5号館を出て

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週末DVD劇場 ~ LEO

 昨日と今日はGEOが半額セールということで、昨日の午前中に行った時には、お一人様の限界貸し出し枚数である10枚くらいのDVDを抱えた人でごった返すGEOの有り様に退却してしまった私ですが、夕方に再チャレンジした時には、ほとんどの棚が空っぽという状態でしたが、こういう時には掘り出し物に巡り会うことが多いものです。

 というわけで、ようやく発見した一枚は、2002年のイギリス映画「レオポルド・ブルームへの手紙」(原題:LEO)でした。レンタルショップには、あまり置いていないかもしれませんが、お勧めの一枚です。

 最近は、中味のわからない映画は出演者で選ぶことが多いのですが、「恋に落ちたシェークスピア」や「スターリングラード」で好演したジョセフ・ファインズ、「リービング・ラスベガス」に出ていた私の好みのタイプであるエリザベス・シューの他に、渋い役者さんがたくさん出ていましたが、中でも我々の年代には特別な意味を持つ、あの「イージー・ライダー」のデニス・ホッパー、名脇役のサム・シェパードなども出ています。

 ある男が刑務所から釈放されるシーンから始まる、ありがちなストーリー展開です。しばらくの間、この男の話とまったく関係のないように見えるミシシッピ川の近くにあると思われる田舎の大学に赴任した小さな女の子のいる教授と妻の話が並行して進行します。

 やがて、その妻を中心に話が急速に展開していくとともに、出所した男が刑務所にいた頃から小説を書いていることが明らかになっていきます。そして、その男と「大学教授の妻」に生まれた男の子とが文通していることが明かされ、時間と空間が複雑に交錯していき、運命の輪廻が回り始めるとようやくこの物語の全容が見えてくるという流れになります。(もうちょっと書いてしまうと、始めて見る時の「驚き」がなくなりますので、続きは是非とも本編で見てください。)

 ここまでくると、やっぱりという思いを抱きながらも、壮大な物語の中に巻き込まれていることに気が付きます。そして、その物語にはちょっとした仕掛けがあって・・・・・。

 あいにく私には「文系の教養」というものが少々欠落しておりますので、この映画の主人公の名前がレオポルド・ブルームだと聞いても、それがかの有名なジェームス・ジョイスの「ユリシーズ」(当然、読んでません)の登場人物からの引用であり、内容に関してもかなりインスパイアされていると言われても、さっぱりわかりません。

 でも、この映画の底に流れる、主人公が自分を発見するプロセスには時代を越えた普遍性が感じられ、まるで文庫本で古典文学作品を読んだような気になりました。

 こういう作品こそDVDで個人的に見るのに適しているような気がします。くだらない映画はDVDで見るとほんとうにがっかりしますけれども、古典の名作は文庫本にしてもその価値が減ることがないように、「内容」で勝負している映画はDVDがお勧めです。

 85点か90点をあげられるいい映画だと思いました。
by stochinai | 2007-02-25 23:53 | 趣味 | Comments(0)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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