。
で、ちょっと質問なんですけど、胚盤胞って、壊してES細胞にしたほうがいいのか、それとも壊さないほうがいいのか、と言われればどう考えますか?
胚盤胞を壊さずにそのまま培養し続け、ヒトっぽい形に育つほうが倫理的にまずいんじゃないか、とも最近考えています。
壊しても壊さなくても、どっちにしろまずい。人間が手を出してはいけない技術だったのかもという気が…
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いつも拝見しております。(勉強させていただいております。)
要らないものだから勝手に使っていい。のでしょうか? この手のものは廃棄する時には目的以外に使われないようにシュレッダーにかけねば(破壊する)いけないのでは? 流用するのなら遡って同意を確認せねばいかないように思いますが・・・倫理的手続きではある部分ではかえって複雑になるのでは。
要らないものだから勝手に使っていい。のでしょうか? この手のものは廃棄する時には目的以外に使われないようにシュレッダーにかけねば(破壊する)いけないのでは? 流用するのなら遡って同意を確認せねばいかないように思いますが・・・倫理的手続きではある部分ではかえって複雑になるのでは。

コンセンサス会議には賛成です。
こういう倫理的社会的な事だからこそ、市民が参加して基準を決めるべきなのだと思います。
科学は、どっか偉いところでだけ行われている事ではなくて、日常に遍在しています。そしてその日常を生み出している中心が研究室であり、そこには我々のお金が行っています。
市民が議論し科学哲学者や社会科学者などがサポートする会議の実験は今まで何度かかありましたが、裁判員制度と並んでそろそろ本気で制度化すべきだと思います。
こういう倫理的社会的な事だからこそ、市民が参加して基準を決めるべきなのだと思います。
科学は、どっか偉いところでだけ行われている事ではなくて、日常に遍在しています。そしてその日常を生み出している中心が研究室であり、そこには我々のお金が行っています。
市民が議論し科学哲学者や社会科学者などがサポートする会議の実験は今まで何度かかありましたが、裁判員制度と並んでそろそろ本気で制度化すべきだと思います。

コンセンサス会議の必要性は否定しません。この件に限らず必要だと思います。
でも、ちょっと水を差すようで悪いんですが、今回の研究はそんな騒ぐほどのことですか? そもそもヒトではうまく行っていない方法です。それに韓国の捏造した教授が、正常な卵を250個以上使ってもヒトでの体細胞核移植はうまくいきませんでした。そういうことからも、研究者は案外冷静で、マスコミが過剰に騒いでいるように受け取ったのですが。
すみません。理研のチームを英雄に仕立てるような記事を書いているマスコミのほうが、目に付いてしまったのです。
でも、ちょっと水を差すようで悪いんですが、今回の研究はそんな騒ぐほどのことですか? そもそもヒトではうまく行っていない方法です。それに韓国の捏造した教授が、正常な卵を250個以上使ってもヒトでの体細胞核移植はうまくいきませんでした。そういうことからも、研究者は案外冷静で、マスコミが過剰に騒いでいるように受け取ったのですが。
すみません。理研のチームを英雄に仕立てるような記事を書いているマスコミのほうが、目に付いてしまったのです。
心配性さんのおっしゃることが、現時点での法解釈としてもっとも正しいと思いますが、日本の産婦人科には使われなかった膨大な数の受精卵・未受精卵が凍結保存されているはずです。それを、使う許可を科学者に出すかどうかという判断が求められているような気がします。というわけで killhiguchi さんと私は同意見ですね。
ogagaさん現時点で、ヒトでうまくいく可能性が低いからといっても、その気になって人と金がつぎ込まれたら、すぐにうまくいくようになりますよ。事件になってからではなく、そういう技術が開発されつつある時にこそ、議論が必要だと思います。マスコミの今回の扱いは、「これで議論をする必要はなくなる」というような論調ですので、ますますその必要性は高いと思います。
ただ、私のようなものがこんな世界の片隅でいくらつぶやいても、政治を動かすような人になかなか届いてくれないという大きな問題があります。「意見があるならまずは国会議員になれ」とか言われても、それは無理なんですよね。
ogagaさん現時点で、ヒトでうまくいく可能性が低いからといっても、その気になって人と金がつぎ込まれたら、すぐにうまくいくようになりますよ。事件になってからではなく、そういう技術が開発されつつある時にこそ、議論が必要だと思います。マスコミの今回の扱いは、「これで議論をする必要はなくなる」というような論調ですので、ますますその必要性は高いと思います。
ただ、私のようなものがこんな世界の片隅でいくらつぶやいても、政治を動かすような人になかなか届いてくれないという大きな問題があります。「意見があるならまずは国会議員になれ」とか言われても、それは無理なんですよね。

考えるべき第一の点は、B級品の卵で大丈夫かという安全性の問題です。もし、ヒトでも安全だと言えるなら、倫理的な側面は臓器移植に比べてはるかに小さいと言わざるを得ません。たったひとつの細胞が、特殊な状況で個体を作る潜在性をもつというだけのことで、あたかも赤ちゃんのような扱いを受けなければならないと思うのは、「いのち」という言葉による思考停止でしょう。
市民・大衆が新技術に否定的な感情をもつのは常です。そのために冷静な議論のできる有識者の会議があるのです。先端的生殖医療でもそうですが、有識者の会議が先導することなく、もし向井亜紀さんのような個人がいつでも先導して民意を束ねてから政府がおそるおそる認める方向を打ち出すようなやり方では、患者の政治的な個人負担が過大になるばかりでなく、認可までに十年単位で遅れることで、その間にこぼれ落ちてしまう悲劇的な患者が大勢出てしまい、何のための有識者会議かということになります。新技術で命が助かったり赤ん坊が授かったりするひとが多く出てくれば、民意は必ず後からついてきます。
ただでさえもES細胞の研究では日本は世界的に異常なほどの厳しさ故に大変遅れをとっているのです。
市民・大衆が新技術に否定的な感情をもつのは常です。そのために冷静な議論のできる有識者の会議があるのです。先端的生殖医療でもそうですが、有識者の会議が先導することなく、もし向井亜紀さんのような個人がいつでも先導して民意を束ねてから政府がおそるおそる認める方向を打ち出すようなやり方では、患者の政治的な個人負担が過大になるばかりでなく、認可までに十年単位で遅れることで、その間にこぼれ落ちてしまう悲劇的な患者が大勢出てしまい、何のための有識者会議かということになります。新技術で命が助かったり赤ん坊が授かったりするひとが多く出てくれば、民意は必ず後からついてきます。
ただでさえもES細胞の研究では日本は世界的に異常なほどの厳しさ故に大変遅れをとっているのです。

>その気になって人と金がつぎ込まれたら、すぐにうまくいくようになりますよ。
なるほど。確かにそう考えるべきでしたね。
>「意見があるならまずは国会議員になれ」とか言われても、それは無理なんですよね。
そんなこと言われたんですか(笑)。
Stochinaiさん、出てみればいいじゃないですか。この際。
定年後に。
選挙カーの運転でも、ビラ配りでも何でも手伝いますよ。
なるほど。確かにそう考えるべきでしたね。
>「意見があるならまずは国会議員になれ」とか言われても、それは無理なんですよね。
そんなこと言われたんですか(笑)。
Stochinaiさん、出てみればいいじゃないですか。この際。
定年後に。
選挙カーの運転でも、ビラ配りでも何でも手伝いますよ。
都知事選の辞退者を見ていると、まともな人は政治にはかかわらない時代がきた感をつよくします。
halさん、教育再生会議を見ていると、今の政府に有識者会議を組織させると、「感性」で勝負をするような素人ばかりを集めてしまいそうで、向井亜紀さんのような人がまっさきに選ばれそうな気がします。
そういう意味では、やはりコンセンサス会議が良いのではないかと思います。先頃、北海道で開かれたGM作物に関するコンセンサス会議では、とても良い市民からの提案が提出されたと感じました。
http://gm-c.jp/
しかし、マスコミの伝え方もおおざっぱすぎましたし、今後この提案を行政がしっかりと生かしてくれないのなら、しょせん絵に描いた餅のガス抜きと言われても仕方がないと思いますが。
そういう意味では、やはりコンセンサス会議が良いのではないかと思います。先頃、北海道で開かれたGM作物に関するコンセンサス会議では、とても良い市民からの提案が提出されたと感じました。
http://gm-c.jp/
しかし、マスコミの伝え方もおおざっぱすぎましたし、今後この提案を行政がしっかりと生かしてくれないのなら、しょせん絵に描いた餅のガス抜きと言われても仕方がないと思いますが。

北海道のGM作物の会議もそうですが、市民によるコンセンサス会議はいったん開始された施策プランのチェック・追認・修正には効果的だと思います。が、同時に新しい技術の先導的な導入に対してはどうしても後手後手に回ってしまう構造ももっていると思います。先端テクノロジーの導入に適切なリーダーシップを発揮するには、技術的な知識力と政治的な決断力、および適切な倫理観を兼ね備えた人材による別の会議の方が適しているような気がします。先導会議でフィルターにかけた上で安全性その他の点で合格したものだけを施策に回して実際に始動させながら、コンセンサス会議でウォッチしていくなんていうのはどうでしょうね?
halさんのお考えで良いと思うのですが、要は行政側の姿勢にかかっていると思います。行政が上手く使うと、いろいろは諮問会議やコンセンサス会議はとても有効に機能すると思うのですが、そうでないと惨憺たることになるのは今の政府の教育諮問政策を見ているといやというほどわかります。
by stochinai
| 2007-02-20 21:36
| 生物学
|
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