2007年 03月 18日
CoSTEP 2.0 :2期生の作品発表会とシンポジウム
すでにいくつかの報告が出ていますが、昨日「CoSTEP 2.0」と題された、修了生の作品発表会と科学技術コミュニケーション教育を考えるシンポジウムがありました。
・ 会場からの報告
今日は2期生の修了式です。
CoSTEP2.0
北大総長祝辞
・ 会を振り返っての報告
CoSTEP作品発表会
北大CoSTEPシンポジウム
CoSTEPシンポジウムと修了式(3/17)
CoSTEP2.0 作品発表会&シンポジウム
【一夜明け】CoSTEP2.0 作品発表会&シンポジウム
CoSTEP生発表
CoSTEP2.0
みんな修了生になりました
懇親会
CoSTEPの終了
修了式
CoSTEP2.0
CoSTEPでの一年間
CoSTEP修了式
北海道大学CoSTEP選科生修了
CoSTEP
CoSTEP完了
CoSTEPの修了式から、10日ほど過ぎました
修了しました
ポスターセッションは25題あり、カリキュラムで用意されていたものよりも、自主制作した作品や実践が数多く紹介されていました。また、1期生が昨年から継続して行っていたものや、応援団の活動も報告されており、履修生の自主活動やCoSTEP周辺での活動が大きいことが良くわかります。ラジオ・ウェブ・カフェに関しては、ポスターでの紹介以外にも会場でのオーラルプレゼンテーションがありました。
昨年は初めてということもあり、直接指導していたわけでもない私ですらもドキドキしながら見ていたものですが、今年は安心して見ていられました。いずれの実習も、一年間一般公開しながらの実践してきたものですから、履修生も落ち着いており、指導してきた教員もゆったりと見守っているように見えました。一言でいうと「骨太」になった感じです。
その後におこなわれたシンポジウムでは、参加していただいたコメンテーターの方々のお話を聞きながら、自分なりに科学技術コミュニケーションの現状と未来などについていろいろと考えさせられることもあり、私にはとても有意義なものでした。コメンテーターの方々は以下の方々です。お忙しいところ、また季節はずれの大雪の中をおいでいただき、大変にありがとうございました。
大隅典子 (東北大学大学院医学系研究科 教授)
久保田 学 ((財)北海道環境財団 企業事業課長)
田中泰義 (毎日新聞東京本社科学環境部 記者)
干場静夫 (内閣府経済社会総合研究所 総括政策研究官)
横山広美 (総合研究大学院大学 上級研究員、サイエンス・ライター)
素晴らしいコメントをくださった皆さんのお顔を掲載させていただきます。写真(左→右)と名簿の順序は同じになっています。

1年半(準備期間も入れると2年以上)の北大科学技術コミュニケーター養成ユニットの足取りを振り返った杉山代表が「2年前には、北大にサイエンス・カフェという言葉を知っている教員が2-3人しかいなかったことを考えると、状況は驚くほど変化したと感じられる」というようなことを言っていたのが印象に残りました。
ここからは、私の感想です。
確かに、今やサイエンス・コミュニケーションが日本中でブームの様相を呈しています。その中で、CoSTEPの果たしてきた役割は決して小さくありません。一方で、科学技術コミュニケーションとはサイエンス・カフェのことだというような浅薄な「理解」もありますし、サイエンス・カフェと名前を変えただけの「市民セミナー」や「公開講義」が蔓延しているという現実もありますが、少なくともサイエンス・カフェというコミュニケーションの手法が定着していくことは間違いないでしょう。
ただ、サイエンス・カフェが「成功」したとしても、科学者と市民がコミュニケートできたことになっていないのは誰の目にも明らかであり、その大きな原因のひとつがまだまだ大多数の科学者がコミュニケーションの重要性と意義を認識しておらず、無視しているか、あるいはたとえサイエンス・カフェなどに協力したとしても義務としてのサービスだという認識にとどまっているからだと思われるからです。
会場でもちょっとだけ発言させてもらったのですが、大多数の科学者・技術者が積極的に動くようにならない限り科学技術コミュニケーションは成功しません。そして、その動くと言う意味は「義務」として動くという段階から、自分たちが科学者・技術として生きていくために、そして科学・技術が社会の中で健全に存在し続けるために、自分たちにとって市民とのコミュニケーションが「優先課題」であることを認識して動くということです。
そのためには、今いる科学者・技術というよりは、これから科学者・技術者になろうとする若者の教育が大切だと思います。そして、それも単に「科学技術倫理教育」のような「無理をしてでも守るべきこと」を身に付けるというよりは、身に付けることで自分自身の科学者あるいは技術者としての活動・存在の役に立つ・利益になるものとしてのコミュニケーション・スキルが教育されるべきだと思います。
それともう一つは、たとえ科学者がそういうコミュニケーション・センスを身に付けたとしても、彼らの日常は研究活動で忙しいわけですから、彼らと市民を結ぶコミュニケーターのが職業として存在する必要があるということです。大学や研究所の中で今は「広報」というような位置づけになっている部門が、コミュニケーション部門として発展し、常駐するコミュニケーターが科学・技術コミュニケーションを担当することで科学者と市民の役に立つという良い関係が期待できると思います。
今はその両方の教育がごっちゃになっているのがCoSTEPだと思います。今は、科学者というよりは、非科学者である科学コミュニケーターを育てることに重点が置かれており、それはある程度の成功を収めていると思いますので、私としてはCoSTEP3.0から4.0あたりで、科学者およいびその卵に対するコミュニケーション能力の養成にも重点をシフトしてほしいと願っています。もちろん、そのための協力は惜しまないつもりです。
CoSTEP、まだまだやることはたくさんありそうです。
【付録】昨日のベストショット

・ 会場からの報告
今日は2期生の修了式です。
CoSTEP2.0
北大総長祝辞
・ 会を振り返っての報告
CoSTEP作品発表会
北大CoSTEPシンポジウム
CoSTEPシンポジウムと修了式(3/17)
CoSTEP2.0 作品発表会&シンポジウム
【一夜明け】CoSTEP2.0 作品発表会&シンポジウム
CoSTEP生発表
CoSTEP2.0
みんな修了生になりました
懇親会
CoSTEPの終了
修了式
CoSTEP2.0
CoSTEPでの一年間
CoSTEP修了式
北海道大学CoSTEP選科生修了
CoSTEP
CoSTEP完了
CoSTEPの修了式から、10日ほど過ぎました
修了しました
ポスターセッションは25題あり、カリキュラムで用意されていたものよりも、自主制作した作品や実践が数多く紹介されていました。また、1期生が昨年から継続して行っていたものや、応援団の活動も報告されており、履修生の自主活動やCoSTEP周辺での活動が大きいことが良くわかります。ラジオ・ウェブ・カフェに関しては、ポスターでの紹介以外にも会場でのオーラルプレゼンテーションがありました。
昨年は初めてということもあり、直接指導していたわけでもない私ですらもドキドキしながら見ていたものですが、今年は安心して見ていられました。いずれの実習も、一年間一般公開しながらの実践してきたものですから、履修生も落ち着いており、指導してきた教員もゆったりと見守っているように見えました。一言でいうと「骨太」になった感じです。
その後におこなわれたシンポジウムでは、参加していただいたコメンテーターの方々のお話を聞きながら、自分なりに科学技術コミュニケーションの現状と未来などについていろいろと考えさせられることもあり、私にはとても有意義なものでした。コメンテーターの方々は以下の方々です。お忙しいところ、また季節はずれの大雪の中をおいでいただき、大変にありがとうございました。
大隅典子 (東北大学大学院医学系研究科 教授)
久保田 学 ((財)北海道環境財団 企業事業課長)
田中泰義 (毎日新聞東京本社科学環境部 記者)
干場静夫 (内閣府経済社会総合研究所 総括政策研究官)
横山広美 (総合研究大学院大学 上級研究員、サイエンス・ライター)
素晴らしいコメントをくださった皆さんのお顔を掲載させていただきます。写真(左→右)と名簿の順序は同じになっています。

ここからは、私の感想です。
確かに、今やサイエンス・コミュニケーションが日本中でブームの様相を呈しています。その中で、CoSTEPの果たしてきた役割は決して小さくありません。一方で、科学技術コミュニケーションとはサイエンス・カフェのことだというような浅薄な「理解」もありますし、サイエンス・カフェと名前を変えただけの「市民セミナー」や「公開講義」が蔓延しているという現実もありますが、少なくともサイエンス・カフェというコミュニケーションの手法が定着していくことは間違いないでしょう。
ただ、サイエンス・カフェが「成功」したとしても、科学者と市民がコミュニケートできたことになっていないのは誰の目にも明らかであり、その大きな原因のひとつがまだまだ大多数の科学者がコミュニケーションの重要性と意義を認識しておらず、無視しているか、あるいはたとえサイエンス・カフェなどに協力したとしても義務としてのサービスだという認識にとどまっているからだと思われるからです。
会場でもちょっとだけ発言させてもらったのですが、大多数の科学者・技術者が積極的に動くようにならない限り科学技術コミュニケーションは成功しません。そして、その動くと言う意味は「義務」として動くという段階から、自分たちが科学者・技術として生きていくために、そして科学・技術が社会の中で健全に存在し続けるために、自分たちにとって市民とのコミュニケーションが「優先課題」であることを認識して動くということです。
そのためには、今いる科学者・技術というよりは、これから科学者・技術者になろうとする若者の教育が大切だと思います。そして、それも単に「科学技術倫理教育」のような「無理をしてでも守るべきこと」を身に付けるというよりは、身に付けることで自分自身の科学者あるいは技術者としての活動・存在の役に立つ・利益になるものとしてのコミュニケーション・スキルが教育されるべきだと思います。
それともう一つは、たとえ科学者がそういうコミュニケーション・センスを身に付けたとしても、彼らの日常は研究活動で忙しいわけですから、彼らと市民を結ぶコミュニケーターのが職業として存在する必要があるということです。大学や研究所の中で今は「広報」というような位置づけになっている部門が、コミュニケーション部門として発展し、常駐するコミュニケーターが科学・技術コミュニケーションを担当することで科学者と市民の役に立つという良い関係が期待できると思います。
今はその両方の教育がごっちゃになっているのがCoSTEPだと思います。今は、科学者というよりは、非科学者である科学コミュニケーターを育てることに重点が置かれており、それはある程度の成功を収めていると思いますので、私としてはCoSTEP3.0から4.0あたりで、科学者およいびその卵に対するコミュニケーション能力の養成にも重点をシフトしてほしいと願っています。もちろん、そのための協力は惜しまないつもりです。
CoSTEP、まだまだやることはたくさんありそうです。
【付録】昨日のベストショット

研究者への『科学技術コミュニケーション』教育はCoSTEPだけではなく、大学として考えていかなければならない問題ですよね。そういった問題を一緒に考えていける人達をCoSTEPの外にどれだけ増やせるかが今後の課題なのかもしれませんね。
そ、それにしてもこの『付録』素晴らしいです。
そ、それにしてもこの『付録』素晴らしいです。
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陰に陽に、大変お世話になり有り難うございました。
今後ともよろしくお願い致します。
今後ともよろしくお願い致します。
なんか、この修了式はずっと前のことのような気がしますね。これからですね。一緒にがんばりましょう。
by stochinai
| 2007-03-18 22:18
| CoSTEP
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Comments(3)