5号館を出て

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一夜漬け: アクセス新記録

 高校の頃は、定期試験の前の日には朝まで眠らずに勉強したことが良くありました。寝てしまうとせっかく記憶したことを忘れてしまいそうな気がして、寝るとヤバイような気がしていたのだと思います。

 明日、研究室のゼミで紹介する論文や参考資料を読んだり、パワーポイントを作ったりしているうちに夜も更けてしまいました。とても、万全の準備ができたとは言い難いのですが、いかんせん高校生のような体力はもう残っておらず、度胸とハッタリが身に付いてしまっているばかりに、緊張感も続きません。

 1日を締めくくるために、ここに戻ってまいりました。

 さて、今朝からちょっと気にはなっていたのですが、普段に比べるとアクセスが倍以上になっているようです。忍者ツールズによる12時までのPVが、4800とキリの良い数字になっています。このブログにおける、今までのPV記録が1月29日の4065ですから、それを軽く越えてしまったことになります。

 最近は「なかのひと」ではしゃいでいて、ちょっとお灸をすえられたりもしましたが、まさか「なかのひと」ネタでそんなにアクセスが増えるわけはないと思っていたら、昨夜書いた「大学院生は利用され使い捨てられているのか」へのアクセスが原因のようです。これは、私が書いたというよりは、うすっぺら日記さんのエントリー「学生がその後どうなるのか」をご紹介させていただいただけなのに、これだけアクセスが跳ね上がるということは、決して喜んで良い状況だとは思えません。大学・大学院に大きな問題があるということに共感される方が多いということではないでしょうか。

 そう言えば、1月29日のアクセス増は『「親たたき」としての給食費未納問題』だったと思います。あれも、小学校の給食費問題が騒ぎになるという「不幸な事態」を取り上げたものでした。

 私のところでは、教育問題や大学・大学院問題(それも不幸な問題)を取り上げるとアクセスが上がる傾向があるのは、そういうことに関心を持っておられるかたが、時々チェックしていただいているということでしょうか。

 たくさんの方々に読んでいただいていることは、大変にありがたいことなのですが、グダグダとつぶやいているだけで、社会的力になるような実際的な提言がなかなかできないことに逆に恥ずかしくなってくるのも、また正直なところです。

 しかし、私ができなくてもブログの世界(blogosphere)には、たくさんの論客がいて勇気づけられます。これを書くためにうすっぺら日記さんの記事を覗きにいったら、重要なトラックバックがふたつついておりました。昨日のエントリーにちょっとでも興味を持たれたのだとしたら、ぜひともこちらへも読んでみてください。

 個人の努力を簒奪する日本という国2
 ドクター問題その後(5):学生の未来に関心のない指導教員、そしてアカハラ

 特に、後者の大「脳」洋航海記さんのエントリーは力作です。アカハラをどうやったら阻止できるのかという提言もあります。そうそう簡単に、「学生に優しく、教員に厳しい」提言が受け入れられるとは思えませんが、学生・院生からこうした要求が出てくることが続いたならば、大学としても変わらなければならないと考える人が増えてくると思います。

 大学の主役は、学生・大学院生なのですから、在学中でも自分の不利益になるかもしれないなどということを考えることなしに、堂々と意見を言える環境を用意することが我々教員の責任だとは感じているのですが、なかなか実現できずに申し訳ありません。

 それまでは、あらゆる隠れ蓑を駆使しつつ、横暴な人間や所業を暴いていくことも決して卑怯なことだとは思いません。お手伝いできることがあったら、協力させてもらいます。
Commented by うつ病直前の助手 at 2007-04-24 16:53 x
関連のブログを一通り読ませていただいて、涙が止まらなくなりました。私は今アカハラの(たぶん)真っ只中にいます。自分の業績のために上手に下をこき使うのでしたら、上手にそれに付き合えば自分の能力アップも出来るかもしれません。しかし、地方の中くらい以下の大学には研究能力も研究する気力もない人がトップに君臨していることがあります。気まぐれに権力だけを振り回して。教育で評価、という考え方はこういう人の隠れ蓑になります。学生を振り回しイタブルことを、熱心と称しているのです。やる気がないより始末が悪いです。そしてこういう人が学生を評価し、人事も握っているから限りなく悪影響は広がります。周囲もある程度分かっているのですが、時々公に訴える人がいても、まあまあ、ということで収めてしまいます。ですから、2,3年するとまた同じことが起こるのだと思います。時々、交通事故ででも・・・・・なんてことを思ってしまいます。
Commented by stochinai at 2007-04-24 22:03
 お気持ちは良くわかります。同じような境遇に置かれた方を何人も知っております。とりあえず、原因があるのですから、「うつ」になったとしても「うつ病」というよりは、アカハラの被害による神経症状だと思います。

 身近に相談に乗ってくれる人を見つけられることが一番だと思うのですが、ボスが絶対にアホだと確信したら闘うことも悪い選択ではないのかもしれません。もちろん、その前に大学のアカハラ委員会を味方につけなければいけませんが、多くの大学のアカハラ委員会はことを穏便に済まそうとして被害者をいじめる傾向にあると聞きますので、弁護士とまではいかなくても、それに近い立場になってくれるサポーターと一緒に相談に行かれると良いのかも知れません。

 具体的なことがわからずに一般論を書いてしまいましたが、そんなボスはなんとかとっちめてやりたいものです。

 ご自愛下さい。
Commented by ヨシダヒロコ at 2007-04-25 11:54 x
助手さん、同じような理由でうつになって、16年ほどたちます。就職及び進学を棒に振りました。そのほかに内部告発(というか労基署にいった)をした経験もあります。

うつの場合はご自分でも書かれていますが、命の危険がありますから、休養が一番なのです。5年生存率が100%ではないそうです。

ボスをいろいろやりたいお気持ちは分かりますけど何とか専門家に見てもらったりお休みを取ったりすることはできないでしょうか。

ごく当たり前のことしかかけませんが、お大事になさってください。
Commented by うつ病直前の助手 at 2007-04-26 12:44 x
ご心配ありがとうございました。読んだ勢いで堪らず書き込んでしまった一言に、見ず知らずのお方の温かいお言葉に、またまた涙が・・・・・
自分の状況を客観的、的確に他者に伝えることの難しさに億劫になっていました。なんとか頑張ります。
Commented by stochinai at 2007-04-26 19:16
 昨日、処分された農学部の先生も、どうやら内部告発されたことがきっかけのようです。同じようなことをやっている人はたくさんいるのだと思いますが、それが表に出るかどうかはその先生の「人徳」というものだと思います。助手さんのところのボスも人徳がなさそうですので、助手さんが手を下さなくてもいつかどこかでそういう目にあいそうな気はします。
 ただ、ここにも書いてあるように大学内の相談機関がだいたい使えないというのも困りますよね。
http://brainscience.blog92.fc2.com/blog-entry-62.html
Commented by 北海道に帰りたい at 2007-04-27 02:57 x
文系の院に在籍しているので、少々事情は違うかも知れませんが、教員が学生の将来に関心がない(場合が多い)というのは、文系でも同じだと思います。

ところで、(文系の)大学院での院生の立場は、吉本の養成所に通う芸人の卵に似ているような気がします。以前は師匠と弟子の子弟関係で、師匠は弟子が独り立ちするまで面倒を見ていたのが、今では、養成所が芸人を目指す若者を大量に入学させる。しかし、芸人として独り立ちできるかどうかは個人の責任。もちろん芸人になれるのはごく一部で、実力があってもチャンスに恵まれないこともあり、多くは夢破れて・・・

アカデミックな世界も芸能界と同じように厳しい世界であるのに、大学院の定員を満たすのに必死な教官たちが、甘いことばかり言って、学生を院に入れようとしているのを見ると、本当に暗澹とした気持ちになってしまいます。


Commented by え? at 2007-04-27 05:36 x
「大学の主役は、学生・大学院生なのですから」

誰がそんな事決めましたか?
大学の主人は「学問」で、教員はそれに仕える祭司、学生は修行のため仮入信した見習い層じゃないですか?
Commented by stochinai at 2007-04-27 07:26
 おもしろい考え方だと思います。しかし、大学の起源が神学校だとすると、意外ともともとはそうだったのかもしれません。でもそうすると、修行を終わったすべての卒業生に教会を与えないと、暴動が起きるかもしれませんね。
Commented by takuroshinano at 2007-04-27 07:27
大学の始まりはイタリアでしたっけ?市民が知識を得るために教員を呼び寄せて雇ったというのが始まりだったと思います。その意味では大学において主役は学生・大学院生という意見に賛成です。今の時代がそのままとは思いませんが、我々教員はいかに学生を育て、社会に送り込んでいくかという使命があるのは間違いありません。それをないがしろにすれば、自ずからハラスメントの問題も起こってしまうのかもしれません。不正、アカハラ、パワハラ、セクハラ。。。本当に嫌になるほど公になっていない身近な話を沢山聞きます。
Commented by takuroshinano at 2007-04-27 08:02
自分のコメントにコメントです(すみません)。最後の「公になっていない身近な話」という表現はよくなかったです。本当にあるのかどうかも分かりません。当事者ではないですから。でも、そんな噂を立てられたり、ハラスメントまがいの事で悩んでいる人は確かにおります。気をつけないといつ自分が加害者になっているかもわからないのですが。。。
Commented by ヨシダヒロコ at 2007-04-27 15:47 x
>助手さん、

うつ(にかぎらず)の話は健康な人には伝わりにくいです。わたしも4年生のときに「日本語で会話しているのか?」と思ったほど苦労しました。結局、教授が別の持病をお持ちだったので偉く心配していただきました。

>みなさま

ハラスメントの問題は、自分のところで書こうと思っていますので、手短にいうと「罰して終わり」ではまずいです。仕事をやめさせれば家族など別の人に迷惑が行くでしょう。この辺の問題は、アカハラ・パワハラ、DVなどに共通していると思います。
Commented by え? at 2007-04-28 12:16 x
ちゃんと調べてください。
欧州の大学は神学部>祭司、法学部>法官、医学部>医師
の職業「ギルド」の訓練所に、哲学>教師その他、が後から加わったものですよ。

ギルドは厳しい参入制限で自分たちの利益を守るのは、今も昔も同じです。今後今のトレンドが続くと、理工系の研究者の集団が、国の研究費で維持されるギルドとなって、厳しい参入制限を敷くような未来が予想されますね。

このところのポスドクの現場からの叫びも、動機や考え方は様々ですが、「研究者は”適正規模に”減らせ」、「大学院の早いうちから選別せよ」って、そういう方向に収斂しているようですね。結果として。
Commented by achemist at 2007-04-28 15:10 x
それは少し違うような・・・。
アルプスの北側の大学は確かに教員団が先にいてそこに学生が参加する形で始まりましたが、アルプスの南側は学生団が先にいて、彼等が教員を雇う形で大学が始まったということになっているのでは?
従って、universityというギルドの構成員もアルプスの南では学生が中心で、アルプスの北では教員が中心・・・という風に解説している本を読んだ記憶が・・・。昔々の学生の頃の記憶なので何というタイトルの本か忘れてしまいましたが。
まあ、大学の起原など教育歴史学者以外にとってはどうでもいい話なのでしょうけど。
Commented by え? at 2007-04-28 16:58 x
まあ起源にはいろいろあるみたいで、それはどっちでも良いのも本当でしょう。

ところでギルドっていえば、医者ほどではないにしても、理学系だとケミストの集団が一番すごいですよね。エンペラー野依の威光をかさに、隣接他分野はバイオ、物理系、工学系みーんな押さえて化学の集団利益の拡張を図る。これぞ文字通りギルド。

不正、アカハラ、セクハラ等が、昔に比べてうるさく言われるようになったのも、学生の行き先の確保について騒がれるようになったのも、「自由精神を尊ぶ研究者集団」が「利益を分け合う研究ギルド」に変貌する一過程だと思うこのごろ。

個人的には恩師の時代のような、院生の旅費にも事欠くが、おおらかで伸びやかだった時代がうらやましいですがね。。
Commented by alchemist at 2007-04-29 14:26 x
おおらかで伸びやかに・・・でもなかったですね、私の頃は。在籍中に日本の大学で最初にODが1000人を突破しましたので、エライコッチャ・・・でした、指導教官は別にして当人には、です。
あの頃の不正、アカハラ、セクハラですか・・・これについては以下自粛。人間が一人で存在しない限りどこにでもありそうな気はしますが・・・いえいえ気のせい気のせい、と。
ただ、研究費の総枠が巨大になったにもかかわらず、選択と集中とかで特定の部分への集中が目立って、貧富の差が激しくなったこと、しかも選択の基準というか方向性が行き当たりばったりに見えることで、研究という社会のギスギスが表面化し易くなってきたことは確かなのでしょう。
by stochinai | 2007-04-23 23:58 | 大学・高等教育 | Comments(15)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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